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80代女性 金属バネが折れた部分入れ歯を修理して安定して使用できるようにした症例

治療前

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治療後

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ご相談内容 「入れ歯の金属バネが折れ、まったく使えなくなってしまった」とご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果 拝見したところ、左上奥歯にかかっていた「クラスプ」が折れていることが確認できました。
金属のバネであるクラスプは、部分入れ歯の内側と外側にそれぞれ固定されていますが、内側のクラスプのみ折れており、入れ歯を安定して装着することが難しい状態です。

クラスプは入れ歯を支える重要な役割をもっていますが、日常的な使用により金属疲労が蓄積したり、噛む力が一点に集中して負担がかかったりすることで、今回のように折れてしまうことがあります。

このまま放置すると、食事や会話に大きな支障をきたす、噛み合わせのバランスが崩れて残っている歯に過度な負荷がかかる、歯が抜けていることで見た目に悪影響が出るなどのリスクがあります。

以上のことから、早急にクラスプを修理して、部分入れ歯を安定して使用できる状態にする必要があると診断しました。
行ったご提案・治療内容 入れ歯の修理として、口腔内に入れ歯を装着した状態で型をとって模型を作製し、その模型上で修理を行う方法を提案しました。

メリット
・口腔内の正確な位置を再現できるため、より適合性の高い修理ができる
・1時間程度で修理が完了するため、患者さんの負担を軽減できる
・既存の入れ歯を修理することで、新しい入れ歯を作製するよりも費用を抑えられる
・慣れ親しんだ入れ歯をそのまま使用できるので、違和感が少ない

デメリット
・新しい入れ歯を作らず既存の入れ歯を修理するため、元の入れ歯の設計や材料の制約を受ける

メリットとデメリットを丁寧にお伝えしたところ、患者さんは「日常生活への影響を最小限に抑えたいので、1時間で修理できるのならお願いしたい」との理由から、修理に同意いただきました。

まずは部分入れ歯を装着した状態で型をとり、模型を作製します。

しかし型取りの際、入れ歯の位置がわずかにずれてしまうトラブルが発生したため、模型にもややずれが発生しました。そのため、模型上だけでなく、患者さんの口腔内に装着した状態でも調整がしやすいよう、クラスプを通常より長めに作製しています。

次に、専用の調整器具を使用してクラスプを丁寧に曲げ、ぴったりとフィットするよう細かく調整を行います。
調整後のクラスプは、歯科用樹脂である即時重合レジンを用いて入れ歯本体にしっかりと固定し、安定した状態で使用できるようになりました。

最後に患者さんに装着していただき、使用感に問題がないことを確認して、治療を終了しています。
治療回数の目安 1回
治療費総額の目安 約4,000円 (保険診療3割負担)
この治療のリスクについて ・着脱式のため、食後の清掃が必要です
・最初のうちは異物感があり、慣れるまで時間がかかる場合があります
・慣れるまでは、入れ歯の裏側の粘膜に傷ができる場合があります

治療前

治療前画像

治療中

治療中画像

クラスプが歯の形に合っていることを確認しました。

治療中画像

即時重合レジンでクラスプを固定しました。

治療中画像

治療後

治療後画像 治療後画像 治療後画像