診療理念

先にお断りしておきますが、長文です。
時間のある時にゆっくり読んでいただければと思います。

いとう歯科医院では「診療理念」という形で医療機関としてのあり方や進むべき方向性を明確にして、患者さんにより良い治療を提供しようと心がけています。
理念とは使命、価値観、信念、規範、視点、考え方の枠組みなどの言葉に置き換えることもできます。
一流ホテルのリッツカールトンで話題になってからはクレド、ミッションとも言うようです。

もっとも理念を掲げてもお題目だけになってしまう可能性もあります。
伝わらなければ全く意味がありません。
院長が勝手に作ったお題目をスタッフに「今日からこれに従いなさい」と言ってもその通りに行動することはありません。

ではどうすればいいのでしょう?

その理念を掲げるようになった経緯、体験を書くことで「なぜ」その方針を掲げることにしたのかという理由を明確にしました。

これにより「ああ、だからこういう理念を掲げているのか」と分かりやすくなります。
また違う経緯、体験をして、それを元にブラッシュアップすることもできます。
あなたにも、治療とコミュニケーションをよりスムーズにするための「診療理念」に共感していただければ何よりです。

・2022年の時点で、いとう歯科医院で掲げるのはミッションじゃなくて「パーパス」

2022年の時点での話で、一流企業や世界的企業が掲げるのはミッションから「パーパス」に変わっていました。

Facebookの会長ザッカーバーグ氏が母校ハーバード大学でパーパスについて講演したり、P&Gグループがパーパスを起点とした社会貢献の取り組みをしたり話題になっています。

パンパースの会社のパーパスですね(笑)。
他にもソニー、ナイキ、ネスレ、ユニリーバなどがパーパス経営を実践して確実に広まっています。

会社のパーパス・マネジメントに関する本を出版した経営コンサルティング会社のIdeal Leadersのパーパスは
「人と社会を大切にする会社を増やします」。

著書の丹羽真理氏のパーパスは
「幸せに働く人で溢れる世の中をつくる」
とあります。

パーパスもミッションも会社の方針なのですが、何がどう違うのでしょうか。

「歯科 ミッション」とパソコンで検索すると
「○○歯科医院のミッション」
と書かれたホームページが10ページ以上にわたり次々と出てきます。

あまりに多くの歯科医院が延々とミッションを掲げているので途中で見るのをやめてしまいましたが、みんな同じ内容です。
「当院のミッションは、患者様第一でうんぬん、世界一の歯科治療をするためにかんぬん」
そんなキラキラした文体です。

超高級ホテルのリッツ・カールトンがミッション、クレドとして使ったことで有名になり多くの歯科医院がマネして業界で流行となりました。
歯科医はそーゆーバブリーなのが大好きです。

しかし私はその言葉を耳にすると、なんか右の上腕部に違和感が…
プロ野球のピッチャーみたいなことを言っていますが。

冗談はさておいて、ミッションの言葉に違和感があったため当院のホームページではその言葉を使っていません。

歯科医師とは、だいぶご年配の方ばかりの世界です。
2016年3月末現在の歯科医師会会員の年代別構成が明らかになり、年齢構成は50歳代と60歳代が6割を占め、平均年齢は59歳1ヶ月となったとあります。
(参考文献:歯科 News & Topics | DENTAL VISION医療経済出版http://www.ikeipress.jp/archives/9012)

流行とは、年寄りがやりだしたら終わりとの話が昔からあります。

自分も若者ではないので古い話で恐縮ですが、
おじさんがおニャン子クラブのメンバー全員の名前を覚えてドヤ顔していた。
おニャン子クラブがとっくに解散していたのを知らなかった…みたいな話です。

歯科医がドヤ顔でキラキラミッションを言い始めたものの、世間はもうとっくに次世代マネジメントに進んでいたわけです。
もちろんそんな他の歯科医院と同レベルと思われるのがイヤだったからミッションの言葉を使わなかったという意地っ張りはあります。
ただなぜ違和感があったのかわからなかったのですが、先日その違和感の原因を解く話に出合いました。

社員4人からスタートして世界一のモーターメーカーにした日本電産の永守重信会長(学校法人永守学園理事長)と、東大を卒業してハーバードビジネススクールやマッキンゼーでコンサルティングに従事し京都先端科学大学の教授に就任した名和高司氏の対談記事です。

永守「だから、学生と話したり、相談に乗ったりするのは面倒くさいとかいう先生は、使命感がないんですよ、使命感が。(中略)
最近は、いくら勉強ができても使命感というのを教えられていない。本当はそういう教育を続けていてはいけないんです。」

名和「いまの理事長のお話は、クラーク博士の『少年よ大志を抱け』という言葉に通じるものがあると思います。
世界の優良企業はいま、ミッションではなく『パーパス』という言葉を使います。
ミッションが天から与えられた使命であるのに対して、パーパスとは一人ひとりの中から湧き上がってくる思いの発露です。
その意味で理事長は、ご自身の内から沸々と湧いてくる熱い思いをすごく大切にしていらっしゃる。
理事長の経営は、志(パーパス)から出発していると感じています。」
(参考文献:月刊致知2022年4月号、致知出版)

本の中のパーパスという言葉に私は何度も深くうなずいていました。
そう思いながら読むと確かにパーパスとは、永守会長のように自身の内から沸々と湧いてくる熱い思いを言い表しています。
それに対してミッションとは天から降ってくるのを、口を開けて待っているとか、他に依存しているとかいうようにも個人的には思えてきます。

入れ歯修理やティッシュコンディショナーで社会貢献しようとの私の志は、天から降ってきたものではありません。神が降りてきて与えてくださったものでもありません。
自分の内から湧いてきた思いであり自らの手でつかみとったものです。
当院でも掲げるならパーパスの言葉がふさわしいように感じます。

パーパス(Purpose)とは一般的には目的、意図、目標、趣旨などと訳される英単語で「何かが存在する理由、あるいは何かがなされる意味」といった意味を持つ。とあります。

日常生活で例を出すと、暖房をつけるのは、部屋を温かくし心地よく過ごすため。鉛筆を削るのは、字を書きやすくするため。
これらはどちらもパーパス(目的)のある行動です。
(参考文献:IDEAS FOR GOOD 社会をもっとよくする世界のアイデアマガジンhttps://ideasforgood.jp/glossary/purpose/)

世界の優良企業は掲げるものをミッションからパーパスに切り替えていると言っています。
実際にミッションを掲げたのに今ひとつ成果が上がらないと嘆く経営者は多いそうです。
「ミッションを声高に叫ぶ院長のパワハラがすごい」
と業界の笑えない話を私も耳にします。

なぜそうなるのか。
ではどうしたらいいのか。

少し調べたところ、こんな記事が出てきました。
「ミッションやビジョンはもう古い。次世代型組織に必要なのは『パーパス・マネジメント』」
(参考文献:・採用マイスターhttps:pro-bank.co.jp/saiyo-meister/headhunter-recommend-book/mission-and-vision-are-already-old_purpose-management)

いくら立派なミッションやステキなビジョンを描いても、従業員が自分ごとにできていない限り、ミッションは「他人事」、ビジョンは「絵空事」でしかありません。
なぜそうなるかというとミッションやビジョンは、ともすれは「上意下達」になりがちだからと著者は指摘します。

もちろん時代と国が上向きで国民みんなが同じ価値観を持って一億総中流社会で突き進んでいた、昔のバブルみたいな時代なら
「院長の命令はー、ぜったーい♪」
とミッションを昭和なノリで唱和していれば平和だった(ダジャレ? リリックと言ってください)。

ですが現代は国と経済の低迷、価値観の多様化、働き方改革による職業形態の多様化、核家族化などによる生活習慣の多様化、スマホの登場による娯楽の多様化など、みんなが同じ価値観を持って同じ方向に突き進む時代ではありません。

そんな世代、家庭環境、教育、文化、趣向などの違いを超えて通用する指標は「幸せ」である。
そして仕事、会社、経営を通じてそんな「幸せ」を実現するために必要なのが「パーパス」である。
著書においてそう主張します。

はじめに企業で「幸せ」の重要性を経営に取り入れたのはグーグルのエンジニア、チャディー・メン・タン氏だそうです。
知能指数IQではなく心の知能指数ともいわれるEQ、日本では「こころの知能指数」「感じる知性」などと訳されます。

物事を適切かつ正確に処理することができる知的な能力を示すIQ(知能指数)に対抗して考え出されたもので「感情面や情緒面において健康で,かつ人間関係を適切にこなせる人格的能力」と定義される、このEQを延ばすために心理学や宗教色を取り除いた瞑想マインドフルネスを用いたトレーニングプログラムを開発しました。

このトレーニングプログラムはSIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)と名づけられ5000人以上のグーグル社員が受講し、受講者の創造性や生産性が高まるとされて支持を広げています。

他にもデンマークで「幸せ」に主眼を置いた経営を行うWoohoo社の「職場の幸福度を上げる」メソッドは世界的に高く評価されていて、アクセンチュア、マイクロソフト、IBM、ヒューレット・パッカード、マクドナルド、IKEAなど名だたる企業がこのプログラムを採用しています。

残念ながら日本企業の名前はあまり出てきません。
ごく身近なことを思い起こしてもわかるのは、幸せとは誰かを不幸にしておいて自分だけが「幸せ」というのはあり得ないということです。
会社でも、社員を「24時間働けますか」とブラックな働き方で搾取しながら、社長が外車を乗り回して「お客さまの幸せに貢献しまっす」と言っても説得力ありません。

ネット社会ですからそんな嘘は簡単にバレます。
同様に過度な森林伐採や土壌汚染、違法な海洋投棄など地球環境に悪いことをして生産量を上げて商品を提供する会社も成り立ちません。
だから会社が提供する「幸せ」とは社員みんな、社会全体、地球にとっても幸せであることが必要となりました。

ミッションやビジョンを否定するわけではないのですが、それらが流行った当時は社会全体、地球環境、SDGsについて会社が関わる概念がまだありませんでした。
だからこそ私たちも時代に合わせて変化が必要です。

社会のことなんか「他人事」、
遠い未来のことなんか、実現するかどうかわからない「絵空事」。

会社はそんな言葉を掲げるのではありません。
社会全体とのつながりや関連から、会社が「今あるべき姿」をパーパスとして掲げることが必要な時代に変わったということです。

全世界85万人を対象に行った調査では、ミレニアル世代(1982年から2000年生まれ)の仕事に対する動機付けの1位は「Impact」でした。
自分の仕事が、社会やコミュニティに対して良い影響を与えられるかどうかにある、という結果が出ています。
(参考文献:「パーパス・マネジメント」丹羽真理著、クロスメディアパブリッシング)

ミレニアル世代の仕事に対する動機付け要因のベスト3
1位→Impact(社会やコミュニティに対する影響力)76%
2位→Learning(学びがあるか)59%
3位→Family(家庭との両立)51%

ワースト3
3位→Prestige(名声を得られるか)22%
2位→Autonomy(自主性を発揮できるか)22%
1位→Money(金銭的な報酬)10%

このような結果が出ています。
(参考文献:ATD国際会議「Motivating Millennials:New Research into Unlocking Their Passion」の資料をもとに作成)

社会人の中でもいわゆる若者は、自分の仕事が社会でどう役立っているか。
働くことの自分なりの意義を大切にしている人が多いということです。

より幸せに、より良く、より楽しく、より広く、より早く、より現実的に、社会に対して何をする会社、何をしている会社なのかが問われているように思えます。
よりセクシーに、という文言を入れると某大臣みたいになってしまうので入れませんでした。

2022年3月時点での話ですが「歯科 パーパス」と検索するとマルチパーパスボンドという接着剤の商品名しか出てきません。
考えてみると駅前のきらびやかなデンタルクリニックがパーパスと親和性を持たせるのは難しいように思えます。

今から思い起こすと、ただただ過酷な金銭的ノルマで頭がいっぱいだったからです。
私も都心のデンタルクリニックに勤めていたので状況はよくわかります。
駅前の一等地で開業している歯科医院は宣伝広告費、借金、家賃、人件費が毎月重くのしかかります。

社員の幸せ、社会貢献、地球の未来
…駅前の一等地でそんなことを考えている余裕はありません。

・社員…時給100円くらいで24時間、365日働いてくれないかな。

・社会貢献…自費治療をやってくれない患者なぞいらん。むしろ格差拡大にひと役かってしまっています。

・地球の未来…
「昨日の朝、全てを無くして不採用の雨に濡れていた。
今日の昼、口の中を的に夢買う銭を追っていた。
明日の夜、チャチな真義とちっぽけな良心が銀座の街に金をまく。

歯科医院は百年続く不景気が作ったパンドラの箱。
質を問わなきゃ何でもある。
次回「救出」

明後日? そんな先のことはわからない。」
(参考文献:装甲騎兵ボトムズ8話「取引」サンライズ)

声優の銀河万丈さん風のナレーションで読むと臨場感が出ます。
都心のデンタルクリニックでは、だいたいそんなエクストリームで荒んだ生活でした。

もしかしたら歯科医もパーパスを掲げたいのはやまやまですが、このような事情があってできないのが現実かも知れませんね。
歯科医院ではなく歯科業界の企業の中にはすでにパーパスを掲げる会社が出てきています。

たとえば、歯科医師をメインターゲットに、最新の歯科医療臨床・経営・ニュース・イベント情報などを配信し、コミュニティサービスを提供しているデジタルプラットフォーム会社のWHITE CROSS。

理念
WHITE CROSSのビジョンは、コアバリュー/パーパス/ミッションで構成されています。
歯科医療には、その社会的価値を高めながら日本国家・国民に貢献し、発展していける成長戦略があります。

その一方で、長年認識されていながら解決されていない課題が数多くあり、それらが生む非合理が当たり前として受け入れられています。
臨床現場の人々を支える黒子として、それらの課題に取り組み、合理的な当たり前に置きかえていきます

コアバリュー
・ 真摯さを最重視する
・ 質実剛健に成果を追求する
・ be nice

パーパス
歯科医療の社会的価値を高め、大樹となり社員とその家族を支える。プラットフォームを活かせるDX事業を展開し、歯科業界を面で発展させることに貢献する

ミッション
全社ミッションとそれを構成する各部・室のミッションがあり、定期的に更新されています

歯科医療は、医療において重要な役割を担っています。
産業として建設的に変化していくことは大切ですが、これまで先人達が作り上げてきた日本の歯科医療の現在のあり方を否定して、新しい歯科医療のあり方を模索することは不可能です。

WHITE CROSSは、温故知新を旨に、現在の日本の歯科医療が次世代に引き継いでいくべき良い点、変わっていくべき点は何であるかを考え、日本の歯科医療の持つ可能性を知り、行動していきます。
その先に、歯科医療の社会的価値の向上があると信じています
(参考文献:https://whitecross.jp/)

また歯科治療台などを作製、販売するタカラベルモントのパーパスです。

「パーパスのタグラインとステートメント
タカラベルモントが何を目的として事業活動を行う会社であるかを「パーパス」としてコトバで表現しました。

人生において、美しく生きる喜びを得ることは、人々にとって普遍的な目的であります。
この目的に応えていくことが、当社にとっての恒久的な企業目的であると定めました。

そのために、直接顧客である理美容業界及び医療・歯科業界、そして社会と人々に向けて、タカラベルモントの存在意義を感じて頂けるに等しい価値を生み出していくべく挑戦していきます。

美しい人生を、かなえよう。
私たちタカラベルモントは、
自分らしく生きる人生こそが、
美しい人生だと考える。

だからこそ、持てる知恵と技術を進化させ、
美と健康をつくるプロフェッショナルと共に成長し続ける。

そして人々が、
自らの個性に気づき、その魅力を表現し、
今と未来の健康に向き合って
自分らしく生きることを全力でサポートする。

いつ、いかなる時でも、
ひとりひとりが、美しく生きる喜びを感じられるように。
社会が、美しく生きる幸せで満たされるように。」
(参考文献:https://www.takarabelmont.co.jp/100th/destinations/purpose/)

歯みがき粉など歯科関連用品でも有名なライオンでもパーパスを掲げていました。
〈2030年に向けた中長期の経営戦略では、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」を会社のパーパス(存在意義)に掲げた〉

とタイムリーな記事を目にしました。
(参考文献:読売新聞2022年3月8日朝刊「Leaders経営者に聞く」)

これらの会社のだれかが歯科医にパーパスのことを教えてあげないのでしょうか。
それはさておき当院の掲げるパーパスですが、世間でひろくおこなわれていて当院でも主に行っている保険治療は、治療法、使用する材料などが厚生省によって決められています。

制限されていると批判的に言う歯科医はいるものの、そのおかげで過度に贅沢せず高額になりすぎず、おおむね科学的根拠に基づいた治療で良好な成果を上げられる。
問題点もありますが基本的な姿勢は国民みんなを幸せに過ごせるようにしてくれるものです。
ですからそもそも保険治療を施すこと自体が社会貢献と考えます。

父からの相続の手続きをしたときに、改正原戸籍という書類で三代前の曾祖父、伊藤貞光の名前を初めて目にしました。
貞光は山口に住み瀬戸内海の島々を渡って治療を施す医師でした。
そこまで昔になると保険治療の制度がまだ存在しません。

それで医療の報酬は自家製味噌とか採れた魚介とか酒だったと、貞光を直接知る叔母が話してくれました。
とくにお酒を喜んでいたところが父と共通しています。

保険医療制度で私たち歯科医師が受けとる物とは、日々を生きていくのに必要な味噌や魚の代わりになるものです。
ちなみに治療が終わったら魚や味噌、お酒くださいと催促しているわけではありません、念のため(笑)。

↑ 3代前、伊藤貞光の戸籍です。

↑ 貞光の長男が私の祖父 高秋です

当院はそんな保険治療の中でもとくに入れ歯修理を得意としています。
それと最近は、治療例をYouTubeに載せたりホームページやブログで啓発したり、世に広める活動も始めているところです。
ですから、いとう歯科医院のパーパスは

「四代前の医師伊藤往来、三代前の医師伊藤貞光からの、人を助ける奉仕の精神を受け継ぎ、入れ歯の調整や修理、作製をはじめとした歯科保険治療を行うことが、すなわち社会貢献となっています。社会貢献のために一層歯科治療技術を磨いて、それを世に広めます。」

となります。
よろしくお願いいたします。

もっとも、月刊致知の記事でハッとしたのは、永守会長は昭和19年生まれ、名和教授は昭和32年生まれ、ご両人とも歯科医師会の平均よりずっと上の年齢だということです。

だからこの記事の前のほうで「歯科医師はご年配ばかり」と書いたのは間違いでした。
誤った発言をしたことを謹んでお詫び申し上げるとともに当該発言を取り消させていただきます。

大半の歯科医師よりずっと年上の会長が、時代の先端のパーパス経営を取り入れている。
私もまだまだ若いのだから、変化の早い社会に置いてきぼりにされないように、大企業の会長たちに負けないくらい一層勉強しようと気持ちを新たにしました。

この記事を書くにあたり参考にさせていただいたIdeal Leaders社の代表、永井恒男氏のパーパスは「世界平和とイノベーション」だそうです。
突き詰めるとパーパスとは
「あなたは何のために生きているのか?」
「この会社は何のために存在しているのか?」
「あなたが死ぬときのことを考えてみてください」

そういった根源的な問いに答えるものです。
これからの時代の変化や自分の人格の成長によってパーパスも変わってくると思います。

将来の、いとう歯科医院のパーパスは
「世界平和でございます」。
そう言うにふさわしい人間となれるよう気長にがんばります。

・治療のメリット、デメリットを包み隠さない

よく
「○○の治療と△△の治療と、どっちがいいですか」
と聞かれることがあります。

その場合、「○○の方が100%良いです」と言うことはあまりありません。
消費税をアップする、しない、どっちがいいかメリット、デメリットがあるというのと同じです。
どんな治療にもメリット、デメリットがあります。
治療後の良い状態を保つために患者さん自身で努力しなければならないこともあります。

勤務医時代にいくつものインプラントの症例を見てきました。
インプラントは植立後に汚れや細菌の完璧な除去が必要です。
完璧に磨かないと、インプラントを支える骨が感染して腫れたり膿が出たり骨が溶けたりして失敗します。

さらには咬み合わせの完璧な適合が必要です。
咬み合わせが強すぎると骨が溶けてインプラントが揺れたり折れたりします。
インプラントを否定するつもりはありませんがそのメンテナンスは義歯よりも、よっぽど大変そうでした。

このように様々なバランスの中で治療方針を決めていく。デメリットについては出来るだけ解決する策を考えます。

ですから、いいことばかり言って治療を勧めるのではなくデメリットも伝えることが大事と考えています。
患者さんが持ち帰れる冊子や口の中の写真も有効です。
治療の利点、欠点、気をつけることなどが書いてあります。
治療の前後にいろいろな形で説明を心がけていますので少しでも疑問や不安がありましたら遠慮なく質問していただきたいと思います。

・患者さんの不安や悩みを解決せず自分勝手な提案はしない

来院したらまず「私は○○のことで困っています」と言ってください。
それが不安や悩みです。
不安や悩みを解決するのが治療です。

治療は全て保険でできます。
なぜなら、それが日本の保険制度だからです。
初めての患者さんに対し歯医者が治療前から「高額な自費治療をしませんか」と言うのは歯医者だけの都合で自分勝手な提案と私は思います。

・専門用語は易しい言葉に置きかえて説明

分からないことやお聞きしたいことは遠慮なく聞いてください。
「なんとなく」と思うことには必ず原因があります。
大きな症状になる前に「なんとなく」のうちに解決すると負担が少なく解決できます。
同じ内容の質問を何回していただいても大丈夫です。

「さっき言ったでしょー」
「何回説明したら分かるの」

などと言うことは決してありません。
どなたの言葉か忘れてしまったのが残念ですが

「頭のいい人は、難しいことを素人子供にも簡単に分かるように説明できる。頭の悪い人は、簡単なことを難しく説明してしまう」という言葉を聞いたことがあって、私はその言葉を常に念頭に置いているつもりです。
もし、あなたが歯科のことについて説明を受けて分からなかったとしたらそれは歯科医のせいです。

いとう歯科医院では分かりやすくするために様々な物を使って説明しています。

  • 口の中を写した写真
  • 治療説明の冊子
  • 治療説明の紙芝居
  • かみ合わせを説明する模型
  • 歯並びを説明する模型
  • 入れ歯のサンプル
  • かぶせもののサンプル

など。同じ質問に答えるときに、答え方を変えると急に理解できることもあります。

ですから、「理解したフリ」、「なんとなく理解したような気がする」、「分からないけど歯医者に話を合わせておいた」といったようなことはしないでいただきたい。
分かるまで質問していただいて、心の底から理解することが良い治療につながります。

【関連ブログ】→■物語と対話による医療、身体を折り曲げ幼稚園児の目の高さに

・削る、抜くは必要最小限に

ご年配の患者さんが、昔はすぐに歯を抜かれたと言っていました。
それには理由があります。

昔は削る機械もなく治療技術も発達していませんでした。
高速で歯を削るエアタービンも、精密に歯の形に合わせられる鋳造金属冠も、安全に痛みなく治療ができる麻酔薬もありませんでした。
だから痛い歯は抜くしかなかった。

時代が変わって治療技術が発達しました。
それでほんの一時期、抜かない、削らない治療を標榜、宣伝する歯科医院が増えました。
歯科の雑誌に抜かない、削らない治療についての話が載るようになって私もよく勉強しました。
まだ外の歯科医院で勤務していた頃の話です。

いい時代になったと思っていたのですが、最近よく患者さんから

「歯を10本、全部抜くと言われた」
「痛くもない歯を削ってセラミックをかぶせるから13万円と言われた」
「初めて行った歯医者でいきなり、骨の手術を伴うインプラントをすすめられた」

などの話を聞くようになりました。
80年前とはまったく違う理由で今はまた、たくさん削り、たくさん抜く時代に逆戻りしてしまったように思えます。

  • 10本抜いても上手く治せなかった
  • 13万円の歯が1年後にぐらついてきた
  • インプラントでトラブルになった

こうなったしまったら後戻りできません。
とくに自費で高額をかけて、たくさん歯を削り骨の手術をして普通のエアタービンでは歯が立たないほど硬いチタンやジルコニアセラミックを施された歯など何かあったら対処の方法がありません。

私だけでなく多くの歯科医師が頭を抱えると思います。
人の体は何が起こるか分からない部分もあります。
だから何かあっても後戻りできるようにまずなるべく削らない、抜かない最小限度の保険治療で治療して経過を見る。
いとう歯科医院は、その方針で80年以上も続けて来ました。

人の体には自分で治す働きがあります。歯や歯茎も例外ではないという研究も進んできました。

  • 虫歯をなるべく削らないで治す治療
  • 揺れている歯に咬み合わせの調整をして長持ちさせる治療
  • 特殊な接着剤で歯の詰め物を長持ちさせる治療
  • 歯と歯を連結して長持ちさせる治療
  • 歯石、ステイン除去、歯みがき、生活指導などを通じて歯グキの健康を維持する歯周病重症化予防治療

など保険でできる粘りの治療法がたくさんあります。あきらめる前にご相談ください。

・高額な自費治療へ誘導はしない

いとう歯科医院では高額な自費治療は取り扱いしていません。
理由は他のページにたくさん書いたりブログに書いたりしていますので参考にしていただければと思います。

・「治療してもらって良かった」と患者さんが喜んでくれる治療を

「歯を削られた」、「歯を抜かれた」と患者さんに言われたら、それは歯医者の説明不足か治療方針の間違いです。
患者さんから「歯を削ってもらって良かった」「歯を抜いていただいた」と言っていただけるような治療と説明を心がけています。

・患者さんの健康と幸せを真剣に考え共に成長を

成長することが成功のカギ。私の座右の銘のひとつです。

技術の習得、上達というのは練習、訓練、勉強、努力をすればするほど順調に上がっていく、身についていく…というわけではないことを日々実感しています。
直線に右肩上がりで技術は向上しません。
いくら何をやっても技術はすぐに上達しない。むしろ下手になったと感じることも。

そして「もうだめだ…」とギリギリまで自らを追い込んだときに何かがきっかけとなって突然ポンと出来るようになる。
技術というのは右に登っていく階段状に上達します。

これはお世話になっている80歳を超える太極拳の先生も、妻が15年習い続けている生け花の80過ぎの先生も、私の親くらいの年齢の絵手紙教室の先生も口をそろえてそうおっしゃいます。

歯をきれいに削る、入れ歯を上手に作る、正確に診断をする、患者さんに納得してもらえる話し方を身につける。
どれも簡単にできることではありません。

いくら努力しても報われない、上達しない…。階段を一段昇れない。自分には才能が無いのだろうか、と悩むこともあります。
でも歯を食いしばって耐える、努力し続けることが必要です。

そこを乗り越えて階段を一段登ったとき、成長した自分がいて新しい世界があるのです。
努力して成長した姿で患者さんに臨むこと。
後日患者さんが来たときには更に成長していること。

私たち歯科医師が常に研鑽して成長していくことが患者さんをより健康に幸せにする成功のカギと考えています。
【関連ブログ】→あなたにとって最適な歯科医の選び方

・いとう歯科にご縁がなくても健康と幸せを願う

いとう歯科医院は、患者さんが長い年月かよえるような体制で診療を行なっています。
私の祖父、父の代から50年以上通ってくださっている方も多いです。
ただ、みんながみんな、そういうわけではありません。

  • いとう歯科のことを知っているけど行ったことがない
  • 一度だけ行ったことがある
  • もう10年以上行っていない

このような方も、もちろんたくさんいらっしゃいます。
これはあまり気にしないでください。
良し悪しではなく、「縁がある、ない」「合う、合わない」って大きいです。

実は私は結婚前にお見合いを11回しました。
食事のマナーもたぶん普通だし楽しく会話もさせていただいた中でも
「ご縁がありませんでした」「悪い人じゃないいけど気が合いませんでした」ということが多々ありました。

初めのうちは落ち込むんです。
私も週2回、3ヶ月の間、会い続けた方から「ご縁がありませんでした」と言われたときは3日間寝込みました…。
そのような時は縁がないことをクヨクヨするのではなく次に向かって進むことです。

すぐに次の人に会う

今では当時ご縁がなかった方たちの幸せを心から願っています。

患者さんとのご縁も同じと考えています。
ご縁があったから、自分に合っているからと「心で選ぶ」ことも大事です。
他の先生を否定するつもりはありませんが有名だからとか肩書きが凄いからとか表面的な知識だけで選ぶと自分とは合わないことがあります。

今回いとう歯科医院にいらっしゃらなかった方も、あなたに合った良い先生とのご縁があって幸せに過ごされることを心から願っています。

・患者さんの健康に関する徹底的な情報収集

定期的に歯科の講習会に通っています。
あちこちに顔を出すのではなく一人の先生の講習会に何年にも渡って参加してじっくりと教わるのが好きです。
今でも毎月参加して勉強しています。

また、ここ数年で急に多くの同級生と再会するようになりました。
外の歯科医院に勤めていた8年間はほとんど会うことはありませんでした。
同級生もみな10年以上歯科医療を行なっている中で様々な苦労をし勉強していました。

みんなの知識と経験を共有するのは自分にとって刺激になり勉強になります。
勇気づけられたこともありますし逆にちょっと元気の無い友人を勇気づけてあげるように行動することもありました。

家では家族で歯科に関する話をします。
患者さんの個人情報の漏洩には細心の注意を払っていますのでご安心ください(プライバシーポリシーを参考にしてください)。

父はもちろん同業者なので理解者です。
妻とも話します。
妻は歯科関係者ではありません。
丸の内の大きな会社で事務職をしていました。
妻にも理解できるように専門用語を使わずに歯科のことを話すのは自分にとって大変勉強になります。

偏らない情報収集をするには、本やインターネットだけでなく多角的な人と人との関わりからも収集することが大事です。
さらには収集するだけでなく人に話す、自分の情報を伝えることも大事です。
人に伝えることで人からの情報も集まってくるようになるからです。
そして集めた情報をもとに理解を深めて患者さんに還元していくことがより良い治療につながっていくと考えています。

・歯科医師自身も健康に気を使います

私自身は今のところ虫歯が一本もありません。
1日2回、朝と夜寝る前に歯みがきしています。
同じように歯みがきしていても虫歯がたくさんある人もいます。

歯医者でも虫歯がたくさんある人は多いです。
正しい歯みがきはできるはずですよね。
なぜこのような差が出るのでしょうか。

これを言うと医療ではなくなってしまうかもしれませんが…
過剰なストレスがないように気をつけるのが大事です。

歯科医も健康であってこそ良い治療ができるので私自身も健康に気を使っています。
今のところストレスは比較的少ない生活をしているほうだと思っています。
夜9時半に寝て朝5時半に起きていますし、一日3食野菜の多い食事を心がけています。

朝ごはんはトマトとキャベツのサラダ、卵焼き、バナナ、オートミール。
昼は魚とトマトとご飯。
夜は自分で料理することも多いです。
タバコは吸いません。
お酒はつきあい程度にたしなんでいます。

適度に働き適度に休む。
朝10時から夜10時まで休憩時間ナシ年中無休で働いている歯科医院もあるようですが私にはマネできません。
取り引きしている歯科材料店の方が言っていた話で日曜日も診療をして体を壊す先生もいるとのこと。
休むときは休むのがいいようです。

運動は週2回スポーツクラブのプールでゆっくり500メートル泳ぎます。
あと太極拳を習っています。もう20年を越えました。
剣などを振り回しています。とても面白いです。

休みの日には、たまに家族で出かけたりしてリフレッシュしています。
旅行先の良い「気」を持ち帰ることはとても良いことだそうです。

コンサートや絵の展覧会を見に行くのもリフレッシュになります。
患者さんからチケットをいただいて観に参りました。
音楽はクラシック、ブルックナー、シベリウスの交響曲やオペラとか好きです。
ちょっとだけマニアです。

・歯科医療以外の知識と技術を身につける努力も

患者さんが何で困っているのか、何を求めているのか話してもらう。
本音で話してもらう。
人の気持ちをより深く理解するにはどうしたら良いのでしょうか。

歯科医師の方針、考えを分かりやすく伝えるにはどのような言葉を使えば良いか。使ってはいけない言葉もあります。

歯科大学では教えてくれませんが大事なことです。
そう思ってコミュニケーションの本や文学の本、文化について述べた論文などを読む機会が増えました。

いい治療をしているのだから、その良さを伝えたい。
口で言っただけでは伝わりきらないこともあります。
そこで治療のことを書いた冊子を配るようになりました。

話して伝えるのと冊子を用いて文章で伝えるのは全く表現が違います。
文章の長さ、改行の仕方など、文章ならではの工夫が必要です。

文章の書き方、表現の仕方も本を読んだり先生から教わったりして勉強しています。
文章を書くのも、たくさん書くことで少しずつ上達します。
この上達の仕方は歯科医療と同じですね。

「7.患者さんの健康と幸せを真剣に考え共に成長していきます」に書いたように階段状に成長します。
この話をしたところ、文章の書き方の先生も「そうそう、そうだね」と共感してくれました。

・歯科医師も文化と教養を身につける努力が大事

「今度の治療はこのことをチャレンジしてみたい」と新しいアイデアを出すことが診療の中で必要になってくることがあります。
治療がいつも教科書どおりにルーティンにこなせるわけではないからです。

実は歯医者の勉強だけしていても新しいアイデアは出てこないそうです。
「アイデアとは、違うものと違うものを組み合わせることで生まれるもの」と人から教わったことがありました。
その例はたくさんあります。

  • 鉛筆と消しゴムを一本にまとめたら便利だった
  • イチゴと大福を合わせてみたら美味しかった
  • エジソンが電球のフィラメントに日本の竹を使ったらうまくいった
  • 史実ではないそうですが、ニュートンがリンゴが落ちるのを見て万有引力の法則をひらめいた

かけ離れてもの同士を組み合わせると「よりすごいアイデア」になります。
リンゴと万有引力なんて、どうつながるのか見当もつきません。

例に習って歯科と絵画、歯科と太極拳、歯科と家族、歯医者と料理など。組み合わせたらどんなに素晴らしいアイデアが生まれるかもしれません。
100のアイデアを出して一つでも使えたら患者さんのためには素晴らしいことです。

「・患者さんの健康と幸せを真剣に考え共に成長していきます。」に書いた技術は階段状に成長する話も、もともとは太極拳を習っているときに気づいたことと記憶しています。
よい良いアイデアをだすため、治療と人間の向上のため歯科医療とはかけ離れたことに興味を向けることも必要と考えています。

休みの日に家でゴロゴロと寝ているだけでは寂しいですよね。
アイデアが浮かぶことも期待しつつ、運動したり芸術を楽しんだり家族、友人としゃべったりいつも色々と活動していたいです。
【関連ブログ】→「私、中村哲先生みたいな医師になりたいんです」と瞳を輝かせていた

・前の歯科医師の行なった治療をまずは認める

患者さんの多くは、前の歯科医師が治療した入れ歯やかぶせもの、歯の根の治療などがあります。
治療された歯について、私たちの目から見ればどのくらい程度の高い、あるいは低い治療を受けてきたかすぐ分かります。
お金をかけていれば程度が高い、というわけではありません。

ほとんどの治療は前医が一生懸命行っています。
私の知っている歯科医師はみんな勉強熱心で真面目な人たちだからです。
まずはその前提で治療が行われていると考えていただきたいと思っています。

口の中を見て
「この治療は素晴らしい。教えを乞いたい」
と思うこともしばしばです。

私の方針とは違う施術でも
「そういう考え方もあるんだ」
と今後の治療の参考にさせていただくこともあります。

時には学術的、科学的、物理的に大丈夫かな、と疑問に思うこともあります。
しかし口の中は常に教科書や練習用模型相手のような100%の良い状況で治療ができるわけではありません。

  • 唾液が常に流れ込んでくる
  • 角度的に、どう覗き込んでも見えない
  • 咬み合わせが次の日には変化している

などの悪条件で出来る限りがんばってくださったのですね、と苦労の跡が分かることもあります。

ですから前の歯科医師の治療はまずは認める。
特に患者さんに対して前医を否定することを言わないことを心がけています。
信じて通院していたのですから前医を否定することは患者さんを否定することになります。

そんなことはしてはいけないと歯科大学の学生時代に教わりました。
一般的な社会人としてのルール、マナー、仁義と思います。

まれに必要もないことをされていたり、無謀な施術に対して理不尽な金額を請求されていたり、との話をお聞きすることがあります。
保険治療で普通に治せるのに、歯科医の勝手な都合で患者さんに接している悪意も治療の跡から感じ取れるのですぐに分かります。

それはもちろんきっぱりと否定します。

しかし安心していただきたいのはそのほとんどは保険治療で解決できるということです。
ですから前医とのかかわりは、あまり気にしないで相談していただければ幸いです。

他の歯科医院よりもむしろ…父と一緒に診療していると治療方針が違うことが、よくありました。
それもあって前の歯科医師の治療はなるべく肯定しようと努めるようになりました。

【関連ブログ】→「イチゴタルトが教えてくれたシックなライフスタイル」
→「なぜ『患者様』と呼ぶのは、おかしいのか。」

→担当歯科医師の紹介です。