保険?自費?入れ歯にかかるお金について

Q.保険ではちゃんとした治療ができないのはないですか?

A.日本における保険治療の憲法上での根拠は、プライバシー権などと同じ「幸福追求権」である。

生活保護とそれに付随する医療や、アメリカ、イギリス、カナダなどの救貧法による医療とは違う。
だから

「日本の保険による歯科治療は最低限の低レベルなことしかできない」
というのは間違い。

そのような見解を示している文章を見つけました。
おかげで私も自信をもって保険治療をすすめることができるようになりました。

以下にご紹介するのは、私が加入している歯科保険医協会の新聞に載っていた記事です。

日本の保険治療の立場をわかりやすく説明しているので、そのまま掲載しました。

(以下引用↓)

参考文献:東京歯科保険医新聞 2020年(令和2年)9月1日号
第12回「医療者・患者を救うシステム考」
医療保険ではちゃんとした治療ができない?
保険診療の憲法上の根拠は第13条の幸福追求権
株式会社日本歯科新聞社 月刊「アポロニア21」編集長 水谷惟紗久

よく「保険ではちゃんとした治療ができない」「保険治療は貧困層向け」という考えを示す歯科医師がいます。

しかし、不思議なことに、医科では、そういった声を聞くことはめったにありません。これは、なぜなのでしょうか。

保険診療の質に懐疑的な歯科医療従事者の多くは、公的医療保険制度が社会保障の一つという点から、「保険診療の憲法上の根拠は、憲法第二十五条の生存権だ」と考えているようです。しかし、憲法第二十五条は、生活保護(と、これに付随する医療給付など)に関する規定だとされています。

仮に、保険診療が生存権によるものだとすれば。一億円を超えるような高額な薬剤が収載されたり、貴金属を使用しているのに歯科医療従事者の評判が悪い「金パラ」で歯冠修復したりする必要はないはずです。

◆二木氏による「幸福追求権」とは

医療経済学者の二木立氏(日本福祉大学名誉教授)は、保険制度を議論する際の前提として、「保険診療の憲法上の根拠は、第十三条の幸福追求権だ」と説明します。

幸福追求権は、プライバシー権などで持ち出されることが多い比較的新しい人権ですが、質の高い保険診療が担保されるための権利だと言えます。

さらに二木氏によれば、「過去、医療費の削減を進めた政権でも、最適な医療保障という基本を外れたことはない」とのこと。

日本の医療政策が「保険診療は最低限の医療」という考え方で実施されたことはないというのです。

◆「救貧法」の原則

保険診療を含めた社会保障を、貧困者向けの最低保障と見なすか、高度な質を保証するべきと考えるかは、各国の社会制度の成立過程によって違います。

例えば、地域包括ケアシステムを比較すると、イギリス、アメリカ、カナダなどは貧困者救済のニュアンスが強く出る傾向にあります。いずれの組織も対象者を厳しく絞り、徹底して費用対効果を重視します。

カナダ・ケベック州を中心とするケア組織「PRISMA」の担当者によれば、地域包括ケアシステムの「顧客」はサービス利用者ではないとのことで、納税者である地域住民の負担軽減のための活動と位置づけています。

どの組織も対象は主に貧困層。日本のように地域の高齢者全員を見守るという発想は希薄です。これらアングロサクソン系の国は、エリザベス一世時代(十七世紀初め)の救貧法(Poor Laws)からの伝統で、地域の貧困は地域の責任、貧困者への給付は必要最小限に、という原則が出来上がってきました。その後、大きな改正を経たものの、こうした原則が、社会保障の考え方に大きく影響しているものと考えられます。

そのため、公営医療(NHS)を持つイギリスにしても、民間保険中心のアメリカにしても、「必要最小限の給付が望ましい」とする発想は共通しているようです。

これに対して、幸福追求権を根拠として公的医療保険制度を運営している日本では、患者さんに最適、最良の医療を提供することが求められます。

(以上、引用おわり)

また子育ての著書でも、この「幸福追求権」について書いてありました。
「子どもの自己肯定感が高まる ほめ方・叱り方の新常識100」(齋藤孝著、宝島社)

能力の高さ、突出した技術、革命的なイノベーションを開発する力など、だれもが持っているわけではありません。

・スポーツでオリンピッククラスの活躍ができる
・偏差値70を超えるテストの成績がとれる
・YouTuberとして百万人の登録者を誇る

そんな子ども滅多にいません。
するとそのような物など持たない子どもが

「自分には才能がない」
「自分の人生には意味がない」
「自分は生きている価値がない」

そんな考えに陥りがちです。

しかし冷静に考えるとそもそも「自分には価値があるのか」という問いを生きている中ではたして持つ必要があるのか。
著者はそう疑問を投げかけます。

子どもに限らず大多数の人は人並外れた能力、技術など持ち合わせていません。
しかしそうした能力の話と関係ないところで人は生きていいんだと憲法に明記されていると、親子ともあらためて知ることが大切であると啓蒙していました。

「能力と関係ないところで人は生きていい」
これは歯科治療においてももちろん適用されます。

保険治療なら一万円かからずできる治療に百万円もの大金を支払う。
それは医師が患者さんに、普通の人の百倍ものお金を手に入れる特殊な能力を要求することです。

たとえば私は真珠腫性中耳炎で大学病院で手術を受けました。
2回の全身麻酔での手術で、私が窓口で支払ったのは保険や高額療養費制度などを使ったので総額20万円ほどでした。
これをもし自費治療にされたとしたら歯科と同じ金銭感覚で計算すると二千万円が必要なことになります。

二千万円…それは漫画のブラックジャックの手術代です。

しかしもし将来、歯科でない医科までもが歯科医のように自費治療に血道を上げるようになったとしたら中耳炎の手術がもれなく二千万円の未来が待っています。

今回は炎症部分を除去して、耳の後ろの軟骨や骨膜から鼓膜と耳小骨を作ったそうですが、自費治療になったらセラミックの鼓膜とゴールドの耳小骨になるのでしょうか。

「金のない患者は価値がない」

これが自費治療を行う歯科医の本音です。

患者さんの側も人並外れた金もうけの技術を持ち合わせていないと医療が受けられない。
今のところ歯科でない医科について、そんな修羅の国になっていない日本はありがたいものです。

憲法第十三条には

「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」

とあります。

・スポーツ得意でなくても
・テストの成績が普通でも
・あらゆる人を一瞬で虜にするネットコンテンツを持っていなくても
・歯科治療に百万円を支払うほどの過度に肥大した経済活動をしていなくても

普通に生きて幸せに過ごす権利を持っていると憲法に書いてあるということです。

「どんな人でも歯科治療を受ける価値がある」

・歯が痛い
・入れ歯が合わない
・歯がない
・歯医者に行かなくちゃ

そんな時には是非この憲法第十三条を思い出していただくことが、あなたの心のセーフティネットになれば幸いです。

ですから

「保険でちゃんとした医療を受けるのは日本国憲法第十三条の幸福追求権で保障された権利である」

歯科医師にそう宣言する必要まではないと思いますが、善意にのっとった質の高い歯科治療を堂々と「保険で」受けていただきたいと私は考えます。

Q.保険の入れ歯と自費の入れ歯の違いは、どんなところですか?

A.まずは値段が違います。保険の入れ歯は1個約1万円で新しく作れます。

当院では扱っていませんが自費の入れ歯は1個300,000円(税込)で昔は行なっていました。自費治療は歯科医が値段を自由に決めるので100万円とかいうところもあります。値段の違いにはもちろん理由がありますので、それをこれから説明していきます。

保険の入れ歯はプラスチックで出来ています。プラスチックで作る利点は修理、調整がしやすいことです。
患者さんは入れ歯に何らかの「困ったこと」があります。

プラスチックの入れ歯ならば

  • 入れ歯の痛みをとる
  • 壊れた入れ歯を修理する
  • ゆるいのをピタッとさせる
  • しゃべりやすくする

など自由自在に加工できます。
プラスチック以外の材料ではそのような修理、調整などが難しいですし、出来ないことがあります。

特に最近の歯医者が熱心に勧めたがる自費治療のインプラント、磁石マグネットを使った入れ歯、テレスコープ義歯、シリコンなどの新しい素材を使った入れ歯等は、修理、調整がほとんど出来ません。

入れ歯は使っているうちに上記のような困ったことがが必ず起きます。そんなときに修理、調整のできない自費治療の入れ歯は手も足も出ないことがあります。

まずは保険治療の範囲で「困ったこと」を治すこと。それから「困ったこと」が起こらないような入れ歯にしていくことが大事です。そのためにも当院では保険治療の入れ歯をお勧めしています。

自費治療の入れ歯は、昔は手掛けていることもありましたが今は一切扱っていません。デメリットが多いとか、自費治療そのものに対する不信、トラブルの多さなどが、その理由です。高いお金を頂いても後から苦労するので、自費治療の取り扱いはやめてしまいました。

一般論にはなりますが自費治療で多く見かける金属床入れ歯の説明をします。自費の入れ歯は大部分が金属で出来ています。だから金属床入れ歯と呼ばれます。金属床入れ歯の利点は3つあります。

1.「壊れない」こと
保険のプラスチックの入れ歯は、落としたりすると簡単に真っ二つに割れてしまったり歯の部分が欠けてしまったりします。また噛む力で割れてしまうこともたまにあります。金属床ならばその心配はありません。

たとえば病院に長期入院したときなど保険のプラスチックの入れ歯が壊れると病院に歯科がない限り治せません。病院に歯科が併設されていることはあまりありません。
すると流動食しか食べられなくなってしまう。壊れない入れ歯の価値は大きいと思います。

しかし実は、保険の入れ歯でも金属のプレートを入れて金属床とあまり変わらない補強を作ることができます。
ですから保険治療でも「壊れない」ものを作ることはできます。

2.薄く作れること
金属床はとくに上顎を覆う部分を薄く作れます。プラスチックだと強度を保つために厚さ、大きさがどうしても必要です。

もっとも金属床入れ歯も長く使っていると、入れ歯と歯グキが合わなくなってきます。歯グキは生きている体なので変化することは当然です。すると歯グキと合わせるために、入れ歯に歯科専用の安定剤のようなものを貼ります。

リベース材とかティッシュコンデショナーといいます。
そのようなものを貼れば厚さは保険治療のプラスチックと変わらなくなります。だから薄いという金属床のメリットは最初だけです。

3.磨き上げられた金属の質感は「所有する喜び」がある
金属の輝きはプラスチックとは段違いです。
もっとも金属床の凝った設計を見て興奮するのは歯科医師だけのような気もします。

半面、金属床の入れ歯は欠点もあります。

1.食べる、話すなどの機能は保険の入れ歯と同じということ
だから意味がないというわけではありません。一番言いたいことは「入れ歯がうまくいかないからと言って、お金をかけて金属床入れ歯にしても夢のようにうまくいくということはない」ということです。

金属床入れ歯は魔法ではありません。過剰な期待はしないことです。痛い、入れられない、話せない、食べることができない等のうまくいかないことがあれば、まず今の入れ歯でそれを解決することです。

やみくもにお金をかけて作りなおしても「うまくいかない新しい入れ歯」ができるだけです。入れ歯の調子が良くないときは、まず保険治療の範囲で調整することです。
それで良くなって、さらに良いものを求められるならば金属床入れ歯は期待通りの物になります。

ただ保険で良い入れ歯ができるのに、なんでわざわざ難しい金属床を作るのか、私にはよく分かりません。

2.痛い、食べにくいなどのことがある場合に調整が難しい、あるいは不可能であること
プラスチックを削ったり盛り足したりするのに比べると自費の金属やシリコンは難しい、あるいは不可能です。プラスチックの入れ歯に、修理するプラスチックの材料はよく付きますが、金属やシリコンとプラスチックは付かないからです。

あとは入れ歯と歯グキを合わせるリベース材やティッシュコンデショナーも、金属やシリコンには付きません。
だから痛い、合わない、壊れたなどのことがあったときに「保険の入れ歯なら簡単に治るのに」と忸怩たる思いをすることがあります。

精度の高いと思われる入れ歯を作っても、始めは痛い、食べにくいことはあるので調整しますし、入れ歯を作ってからの調整は、どんな入れ歯でも絶対に必要です。今後何年も使う、先々のことを考えると当院では保険の入れ歯をお勧めしています。

Q.入れ歯はどのような素材でできているのですか?完成までにどのくらい時間がかかるのですか?

A.保険の入れ歯はプラスチックです。レジンといいます。加工しやすいのが特長です。

いとう歯科医院では小さい入れ歯なら歯医者が自分で作ります。その場合は2~3回の来院で1~2週間で作れます。
大きな入れ歯の場合は技工所という入れ歯を作る専門の所に発注します。

職人技で、よりきれいに丈夫に作ってくれます。その場合作製に5~6回の来院で1か月ほどかかります。
作製の手順と、完成して口の中に入れてから数回の調整が必要なのは保険の入れ歯も金属床も同じです。

「ある歯科医院では、保険の入れ歯だと歯の色や歯並びが選べなかった」という話を聞くことがあります。
その歯科医院のやり方には私は疑問を感じます。

また歯の色も選べます。
とくに歯並びは合わないと顔が曲がって見えてしまったり、そもそも口の中に入れられない等のことが起こるのでチェックが必ず必要です。
それをしないで入れ歯を作製することは私には考えられません。

だから逆に「1回の治療で総入れ歯を作ってほしい」とか「1週間以内に入れ歯を作ってほしい」などの要望には応じられません。

そうすると5~6回必要な過程のどこかで手抜きをすることになるからです。
結局は使えないことになるので、そのようなことはしないほうがいいです。

Q.保険の入れ歯か、自費の入れ歯を作るのが良いか悩んでいます。種類は選択できますか?

A.当院では保険の入れ歯のみ取り扱っています。

自費治療の入れ歯は取り扱っておりません。

保険の入れ歯でも歯並び、形、大きさなど多くのバリエーションがあります。
メリットとデメリットを納得いくまで説明します。

「口に中にどういう問題点があるのか」
「どんな治療を行なうと良いのか」

保険の範囲で治療して確認してから新しい入れ歯作りを進めるとより満足のいく結果が得られます。
今使っている入れ歯で問題点を解決すると、新しく作る時も問題点に気をつけながら作れますから安心してより良い満足できる入れ歯ができます。

今使っている入れ歯が調子良くないのに、新しく作りさえすれば良くなるということはありません。

そのような理由で、いとう歯科医院では新しい入れ歯を作ることを最初から勧めることは少ないです。
新しく入れ歯を作るよりも、先にやることがあるからです。

先にやることとは、今使っている入れ歯をより良くすること、今ある入れ歯をできるだけ長く使っていただくこと、患者さんとより長くお付き合いしていくことです。

金属床はコバルトクロムやチタンなどの貴金属を多く用いた入れ歯です。
壊れにくいというメリットを謳っている歯科医院が多いですが保険治療でも金属プレートや補強の金属線を埋めることで同じように壊れにくくできます。

特に上アゴは薄く作れるのはメリットです。
ただ長年使っていると歯グキと入れ歯が合わなくなるのでティッシュコンディショナーやリベース材という歯科専用の安定剤を貼ることがあります。

そうすると厚さは保険のプラスチックと変わらなくなります。
だから「薄い」というメリットは最初だけです。

金属は削りにくいので、痛いときに削る調整がやりにくい、あるいは出来ないという致命的な欠点があります。
あと金属にはプラスチックが付かないので修理できないという、これも致命的な欠点です。

そのため当院では、昔は扱っていましたがデメリットばかりということに気がついて今は扱いをやめてしまいました。

最近流行しているのはシリコン義歯という歯グキと接する部分がシリコンで作られているものです。

シリコンは柔らかい、弾力がああるから歯グキとフィットするという謳い文句をよく見かけます。

ハッキリ言ってしまいますが、それはウソです。

調子が悪いシリコン義歯をよく見かけます。
装着されているシリコン義歯を指で揺らすと口の中でカタカタ動きます。

そもそも入れ歯というのは「口の中でいかに動かないか」を考えて作ります。
だから精密に型を採って安定した咬み合わせを見つけて、カチカチ咬んでも歯ぎしりしても「動かないように」作ることを考えます。

それが入れ歯の材質を柔らかくして動いてしまったら、何のための入れ歯なのか私は理解できません。

また削ることも修理することも出来ません。
デメリットしかないのでシリコン義歯は当院では扱っていません。

またよく見かけるのは特殊なアタッチメントで維持する入れ歯です。

マグネット入れ歯、コーヌスクローネ、リーゲルテレスコープをはじめとするテレスコープ義歯、オーリングアタッチメント、特殊な素材を使ったミラクルデンチャーなどが挙げられます。
調整、修理が難しい、出来ないという、なるべく触りたくない入れ歯です。

マグネットは修理や調整したら、なぜかマグネットが効かなくなってしまったという事例がありました。
歯グキと入れ歯が合っていない、咬み合わせが合っていない、それにも関わらずマグネットの力だけに依存して入れ歯を維持していた。
そのためマグネットが効かなくなったら全く使えない入れ歯になってしまいました。

特殊なアタッチメントはデメリットが多いのでなかなか保険治療に入らないのだと個人的には思っています。

その中でもとくにマグネットは要注意です。
最近になって保険治療に入りましたが「今さら」という感じです。
ですからとくにマグネット入れ歯は治療をお断りすることもあることをご了承ください。

Q.保険の入れ歯について知りたい

A.保険の入れ歯は、国民健康保険などの保険を使って入れ歯を作るものです。

プラスチックのものになります。歯を一本だけ失った方から、一本も歯がない方の総入れ歯まで幅広く応用できます。
安価なこと、修理、調整が簡単にできることが利点です。保険の入れ歯の費用、値段は上下どちらか片方で約5,000円~10,000円くらい(保険適応3割負担の場合)です。入れ歯本体の値段、診断料、型取りの費用、装着料等を全て含んだ料金です。

保険の総入れ歯の治療期間は通院4~5回くらい。約1~2週間で型取り→精密な型取り→噛み合わせの決定→仮入れ歯の試適→装着という流れが多いです。

ただし、歯グキやアゴの形に問題があった場合などにはその治療を行なう必要があるので、治療期間が長くなります。

入れ歯は新しくしても歯グキの形がだんだん変わってきて合わなくなってくるので定期的な調整が必要です。
それは自費の高額な入れ歯でも同じです。自費の高額な入れ歯は、より細かく調整が必要です。

保険の入れ歯は、プラスチックの強度を保つために分厚くなりやすいことは欠点です。

しかし、その欠点は慣れること、時間が経つこと、入れ歯を入れてから調整をすることで克服できることがほとんどです。違和感があったり話しにくかったというデメリットがありがちと思われますが実際には心配いりません。それらは舌や頬を動かす運動トレーニングをすることと慣れることで解決できます。トレーニングのやり方もお教えします。

プラスチックの歯では噛む能力が低いとも思われがちが、実はそうとは限りません。アゴの強さや歯グキや咬み合わせの相性が大事です。保険のプラスチックの歯が食事してて疲れなくて噛みやすいと喜ばれる方も多いです。

症例によっては硬いセラミックの奥歯にする方法もあります。合わないとかえって食べにくくなってしまうこともあるので慎重な選択が必要です。

しかしプラスチックの奥歯だと歯ぎしりで擦り減ってしまうという事例がありましたが、そのようなときにセラミックの奥歯にすることで解決しました。

もっともそのような症例は私が当院で治療し始めて2例だけです。

そのためにもいきなり新しい入れ歯を作るのではなく、まずは今まで使い続けている入れ歯を修理したり調整したりして最善の方法を探していくことをお勧めしています。入れ歯の修理や調整は保険で数千円でできます。

やみくもに新しい物を作るのではなく、今まで使っていた入れ歯をより良くすることを積極的に治療として行なっています。

保険の入れ歯だと自費の高額な入れ歯と比べて落ちたり外れたりしやすいのではないかと思われがちですが、
そのようなことはありません。

逆に保険の入れ歯もうまく合わないのに高額な入れ歯を入れれば合うということはありません。
保険の治療で、どうすればよく入れ歯が合うのかを調べることが長く入れ歯とお付き合いするコツです。

入れ歯が合わない→スグに保険の入れ歯に作りかえる→やっぱり合わない→自費の高い入れ歯に作りかえる→大金を払ったのに合わないことがほとんど

このような流れはお勧めしません。

入れ歯が合わない→調整する・修理する→入れ歯が合うようになる→時間が経つと少し合わない部分が出てくる→少し調整するだけで合うようになる

このような流れで入れ歯を常に良くしていければ入れ歯が長持ちします。

調整、修理を何年も繰り返していると、どうしてもプラスチックは物理的な限界がきて壊れることがありますが補強の金属線を入れるなどして修理してさらに長持ちできます。
このような修理も保険治療でできます。

「あまりにしょっちゅう壊れる」「ツギハギだらけで見た目も良くない」「修理も難しくなる」など、
本当の限界が来るのは入れ歯を使って何年も後のことです。

そうなってから入れ歯を新しくすることを考えても十分間に合います。保険の入れ歯でも金属のプレートを入れることで金属床と遜色ないものができます。

部分入れ歯のバネが目立つという悩みはあります。
それはバネの長さを切断して短くすることで少しでも目立たないように出来る場合があります。

もっともバネのない入れ歯、たとえばシリコン義歯とかマグネット義歯、テレスコープ義歯などがありますが、デメリットも多いので当院では扱っていません。

Q.自費の高額な入れ歯について知りたいです。入れ歯に何十万円もお金をかける価値がありますか?

A.いとう歯科医院では自費治療は扱っていません。

技術的なメリット、デメリットは他の項目で書いたので割愛させていただきます。
ここでは、そもそも自費治療は、なんでケタ違いに高いのか、自費治療の正体という話をさせていただきます。

「フェラーリと歯科の自費治療はなぜ高いのか?」

要約
・自費治療費として材料費、技術料を上乗せして請求するなら、保険治療のせいぜい2~3倍が妥当。
・自費治療費は宗教のお布施と同じと思ってください。
・自費治療をしたいなら神を探しましょう。ただしそういう内容のホームページは大半が医療法違反です。
・保険の歯科治療にも光があるのは、自動車業界の例が参考になります。

保険治療の入れ歯は、ステンレスやパラジウムなど非貴金属とプラスチックを用いた物が総額1万円くらいです。

これが自費治療の金属床義歯になるとプラチナやチタン、セラミックを用いて100万円という金額も目につきます。

なぜ自費治療は保険治療の10倍~100倍とケタ違いに高いのか。

患者さんに聞かれることが、しばしばあります。

実は最近まで私自身もハッキリした答えを持っていませんでした。

一般論になりますが自費治療が高額なのは以下の二つを理由にしているところが多いようです。

20代のころに勤めていた歯科医院でもそう説明していましたし、他の歯科医院のホームページなどを見ても普通によく書いてある内容です。

一つ目の理由は、保険治療のプラスチックではなくセラミックを使う、保険治療のパラジウム合金ではなくゴールドやチタンを使う、型をとる材質を、保険治療の寒天ではなくシリコンを使うなど。
良い材料を使っているから。

二つ目の理由は、たとえばコンピューターを駆使した計測器で顎間関係を計り精密な値をもとに作製する。歯型をとるのを2回に分けて精密な模型を作製するなど。
特殊な技術を使っているから。

つまり材料費と技術料を上乗せして請求させてください、という理屈です。

治療にかかる材料費は調べれば簡単にわかります。技術を身に付けるセミナーの費用も当然知っています。私もそれなりに投資してきました。

それでも自費治療が10倍~100倍の値段になるかなあ? 
そんなことしていいのかなあ? 
やっぱり暴利なんじゃないかなあ?

なんとなく納得いかない、胸のつかえが降りない感覚を20年以上も抱いてきました。

自分でも納得していないのですから患者さんにも上手く説明できません。そのようなわけで昔から自費治療にはあまり積極的ではありませんでした。

そんなある日ふと、同じような話に心当たりがあってインターネットで調べてみました。

それは車の話です。
車の世界には10倍~100倍の価格差が妥当な話がありました。

そのことを理解してからは、保険治療と自費治療の価格差について自信を持って説明できるようになりました。

大衆車の一つトヨタカローラ。2019年モデルが160万円台です。
いっぽう同じ年式の8気筒のフェラーリ488GTBは3000万円を超えます。

フェラーリはカローラの20倍の価額です。
しかし…

カローラの最高速度が時速160キロくらいでフェラーリが20倍の時速3200キロ(約マッハ3)が出るわけでもない。
カローラの馬力が100馬力でフェラーリの馬力が670馬力。すごいことは確かですが20倍の2000馬力(第2次世界大戦の零戦なみ)が出るわけでもない。
カローラよりもフェラーリのほうが20倍安全なわけでもない。むしろカローラのほうが安全装置は格段に進歩しています。

一般的に物の値段とは、その価値と比例しています。
たとえば1本250円のダイコンを20本買えば5000円になります。
20倍という価値になるからです。
これ以上ないくらい当たり前の話をしているだけです。

いっぽう20倍の数値などどこにも出てこないのにフェラーリはなぜ高いのか?

自分なりに理解したのは、フェラーリは材料費と技術料が上乗せされているから高い「のではないから」ということでした。

フェラーリだって材料費と技術料はもちろんお金をかけています。ですがフェラーリにもライバルがいます。材料費と技術料だけで勝負していたとしたら、せいぜい原価分くらいしか値上げできないはずです。

ではなぜそんな大胆な値段にして大丈夫なのか。
カローラになくてフェラーリにあるものは何なのか。

価格設定とは、欲しいという欲求を起こさせるための手段でもあります。販売台数を絞るなどの戦略を行なったり様々な工夫やマーケティングの研究の上に成り立っているものです。

ケタ外れな価額にしても私たちに「ほしい」という気持ちを起こさせるため、技術や材料以外のことでフェラーリ社がとくに注力していることがありました。

それは創始者であるエンツォ・フェラーリの伝説をより高めること。
具体的にはF1レースへ莫大な投資を行ないブランドの価値を高めることでした。

「伝説」…カローラにはない言葉です。どういうことだろう。そこで次にエンツォ・フェラーリの伝説を調べてみました。

・エンツォは、1909年にフェラーリ家の次男として生まれた。父は金属工場を経営していた。
フェラーリという家名は、イタリア語で鉄を表す“ferro”に由来している。
・23歳の時、エンツォはテストドライバーとしてアルファ・ロメオで働き始めた。その後レースドライバーとなるが、華々しい活躍を残してはいない。
彼が初優勝を果たした表彰式の後、一人の男が彼に話しかけた。
第1次大戦中に34機の敵機を撃ち落とした英雄フランチェスコ・バラッカの父親だった。
彼は息子が愛機に描いていたシンボルの跳ね馬(キャバリーノ・ランパンテ)を、意気盛んな若者に贈った。
・1929年、エンツォは自らのレーシングチーム、スクーデリア・フェラーリを設立する。1932年に妻のラウラとの間に息子のディーノが生まれて以後、エンツォは自らステアリングを握るのはやめてチームのマネジメントに専念する。
1930年代になるとドイツのヒトラーがレースでの勝利を国民統合の手段として利用するようになり、巨額の費用をかけて無敵のチームを作り上げる。
スクーデリア・フェラーリは名車P3で対抗するものの性能差は明らか。1935年7月のドイツGPも勝つのはドイツ勢だと誰もが思っていた。ニュルブルクリンクでは予想通りブラウヒッチュ操るメルセデス・ベンツが圧倒的な速さを見せつけた。
ヌヴォラーリは必死に追い上げラストラップで30秒の差まで迫る。
その時、奇跡が起きる。メルセデスのタイヤがバーストしP3がチェッカーを受けたのだ。
イタリア国民は熱狂しフェラーリはイタリアの象徴となった。(諸説あり)

…調べているうちに自分の胸が熱くなるのを感じました。フェラーリが欲しい人の気持ちが分かる気がします。

エンツォ・フェラーリだ~い好き、偉大なエンツォに少しでもお近づきになりたい、いくら高くても欲しい。
伝説に魅せられてフェラーリを競って買う人がいるのです。
こうした伝説に裏打ちされた宗教的ともいえる個人崇拝が、フェラーリの価格に反映されていると私は感じました。

そんな宗教的なお金であれば、お布施と言い換えても、あながち間違いではないかも知れません。天井知らずなお金を出すのも納得できるというものです。

会社の経費、転売目的、お金を使うこと自体への快感、モテると思って、などの理由でフェラーリを購入する人はいるのでしょうが今回の話とは関係ないので脇へ置いておきます。

私がトヨタ車を買ったときはライバルの日産車を引き合いに値引き交渉をしました。端数の数万円おまけしてくれました。
車の値引き交渉と同じように歯科保険治療の価格は毎年国で論議され、保険治療の価格を上げたい医師側と金額を抑えたい厚生省、保険者側とで激しい交渉が繰り広げられます。
0.何パーセントアップを勝ち取りました! と歯科医師業界紙の会報等に華々しく業績が喧伝されるので嫌でも目に入ります。
いっぽうフェラーリを買うのに値引き交渉など論外です。お寺の住職さん相手にお布施の金額を値切る人はいません。
逆に宗教に対して天井知らずなお金を出す例は枚挙にいとまがありません。

そう考えると歯科の自費治療として、材料費と技術料を上乗せして10~100倍のお金を請求する。

これはますます無理があるように思えます。
材料費と技術料を上乗せするとしたら何倍くらいが妥当でしょうか。これもまた車にたとえることができます。

私の手元にやや古いですがコンパクトカー、トヨタヴィッツのカタログがあります。
値段表を見ると様々なグレード、等級があることに気がつきます。
まさにこの等級による値段の違いが材料費と技術料の違いです。

ウレタンのハンドルを革巻きハンドルにしたから、ダイヤル式のエアコンをフルオートにしたから、イスを快適な物にしたから、エンジンをパワフルにしたから。
価格は1.0F゛Mパッケージ゛が1,181,520円、HYBRID GR SPORTが2,318,760円。
材料費と技術料を上乗せした高いグレードは低いグレードの1.96倍の価格でした。

歯科の保険治療においても材料と技術によってヴィッツと同じように価格に差があります。
たとえば前から4、5番目の小臼歯をすべて覆うかぶせものがあります。
金銀パラジウム合金冠、ハードレジン冠、CAD/CAM冠などの種類があり材料費、技術料がそれぞれ細かく設定されています。

価格は2016年の時点で合金→3600円、レジン→4200円、CAD/CAM→8000円くらいです。
保険治療の価格設定とは常識の範囲で利にかなっていると言えます。

仮に材料費と技術料を上乗せして歯科の自費治療としたいなら、価格の違いは保険治療のせいぜい2~3倍程度にとどめておくのが無難だと個人的には思います。

なぜなら車のカタログで見る限りでは10倍の価格、1000万円を超えるヴィッツなどというものは見当たらなかったからです。
材料費と技術料を上乗せしているだけの物を10倍~100倍の値段で売る…
歯科業界と違って日本の経済を支える自動車業界は、そんなアコギな商売はしていませんでした。

昔のフェラーリは機能、品質がお粗末でした。
車内に常備するのは「消火器」というのはアメリカンジョークではありません。
車は大量に作るほど新しくなるほど、生産が機械化、自動化、システム化されて品質が上がります。

この30年で車の技術は著しく進歩しました。
インターネットの発達、3Dデータやカーボンファイバーなどによりフェラーリのような少量生産でも安定した品質になり昔のようには壊れなくなりました。

一方歯科の自費治療においては長足の進歩があったのでしょうか。

2012年1月18日(水)放送 NHKクローズアップ現代「歯科インプラント トラブル急増の理由」によると歯学部がある全国の大学病院などを対象にNHKが行ったアンケート調査で、治療後に、不具合を訴えて大学病院などを訪れた患者はこの2年半で2700人以上。

インプラントを用いた施術によるトラブル件数は、東京医科歯科大学において他院埋入インプラントの不調を主訴に来院する患者数を発表しています。
1996年度から 2011 年度までは増加を認めて2011年度から 2016 年度にかけては横ばいだったとあります。

2011年12月に初めて公表され2019年6月21日に更新された独立行政法人国民生活センターの発表によると、歯科インプラントにかかわる相談件数は2013~2018年まで毎年60~80件で横ばいに推移しています。

当院では自費治療を患者さんにはお勧めしませんが、他院で行なう自費治療を否定はしません。
これまで述べてきたことを踏まえてもしあなたが歯科の自費治療を求めるなら、エンツォ・フェラーリのような胸を熱くする「伝説」を持つ歯科医師を探すことです。

最近は歯科医が本を出版したりホームページに自分の考え方や生い立ち、治療方針などを書いたりしています。
そのような物を読んで胸が熱くなったなら受診してみては、いかがでしょうか。

「メルセデスのタイヤを勝利への執念でパンクさせる」
「石をパンに変える」
「空中浮揚できる」

それに匹敵するくらいの奇跡、神の御業を行なえる先生の元でなら入れ歯一つに100万円の「お布施」を納めても悔いなしでしょう。
ただ私が知っている範囲ではそんな神など存在しません。

もちろん当院はそういう神ではありませんので保険治療に基づく一部負担金以外のお布施は不要です。

なおそのような歯科医院をインターネットのグーグルで検索するときに、医療の世界に特有の気をつけなければいけない点がひとつあります。

車の世界では虚実が入り雑じった伝説を書くことに対して誰も規制する人はいませんし、そんな必要もありません。
なぜならフェラーリを注文してから納車まで2年間ウキウキしながら過ごして、実車が来てからは心がワクワクで運転して満足ならばそれで十分だからです。
昔と違ってエンジンが爆発することはありません。
不具合があれば公式にリコール情報を出して良心的に対応してくれます。多少の誇張されたエンツォの伝説は許容範囲です。

いっぽう医療の世界では、あまりにホームページやテレビなどでウソの情報、デマが繰り広げられて許容できない実害が出るに至っています。
そのような事情で、科学的根拠の薄弱な施術の紹介や、有名人を治療した話や、実体のない学会の認定医資格を標榜すること等が医療法で禁止となりました。

○○インプラントセンターによる術前術後の劇的な違いを強調した写真
患者さんの声と称した一目でヤラセと分かる文章が延々と書いてある
最新鋭○○式治療法とやらについて自画自賛しているなど

派手に宣伝しているホームページはそもそも医療法違反です。

そしてよくそんな自費治療に対する不満、ひどい目に合った、困っているという話を聞きます。
それはある意味、当然のことです。
自費治療を行なうとは、不治の病を治す、死者を生き返らせるなどに匹敵する「神の御業を見せます」と言っているのと同じだからです。
神の御業のできない、資格のない者が神の御業を気取ってお金を取るからトラブルになるのです。

だからこそ自費治療を行なうならば桁違いな金額でいいのです。
神の御業に対するお布施だからです。
仮に死者が生き返るなら全財産を出すと言う人の気持ちは私にもわかります。
自費治療で高額なお金を取ることを否定しないのは、そのような理由からです。

ですからあなたが自費治療を勧められたら歯科医に「あなたは神なのですか?」と聞いてみてください。
「いいえ、違います」と言うなら保険治療にしてもらうのが無難です。

「はい、私は神です」と言うなら自費治療を受けてもいいと思います。
神の右側にいる者、使徒、預言者なども同じ意味です。

ただ「私は神です」などと言う人間の言葉の99%以上はウソですので、くれぐれも気をつけてください
…というのはあくまでも自分の個人的な感想です。

「自費治療にしなさいと、歯科医の売り込みが激しくて困った」との患者さんの話を聞くことがあります。
フェラーリのセールスマンの売り込みが激しくて困るということはあるのでしょうか。
フェラーリのディーラーには行ったことがないのですが、おそらくありません。

「売れすぎてはブランドの価値を守れないから売り先を吟味すべし」
「中国で年に500台も売れては独創的な存在たりえない」
フェラーリ元会長のルカ・ディ・モンテゼーモロのコメントが歯科の自費治療のあるべき方向性を示してくれています。

自費治療を「売り込む」歯科医師などモンテゼーモロに頭をひっぱたかれればいいと思います。

自動車の世界でもフェラーリのような存在は稀で特殊なものです。
新婚旅行でイタリアに行ってローマ、フィレンツェ、ベネチア、ミラノと回りました。
その中でフェラーリは、大富豪が集まるリゾート地コモ湖で1台見ただけでした。

歯科の自費治療もそれくらい稀少で特殊なもののはずです。
私が開業している西荻窪について、インターネットのヤフーで「西荻窪 歯科」と検索すると歯科医院が50件出てきます。
自費治療を高らかに謳っているホームページを数多く見かけます。
西荻窪駅前に50件のフェラーリディーラーとはバブリーで楽しい眺めではありますが非現実的ですよね。

それでは材料、治療法について制約の厳しい安価な保険治療は手抜きでダメな治療で希望がないのでしょうか。
もちろんそんなことはありません。

たびたび車の話で恐縮ですが、スズキアルトなど軽自動車を中心に作っている鈴木自動車工業株式会社の社長、鈴木修氏の話です。

「軽自動車は寸法も排気量も厳しく制限されている。そのなかで素晴らしい4人乗りのクルマができているのは軽メーカー各社の努力のたまもので、いわば芸術品のようなものだ」と述べていました。

社長は徹底した現場主義、現実主義者として知られます。
「小さく、少なく、軽く、短く、美しく」の全社方針のもと、全国各地に点在するディーラーや小売店の整備工場へ社長自ら出向きます。
そこの現場スタッフやユーザーの声を直に訊いたりするなど顧客の動向や問題点の洗い出し、販売戦略、製品改良の探求追求に余念がないとありました。

その努力のおかげでしょうか。
国内新車販売に占める軽自動車の割合は1980年ごろは20%前後だったのが2018年では40%近くになっています。
厳しく制限がある大量生産品でも芸術品を作る、こんな努力もアリだと思います。
こちらの話にも私は胸が熱くなりました。

歯科の保険治療は材料も技術も厳しく制限されています。
そんな中でも徹底的に患者さんと向き合って、きれいで食事も会話もよくできる芸術品のような入れ歯治療に努力する。
こちらが私の目標としている治療になります。

「満足は天からの財産。ぜいたくは人がつくる貧しさ」とソクラテスは言いました。
当院では金合金やチタン、セラミックを用いた自費治療のようなぜいたく品は扱っていません。
数百万から一千万円を超える、車で言えばフェラーリに匹敵するぜいたくな治療機器もありません。

しかし5000円ほどで簡単に半日で修理でき、1万円ほどで新しく作れる、さなから軽自動車のように小回りの利く保険治療の入れ歯で、痛くなく快適に食事ができて笑顔でいられる。
そんな患者さんの「満足」に微力ながら力添えすることが私の歯科医師としての満足です。

これまで散々お値段の高い車の例として挙げていたフェラーリですが私も見習いたい、日本車にはほとんど例のない取り組みをしています。
それはフェラーリクラシケ。
古いフェラーリを修復して、それを認定する制度です。
フェラーリクラシケ認定された車は50年前の物でもオークションで1億円の値がついたりします。

入れ歯も古くなっても修理、修復して使えます。
入れ歯を他の歯科医院で新しく作ったら違和感がすごくて全然使えない、との話を聞くことがあります。

そんな時には、これまで使っていた古い入れ歯を修理、ティッシュコンディショナーという歯科専用の入れ歯安定剤のようなもので歯グキと入れ歯を合わせる、部分入れ歯の歯にひっかける金属のバネをその場で作るなど、フェラーリクラシケのように古い入れ歯を甦らせる手段がたくさんあります。
念のため申し上げておきますと、そのような入れ歯の修理は保険治療でできます。

もちろん新車以上の高値がつく=儲かるから事業として成り立つフェラーリクラシケですが古い物も大事にする発想は、入れ歯修理を数多く手がける歯科医として自分の進んでいる方向が正しいことを確信しました。

参考文献:
フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ伝説を生み出すブランディング 越湖信一 KADOKAWA

https://gazoo.com/article/car_history/131108_1.html よくわかる 自動車歴史館 第6話<自動車人物伝>エンツォ・フェラーリ(1951年)

https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3143/1.html
2012年1月18日(水)放送 NHKクローズアップ現代

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20190314_1.pdf#search=%27%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88+%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB+%E4%BB%B6%E6%95%B0%E3%81%AE%E6%8E%A8%E7%A7%BB%27 平成31年3月14日 独立行政法人国民生活センターあなたの歯科インプラントは大丈夫ですか-なくならない歯科インプラントにかかわる相談-

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/31/1/31_72/_pdf 日本口腔インプラント学会 第31巻1号 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科インプラント・口腔再生医学分野2017 年10月30日受付

https://toyokeizai.net/articles/-/214245 東洋経済オンライン 軽自動車が新車の4割近く売れてしまう理由

「俺は中小企業のおやじ」鈴木修 日本経済新聞出版社

堕落する高級ブランド ダナ・トーマス 講談社

Q.高い素材の高額な入れ歯を勧められるのではないかと心配です

A.いとう歯科医院では高い自費治療を勧めることはありません。以前は30万円という自費の金属床入れ歯も手掛けていましたが、メリットがないのでやめてしまいました。

自費の入れ歯、自費の治療は「お金をかければ夢のように良くなる!」と思われている方も多く、そのような内容を謳った宣伝も数多く見かけますがそれは間違いです。

自費の入れ歯の欠点として、痛い、食べにくいなどの不都合なことがあった時に調整、修理がしにくい、あるいは不可能、ということがあります。

保険の入れ歯ならばプラスチックを削ったり盛り足したりすればいいので調整が簡単です。

いっぽう自費の入れ歯は金属やシリコン、セラミックでできています。金属やシリコン、セラミックは痛くても削れない、痛みを取り除くことができない。プラスチックと接着できないので、修理もできない。歯グキと入れ歯を合わせるティッシュコンデショナーも貼れない。最初は少しきれいでいいなと思うのですが、後から調整しにくくて患者さんも歯科医師も苦労を強いられるのです。

特に初めての患者さんの場合は入れ歯の大幅な修正が必要なことも多いです。そのような方に初めから作業しにくい金属床入れ歯を勧めるのは無謀です。おそらく患者さんの満足度も低くなってしまうでしょう。
高いお金をいただいて満足してもらえない仕事はできません。

高い素材のものを勧めるよりも逆に、「高いものを入れないとダメなのではないか?」と考えている方に「保険で早く安く調子良くなった!」とおっしゃっていただける治療を積極的に行なっていこうと考えています。

Q.保険の入れ歯と自費の入れ歯の料金は、どのくらいですか?

A.保険の入れ歯はプラスチックで作ります。1個5,000円~10,000円ほどです。治療の流れや部位などによって金額が変わってきます。自費の金属床入れ歯は上下どちらか1床で300,000円(税込)で昔は行なっていましたが、今は扱っていません。支払方法はカードは扱っていません。現金か指定の口座に振り込んでいただく形になります。

Q.保険の入れ歯と自費の入れ歯は、どっちがいいですか?お金をかけた方がいいのでしょうか。

A.初めて行く歯科医院では保険治療にしてもらって様子を見てみるというのが賢明です。お金をかけたほうがいいとは言えません。メリット・デメリットをよく理解することが必要です。

自費の入れ歯、自費の治療は「お金をかければ夢のように良くなる!」と思われている方も多く宣伝も数多く見かけますがそれは間違いです。合う、合わないがあります。

合う、合わないとは、たとえば自費の入れ歯は見栄えが良く大きい作品になりがちです。しかし実際にその大きい入れ歯が使えるかどうかは「合う、合わない」があるという意味です。入れ歯が大きすぎて違和感が大きすぎて、口の中に入れていられないということは、よくあります。

そのような場合に、原形をとどめないくらい入れ歯の周囲を削って合わせることがあります。それなら最初から保険治療でプラスチックの単純で小さな入れ歯を入れれば済む話です。当院では保険の入れ歯でじっくりと調整しながら合わせていく方が良いと考えています。

特に初めての患者さんの場合、口や歯の状態が将来どのようになるのか分からないので調整しにくい、調整できない自費の治療はしません。はじめから「お金は払うから金属床でやってくれ!」いう方はお断りさせていただいています。

いとう歯科医院ではデメリットばかりある自費の高額な治療をムリに勧めたり、不安を煽ることを言って高額の治療を行なったりすることはありません。

これまでずっと、10年、20年…70年先にも気軽に通えるような歯科医院を祖父と父が作り上げてきました。技術的にも気持ちも金額もみんなが納得する形で無理なくラクに治療を行なっていくことが一番大事だと私も父から教わってきました。

入れ歯が痛い、ゆるい、食べられない、見た目が良くないなど「まずは困っていることを解決する」。困ったことを解決するのは「治療」です。「治療」はすべて保険でできるのが日本の保険治療の原則ですからお金のことは心配せず気軽にご相談ください。

Q.保険の入れ歯やブリッジはいくらでできますか?

A.入れ歯の大きさによって5,000円~10,000円くらいです。入れ歯は保険で製作することができます。種類や値段も豊富で選択することが出来ます。

また、歯が抜けたところに両隣の歯を削ってかぶせるブリッジも保険でできます。こちらは一本分で約5,000円です。3本のブリッジなら15,000円くらいです。さらに、前歯もきれいにできます。プラスチックで歯の色を作ります。プラスチックだとスグに変色するかもとの心配もありますが近年は材料の進歩できれいな色が長持ちすることが多いです。

ブリッジは歯を削って作ります。歯は削ると元に戻すことはできませんから後戻りできないブリッジなどの治療は慎重にやるべきと思っています。当院ではブリッジを行なうことは、ほとんどありません。

初めていらした患者さんにいきなり新しい入れ歯やブリッジを作ることは少ないです。再接着や調整、修理できることがほとんどです。そのような治療は保険で数千円でできますのでご相談ください。

Q.歯科の診療費がわかりにくい

A.よく「治療に費用がどれくらいかかりますか?」という質問を受けます。だいたいの目安はお答えできますので遠慮なくお尋ねください。

しかし、治療を始める前にはっきりとした費用をあらかじめ提示することは難しいです。

理由としては、歯科の保険治療は治療内容によって厚生労働省が定めた点数があります。その点数によって費用が決まります。その治療内容の分類はとても細かく複雑です。よって治療を終えてみないとはっきりとした金額が出せない場合もあります。

入れ歯についても、歯の残っている部位やバネの位置、材質、アゴの状態などによって費用が変わります。入れ歯の調整も使った材料によって費用が変わってきます。治療の流れによって使う材料が変わると費用が変わるわけです。

ムシ歯の治療や削って金属の詰め物をするときもムシ歯の状態で点数が違いますし、前歯か奥歯か歯のどの部分をどのくらい削ったかによっても違ってきます。それに検査費用などが加算されます。

そのため保険診療に関しては治療を始めてから、だいたいの費用を予測するという形にならざるを得ないことをご了承いただけると助かります。

Q.保険診療と自由診療についてよく知りたい。制度がよくわからない

A.歯科治療には保険治療と自費治療(自由診療ともいいます)があります。保険治療では国によって決められた治療法、治療の手順や材料があり、それに従って治療します。副作用やリスクが少なく安全に安価に治療できます。

日本では治療は保険でできるというのが大原則ですが外国では違います。アメリカでは、虫歯を削ってかぶせると1本で50,000~60,000円かかることがあるそうです。保険診療では患者さんは治療費を一部だけ負担すればすみます。本来かかる金額の1~3割です。何割かは患者さんの入っている保険によります。

10,000円分の治療をしても歯科医には1,000円~3,000円払えばいいわけです。これは経済的負担が軽くてすむという良さがあります。残りの9,000円~7,000円は、歯科医がカルテを元に国の機関に請求すると国から支払われます。

たとえば、入れ歯は保険治療ではプラスチック。自費治療では金属を使ったものになります。歯のない部分は治さなければ食事ができないなど、生活に支障が出るので治さなければいけません。

これは「治療」ですから保険治療で入れ歯を入れることができます。保険治療のルールに従ってプラスチックの入れ歯を入れます。保険治療で入れ歯を1つ作ると数千円~10,000円です。部位、大きさによって値段が変わってきます。

一方、金属をふんだんに使った金属床入れ歯など特別に高価な材料を使った治療では保険は適用されません。高価な材料は保険で賄ってくれません。よって自費治療になります。

金属床入れ歯は1つ200,000~500,000円で行なっているところが多いようです。いとう歯科医院では扱っていませんが1つ300,000円(税込)で昔は行なっていました。

前歯のかぶせものは保険治療ではプラスチック。自費治療ではセラミック(陶磁器の材料)になります。
前歯が欠けているとやはり治さなければいけない状態です。これも「治療」ですから保険治療でかぶせて治すことができます。

保険のルールに従って金属とプラスチックのかぶせものをします。かぶせもの1つで5,000~8,000円くらいです。部位、材質によって値段が変わってきます。

貴金属とセラミックを使ったかぶせものなどは保険適用でないので自費治療になります。歯1本あたり80,000~150,000円で行なっているところが多いようです。

いとう歯科医院では扱っていませんが歯一本あたり100,000円(税込)で昔は行なっていました。

ただし、後々になって欠けたり歯が折れたりするトラブルが多く、調整も困難あるいは出来ないこともあります。デメリットが多いので扱いをやめてしまいました。

普通の入れ歯やムシ歯の治療は保険診療で十分な場合がほとんどです。自由診療では患者さんに自費で全額を負担していただくことになりますので、経済的な負担は大きくなります。

他の歯科医院の情報を見ると、決められた枠にとらわれないために、個々の患者さんに合った方法や材料で治療ができると謳っている所が多いです。ですが自費治療には利点も多いですが欠点も必ずあります。欠点が少なければ保険治療になるはずですから。

たとえば、自費のセラミックは色が変わりにくい利点があります。保険のプラスチックだと初めてかぶせた時は濡れたようなツヤがありますが、少し経つとツヤがなくなってしまうことがあります。歯の色がくすんだ感じです。表面が柔らかいのですぐにすり減ってしまうのが原因です。

セラミックだとハッとするような芸術的な艶、輝きが長持ちします。

その半面、自費のセラミックは咬み合わせのバランスが難しいのが欠点です。メンテナンスしないまま年月が経つと噛み合う歯が過剰にすり減る、かぶせた歯が折れる、セラミックが壊れるなどのことが起こります。

その点、プラスチックのかぶせものならば、プラスチックが適当にすり減ってくれて危険を回避できる場合が多いです。
もっとも最近はプラスチックも材質が良くなっているのできれいな状態が長持ちします。だから特別にセラミックをすすめることは当院ではありません。

さらに、物理の法則を超えるようなことは自費治療でもできません。保険治療では取り外し式の入れ歯しか作れない状態のところに、自費治療ならブリッジ作って口の中に固定できるか? というとそのようなことはありません。無理をして体に良いことはありません。

多くの歯科医院では保険治療と自費治療の両方を行なっています。通常は保険で治療することが多いと思います。
より見た目を良くできる、入れ歯をより良い装着感で着けられる、体により影響が少ない材料であると謳っている自費治療ですが本当にそうなのか私は懐疑的です。

保険治療に適用されないのは、何かしらのデメリットがあるからです。あるいは民間療法のように根拠がないからです。
そのようなことを念頭に置きながら歯科医とよく話し合って、納得するような治療法を選んでいただきたいです。

初めて行く歯医者でいきなり自費治療で何十万円というお金を払ったり、大きな手術を伴う治療などをしたりするのには私は疑問を感じます。

いとう歯科医院で一番おすすめしているのは、まずは金額やリスクの心配をしない保険治療で治してみることです。

治療してからある程度のあいだ様子を見る、普通に生活してみる。それで満足のいく結果が得られればそのままで大丈夫。何か問題があれば保険治療で解決していきます。
そのように治療を進めていけば自費治療など不要と私は考えています。

Q.患者さんは来院せず、代理の方が壊れた入れ歯だけを持って来て修理をする場合は保険治療でできますか?

患者さんは来院せず、代理の方が壊れた入れ歯だけを持って来て修理をする場合は自費治療(税込み1万円)になります。

歯科医院ではない医科では患者さんが直接来院しないオンライン診療や電話診療がありますが、電話では入れ歯修理できないので当院では行なっていません。
それを除くと保険治療のルールで「保険治療を行なうには、患者さんが医院に直接来院すること」というものがあります。

ですから患者さんが来院しないで、代理の方が壊れた入れ歯だけを持って来て修理をする場合は保険治療はできません。
自費治療(税込み1万円)になります。
もっとも多くの場合、壊れるような入れ歯は調整や歯科専用の入れ歯安定材ティッシュコンディショナーを貼る治療などが必要になります。
後日に保険証と、修理された入れ歯を持って直接来院していただければ、それからは保険治療でできます。

【関連ブログ】→「ルールがあるから安心して治療できる」

よくある質問インデックス

  1. 歯科医院のかかり方
  2. 保険?自費?入れ歯にかかるお金について
  3. 入れ歯の扱い方
  4. 入れ歯が痛い
  5. 入れ歯がゆるい
  6. 入れ歯の違和感
  7. 入れ歯が壊れた
  8. 入れ歯の見た目が気になる
  9. 入れ歯で噛めない
  10. 入れ歯でしゃべれない
  11. なるべく削らないでほしい
  12. 歯を抜くことについて