入れ歯で噛めない

Q.楽しい食事ができる入れ歯がほしい

A.総入れ歯の場合、噛む力が天然歯の半分以下になると言われていますが、実際はもっと強く噛めるようにできるケースがたくさんあります。

歯を失ったままとか、入れ歯が合わずに痛みをガマンしないで調整してください。今入れている入れ歯の多くは、修理、調整して継続して使用することができます。咬み合わせや、入れ歯のウラを張り替えて歯ぐきと合わせるなどの調整で改善できます。お気軽にご相談ください。

噛めるようにするための入れ歯の調整・修理:来院数1~5回程度  保険治療でできます。

当医院では、いきなり自費で高額な入れ歯を新しく作ることはおすすめしていません。初めて診察する患者さんに対しては、これまでの入れ歯の使い方、噛み癖、歯ぐきや歯の性質などが分かりません。歯科医師の憶測で、そっくり作り直すような大がかりなことをすると、治療前よりもかえって調子が悪くなってしまったということもおこりえます。

そこで、まず保険治療で調整、修理をして、どのような治療法が適切か様子を見てから行なったほうが安心ですし、患者さんにも負担のかからない安全でより良い治療ができます。

調理のヒント

視点を変えて、食べ物の調理法を工夫してみませんか?調理のヒントをいくつかご紹介します。今まで食べられなかったものが食べられるようになることもあります。

大きめに切る

千切りやみじん切りも、あまり小さく切ると口のなかで散らばって、かえって食べにくくなります。漬け物は5mmから1cm大を目安にカットしてください。ある程度の大きさの食材をよく噛むことで唾液も出て食べやすくなります。

皮を剥いておく

トマトやナス、カボチャは皮を剥いておくと食べやすくなります。

じゃばら切り、かのこ切り

キュウリは8mmから1cmくらいの厚さにして、上下に包丁でキザミを入れる「じゃばら切り」にすることで噛み切りやすくなります。肉やこんにゃくは隠し包丁を深めに入れる「かのこ切り」にすると食べやすくなり、ソースやおつゆの味がしみ込んでおいしくなります。ステーキやイカやタコも「かのこ切り」にすると食べられる場合もあります。

葉もの野菜は端から巻いて厚みをつける

ホウレンソウなどの葉もの野菜は薄くて噛み切りにくい食材です。入れ歯は噛むと歯グキに沈むため、薄いものは噛み切れません。葉もの野菜は端から巻いて8mmから1cmの厚さに加工すると食べやすくなります。

麺類は5cmくらいに切る

お蕎麦はすすって食べるのが一番おいしいのですが、入れ歯の場合ちょっとしたタイミングで気管(肺)に入ってむせることがあります。麺の長さを5cmくらいに切っておくと一口分を箸でつかめますし、スプーンにも乗ります。外食時におそば屋さんなどでも要望すれば切って出してくれるところが多くなりました。外食の楽しみも積極的に活用してみてください。

歯医者で入れ歯を治しましょう

入れ歯が合っていない。グラグラ揺れている歯があるなど、食べにくいときは治療をおすすめします。健康のためにも噛める環境を整えることが重要です。
【関連ブログ】→入れ歯の咬み合わせを修正したら、気持ちよく咬めるようになった症例

Q.入れ歯にしてからよく噛めません

A.「入れ歯を調整する」「痛みをとる」「慣れる」。このことで良く噛めるようになります。入れ歯を作ってからの調整をしっかり行なって調子の良い入れ歯にすると食べやすくなります。入れ歯の調整は入れ歯を作ってから歯科医院で数回通っていただいて気になるところを改善していきます。

また痛い場合は噛むことができません。ガマンしないで治すと噛むこともできるようになります。さらに、舌を入れ歯に慣れさせると食事しやすくなります。入れ歯に慣れるための舌の運動のやり方があります。難しい運動ではありませんので指導しています。お気軽にご相談ください。

これらどの治療も保険治療でできます。噛めるようになるまで上のような入れ歯の調整を行ないますので「これでよく噛める!」と満足できるまで通っていただいて大丈夫です。入れ歯の調整は保険治療でできます。
【関連ブログ】→食事できない入れ歯に、ティッシュコンディショナーを貼って改善した症例

Q.口角が荒れる、切れる、赤く腫れて困っています。痛くて口を大きく開けられません。皮膚科を受診したほうが良いのでしょうか?

A.口角が荒れるのはさまざまな原因があります。体調の変化、ビタミンや栄養のバランス、ストレス、冬の乾燥などが挙げられます。皮膚科を受診するのもひとつの方法ですし、歯科のことが原因のことがあります。

入れ歯の高さが低いと口角にシワが寄ります。すると口角炎ができやすくなります。入れ歯の歯にプラスチックを盛り上げて高さを増すとシワがよらなくなって口角炎が良くなってきます。入れ歯の高さを変えると他にさまざまな症状がでることもあるので慎重に行なう必要があります。入れ歯にプラスチックを盛り上げるのは保険治療でできます。2~3回通ってください。

もうひとつは細菌などが原因のことがあります。唇の片側だけ痛いならヘルペスウイルス、両側ならばカンジダというカビが繁殖していることが多いです。

疲れがたまると繁殖するのでゆっくり休むことは大事です。原因菌を駆除する薬を飲む、腫れている場所に塗ることで劇的に良くなります。一般的な抗生物質や軟膏は効かないので歯科医院や病院での正しい診断が必須です。

一番大事なのは口の中と入れ歯を良く磨いて清潔にすることです。特に総入れ歯にはカンジダが増えやすいです。念入りに磨いてうがいも殺菌成分のあるもので1日4回行なっていただきます。市販の入れ歯洗浄剤も有効です。保険治療で処方できるうがい薬や軟膏は、科学的な殺菌作用が証明されているのでオススメです。細菌などへの治療は保険治療でできます。好転するかどうかを診る必要があるので3~4回通っていただくと安心です。

Q.奥歯で噛みにくくなった感じがします。入れ歯を作りかえなければいけないのでしょうか?

A.作りかえる必要はありません。入れ歯を新しく作るのは慎重に行なったほうがいいです。今まで使い慣れている入れ歯を超える物を作るのはとても難しいからです。多くの症状は調整することで良くできます。

長い間入れ歯を使っていると奥歯がすり減ってきます。あまりすり減ってうまく噛みあわなくなると奥歯で噛みにくいことがあります。噛む面にプラスチックを盛り上げて当たるようにすると噛みやすくなります。

また噛むと痛いことはありませんか?力が入らなくて噛みにくくなります。痛い原因を取り除くと噛みやすくなります。原因はさまざまなので慎重に診断していきます。

入れ歯にプラスチックを盛り上げるのは保険治療でできます。入れ歯の調整は保険治療でできます。長い間入れ歯を使っていると劣化する部分がでてきます。このように症状が出る前に、あるいは「なんとなく」というくらいのうちに半年に一度くらいのお手入れをオススメします。少しのお手入れでずっと良くなった!ということもあります。

Q.入れ歯に食べ物がくっつきやすいです

A.入れ歯を指先で触ってみてザラザラしていたら食べ物がくっつきやすいです。修理を繰り返すとプラスチックが劣化してザラザラになって食べ物がくっつきやすくなります。修理した継ぎ目にくっつくこともあります。研磨するとツルツルになって、くっつかなくなります。入れ歯の研磨は保険治療で1回の来院でできます。

入れ歯の裏を張り替えた治療を行なっている場合には張り替えた材料が劣化します。すると歯茎と合わなくて食事のときに食べ物にくっついて外れやすくなります。入れ歯の裏を張り替えることで解決できます。これは保険治療でできます。

また、食べられるものの限界が入れ歯の場合はどうしてもあります。モチやガムはくっつきやすいです。入れ歯でも食べやすいモチの作り方があります。ご相談いただければ作り方もお教えします。ガムは歯科医院専売品の入れ歯につきにくい材質のガムを販売しています。

Q.入れ歯を入れて食事すると味がわからなくて、食事がおいしく感じられません。保険の入れ歯では食事を楽しむことはできないのでしょうか?

A.保険の入れ歯でも十分に食事を楽しむことはできます。保険の入れ歯で不自由があるのに、お金をかけて自費の入れ歯にしたからといって良くなることはありません。

口の中が入れ歯に慣れるとおいしく食べられるようになることが多いです。入れ歯を入れて舌と頬の筋肉を動かす運動をすると早く入れ歯に慣れることができます。運動のやり方はお教えしています。入れ歯に慣れないと舌や頬を動かすだけで精いっぱいで味わう余裕がないのかも知れません。慣れて食事が上手にできるようになれば入れ歯を作りかえないで大事に使い続けることをお勧めしています。

また、上の入れ歯が厚すぎたり大きすぎたりすることも考えられます。削って薄く小さくするだけでもかなり感じが変わってきます。入れ歯に慣れるやり方をお教えしたり、入れ歯を削ったりするのは保険治療でできます。

いとう歯科医院では始めから高額の自費の入れ歯に作りかえることはしません。今の入れ歯をいかに良くしていけるかが、始めにやることと思っています。仮に作りかえる場合も今の入れ歯を良くすることができていれば、新しく作っても良い入れ歯が作れます。

Q.食事をすると、顎が疲れてしまうので入れ歯で食事するのが億劫です。外してしまうこともあります

A.入れ歯でよく噛めるように調整を行なうことで疲れが軽減します。咬み合わせが合っていないと、噛めるところを意識して探して噛むようになります。すると疲れるという感覚になります。意識せずに噛めるように咬み合わせを良くすることが大事です。調整したあと歯ぎしりしたり前後にアゴを動かしたりしてスムーズに動くようになると、食べるのもラクになります。

また入れ歯が歯グキと合っていないことも考えられます。食べるときに入れ歯が動くので反射的に入れ歯を舌で押さえながらの食事になります。するとやはり疲れてしまう。入れ歯の裏を張り替えて歯茎と合うようにします。食事のときに入れ歯がしっかりと動かなくなれば疲れは軽減します。

咬み合わせの調整も入れ歯の張り替えも、半年に一度くらい定期的にやりましょう。劣化するのは徐々に起こるので分かりにくいですが治すと一気に良くなります。咬み合わせの調整は保険治療でできます。1回の来院で良くなることがほとんどです。裏を張り替えるのは保険治療でできます。1~3回の来院でできます。

Q.食事中に食べ物が入れ歯と頬の間にたまってしまいます。もう少し快適に食べられるようになりませんか?

A.入れ歯が頬の形と合っていないかも知れません。食事するときは歯だけを使っているのではありません。舌と頬の筋肉で食べ物を歯の上に運んで噛みやすくしています。ためしに頬を横にギューッと引っ張りながら食べてみてください。頬に食べかすが溜まってしまって食べられないはずです。入れ歯は失った歯の形を回復すると同時に、舌と頬の動きを助ける役割りもしてくれるのが理想です。

たとえば、入れ歯が貧弱な形だと頬と入れ歯の間に隙間ができてそこに食べ物が入ってしまうことが考えられます。逆に入れ歯が大きすぎて頬を圧迫していると食べ物の流れが悪くなることもあります。入れ歯にプラスチックを盛り足してふくらませて頬と入れ歯の隙間をなくしたり、あるいは逆に入れ歯を削って厚さをなくして頬と入れ歯の関係を適切にしていくと、頬が食べ物をしっかりと歯の上に運んでくれるようになります。入れ歯の調整は保険治療でできます。

食べにくい症状には他にも原因が考えられる場合があります。慎重に診断してから治療することが大事です。

Q.左右どちらかでしか噛めない。片方にしか噛む力が入りません。噛みクセがあるのは良くないことはわかってはいるのですが…

A.噛みクセがあること自体は気にしなくて大丈夫です。特に部分入れ歯の場合は入れ歯でなく自分の歯で噛もうとします。自分の天然の歯が一番良く噛めるからです。時々意識して噛みクセがでないほうでも噛んでください。噛みクセがない方では全く噛めないとしたら問題です。入れ歯が低い、痛い部分があって噛めないなど原因が必ずあります。

部分入れ歯で自分の歯が当たらないくらい入れ歯の歯が高すぎると「自分の歯で噛みたい」とストレスになり、噛めない、痛い、食いしばる、違和感があるなどの様々な症状が出ます。噛めない症状は調整して改善できます。そのような調整は保険治療でできます。

Q.なまこやあわび、イカ、肉などが噛み切れない

A.これらのグニュッと弾力がある食材は入れ歯で食べにくいものの代表です。ぜひ調理の仕方に工夫してみましょう。

肉やこんにゃくは隠し包丁を深めに入れます。かのこ切りといいます。食べやすく、また、ソースやおつゆの味がしみ込んでおいしくなります。これにより、ステーキやイカやタコも食べやすくなります。超一流のレストランでも食べやすくする工夫をしている話があります。

シャリアピンステーキという料理があります。シャリアピンステーキとは、かのこ切りに隠し包丁を入れて焼いたステーキの上に炒めたキザミ玉ねぎをかけたものです。実は家庭でも簡単に作れます。肉はよく叩くことで、さらに柔らかくできます。

このステーキ、実は日本の料理人が編み出した料理です。ロシアのオペラ歌手シャリアピンが帝国ホテルに宿泊していた時に「変わったステーキが食べたい」と注文を出し当時の調理長の筒井シェフが作りました。それがシャリアピンのお気に入りとなり「シャリアピンステーキ」という名前になりました。今でも帝国ホテルの定番メニューです。

味もさることながら歯が弱くなっていて硬い肉を食べられないシャリアピンのために、かのこ切りに隠し包丁を入れて肉を柔らかく処理したことが彼の心を捉えた一因でしょう。私も作ってみましたが簡単にできます。

Q.噛めるのですが飲みこみにくいです。飲み込む時に引っかかる感じがします

A.いろいろな原因が考えられます。原因を下に3つ挙げます。実際に見せていただけるとどうすれば良いか判断できますので、お気軽にご相談ください。

1.入れ歯が口の奥の方に大きすぎる

飲み込む時に入れ歯が口の動きを阻害してしまうと飲み込みにくい症状が出ます。入れ歯を作る時に口の中の筋肉の動くところは入れ歯で覆わないようにするのが原則です。ただ実際には分かりにくいものです。入れ歯が大きすぎて、覆ってはいけない部分を覆ってしまっていることは十分考えられます。入れ歯を削って小さくすることで解決できます。そのような入れ歯の調整は保険治療でできます。

2.入れ歯が合っていない

飲み込む時の筋肉の動きによって簡単に外れてしまいます。すると飲み込みにくいです。入れ歯のウラを張り替えて歯グキと合わせることと咬み合わせのチェックをしてカチカチ気持ち良く噛めるようにすることで解決します。入れ歯のウラを張り替えるのは保険治療でできます。

3.新しい入れ歯を入れた場合などに口の中が入れ歯に慣れていない

食事のときだけでなく、一日に何回も意識して入れ歯を着けてツバを飲み込む動きをやってみると、だんだん慣れてきて飲み込みやすくなります。
特にツバを飲む動きは舌と頬が大きく動きます。入れ歯に慣れるトレーニングとしてやってみるのもおすすめです。トレーニングのやり方はいとう歯科医院でお教えしています。

Q.野菜や漬物が食べにくいです。口の中でモソモソして噛み切れません

A.入れ歯の調整で改善できます。よく噛めるように入れ歯にセラミックや金属の歯を入れることもあるとよく他院のホームページなどに載っています。ただ、そのような入れ歯で噛めるかどうかは人によります。あまり過大な期待はしないほうが無難です。硬い歯を入れ歯につけたら歯グキが痛くなってしまうこともあります。

野菜は入れ歯で食べにくい食材です。調理に工夫すると食べやすくなります。野菜でも特に白菜など葉っぱものは食べにくいことがあります。厚さがないので噛み切れないからです。

 

  • 葉っぱものは丸めて厚くすると食べやすくなります
  • キュウリなど硬いものは、千切りなどあまり細かく切ると食べにくいです。隠し包丁を入れると噛み切りやすくなります
  • 8mmから1cmくらいの厚さにして上下に包丁でキザミを入れることで噛み切りやすくなります。じゃばら切りといいます

 

 

Q.麺類が食べにくいです。長くて細いものが噛み切れません

 

A.入れ歯の前歯の咬み合わせが合っていないかも知れません。下アゴを前に出して上下の歯が合えば麺類のような細いものが噛み切れます。下アゴを前に出したときに上下の歯が合わないですき間ができてしまう、あるいは上下の歯が1点ぐらいでしか当たらない場合に噛み切れないことが起こります。この場合、前歯を削るか盛り足すかして形を合わせると食べられるようになります。このような調整は保険治療でできます。

Q.入れ歯で唇や頬をよく噛んでしまいます

A.入れ歯でやたらと唇や頬を噛んでしまう話はよくあります。噛むと口内炎ができて腫れる、腫れるとまた噛みやすくなってしまう、噛むのがクセになってしまうことがあります。案外見逃せない症状です。

数日のあいだ様子を見ていただくと噛まなくなることも多いですが、気になるならばガマンしないで相談していただければ良く治ることが多いです。入れ歯でも自分の歯でも、上下の歯の咬み合わせを調整することで改善できます。咬み合わせを調整するとアゴを横に動かすのがスムーズにできるようになってピタッと症状が消えます。特に前から3番目の歯(糸切り歯、犬歯)の咬み合わせが強く当たっていると噛んでしまうことが多いです。

また、入れ歯が歯グキと合っていないと入れ歯がフラフラ動いて噛みやすいことがあります。入れ歯のウラを張り替えて歯グキと合わせると大丈夫になります。

さらに、体調の良くないときによく噛むことが考えられます。体調にも左右されることがあって数日間は様子を見ていただくことも多いです。体調の変化で唾液が出にくくなって口の中が渇く。すると唇や頬が渇いて歯や入れ歯にピターッとくっついてしまい噛んでしまうことがあります。体調が良くなって唾液が出るようになれば解決します。

唾液が少ない方は人工唾液という歯磨きペーストのようなジェルを塗ると調子良くなります。寝る前に入れ歯のウラに塗ってから眠ると入れ歯と歯グキが痛くなく快適に過ごせます。いとう歯科医院では42g入りのチューブに入った物を2,000円で販売しています。

唾液や涙なども出にくくなるシェーグレン症候群などの全身的な病変もあります。あまり口の中が渇くのが続くようなら内科医への受診も検討してみてください。私たちが警戒するのは、脳梗塞の前兆として唇や頬を噛む症状が現れることです。

他に「手足に力が入らない」「重いめまいがする」「いつもはない激しい頭痛がする」「ろれつが回らない、言葉が一瞬でてこなくなる」「ものが二重にみえる」などの症状があったら躊躇せず内科医への受診をおすすめします。

Q.噛んだときに「カチカチ」と入れ歯の歯が当たる音が気になります

A.入れ歯を新しくした場合、その入れ歯にまだ慣れていないことは考えられます。しばらく使っていると徐々に慣れてくることもあります。しばらく使っても慣れない場合は咬み合わせの調整をすることで改善します。歯の一部分だけ強く当たっていると音が出ることがあるのでそれを調整すると治ることが多いです。このような調整は保険治療でできます。

音が気になる方は他にも食べにくい、入れ歯が外れやすいなど、他の症状もある場合が多いです。「たかが音程度で」と思わずに遠慮なく相談してください。音の他にも、食べやすくなった、違和感がなくなったなど、改善して気持ちの良い入れ歯にできます。

Q.全体は当たるが、さらに噛み込むとどちらかへ咬み合わせがスベる感じがします。なんとなくという感じなのですが気になります。そのようなささいなことで治しに行って良いものでしょうか。ガマンした方が良いですか。

A.このような感じがあるまま食事をすると、今までに比べて食べにくくなることがあります。また入れ歯が外れやすくなることもあります。まだ生活に不自由するほどのことではないかもしれませんが、早めに入れ歯の調整をすることをお勧めしています。

原因としては、入れ歯の歯がすり減っていることが考えられます。咬み合わせを調整することでスベらない入れ歯にできます。歯には山と谷があります。長年入れ歯を使っているうちに歯の山がすり減ってきます。すると今まで当たっていなかった部分が当たってきます。その新たに当たる点が咬み合わせをスベる方向に動かしてしまうことがあります。そうすると、食事がしにくくなったり、噛んだときに入れ歯を動かしてしまうと歯グキが痛くなる、外れるなどのことが起こってきます。

咬み合わせをスベらせてしまう部分を削って当たらないようにする、すり減った歯の山をプラスチックで盛り上げて復活させるなどのことで調子良くなります。そのような入れ歯の調整は保険治療でできます。

Q.噛むと入れ歯の一部分が早く当たり、その後全体が当たる感じがします。なんとなくという感じなのですが気になります。そのようなささいなことで治しに行って良いものでしょうか。ガマンした方が良いですか

A.患者さんの立場からすると表現しにくいし小さなことのように思えるようです。痛くはないし食べるのにも困らないからとガマンする方も多いです。実はそのまま時間が経つと大きな症状につながる、とても気になる症状です。ガマンしないで一回の来院で治すことをお勧めします。

入れ歯の一部分の歯が高くなっているかもしれません。噛むと高い歯が早く当たって気になる感じがします。咬み合わせを削ることで治ります。ずっと調子良く使えていた入れ歯でもある日突然このような症状が出ることがあります。入れ歯のプラスチックがほんのわずか変形したり歯グキの形が変わってバランスが崩れることはよくあります。

この状態をそのままにしておくと、痛い、入れ歯が割れるなど大きな変化が起こります。その前の「なんとなく」のうちに敏感に察知して入れ歯の調整をすると良い入れ歯が長く使えます。そのような入れ歯の調整は保険治療でできます。

Q.食事をしていると入れ歯の外側、ほっぺや唇の裏側に食べかすが残ってしまいます。もう少しスムーズに食べられるようになりたいです。

A.入れ歯の形を良くすると治ることがあります。人は食べるとき舌と頬の両方を動かして食べます。ためしに頬を外に引っぱりながら食べてみてください。全く食べることができないはずです。これは舌と頬で歯の上に食べ物を送って食べているからです。頬が使えないと食事ができません。

これは入れ歯の場合も同じです。舌と頬で入れ歯の歯に食べ物を送って食事をします。歯と入れ歯が違う点は歯ぐきの形です。天然の歯が植わっている歯ぐきは食べ物を送るのに適した形にできています。

一方、入れ歯では歯ぐきの形もプラスチックで人工的に作らなくてはなりません。最初に作る時は良い形なのですが入れ歯の修理やウラの張り替えを行なっているうちに歯ぐきの形が膨らんでしまうことが多いように感じます。形が不適当だと歯ぐきから歯に食べ物がスムーズに送られずに食べかすが残る症状が出ます。そのような理由で歯ぐきの膨らみすぎた部分を削って良い形にすると食べやすくなります。入れ歯の形を治すのは保険治療でできます。

食事に関する症状は原因がひとつではない場合があります。本当に食べられるようになるかをお家で確認してご報告していただきたい思いもあります。2~3回来ていただいて問題なく食べられるようになるまで、様々な方向からの診査診断と治療におつきあい頂けるとより良い入れ歯にできますし今後の治療の参考になります。

他にも入れ歯と歯ぐきが合っていない、咬み合わせが合っていないと食べにくいです。入れ歯の裏を薄く張り替えて歯茎の形と合わて歯グキと入れ歯がぴったりと合うと効率良く食べ物を噛むことができるようになります。入れ歯の裏を張り替える治療は1~2回の来院でできます。保険治療でできます。

咬み合わせが合っていないとスムーズに噛めません。バランスよく噛めるように入れ歯の歯を削ったり盛り足したりします。咬み合わせの調整は1~2回の来院でできます。保険治療でできます。

Q.痛みはないのですが入れ歯だと食事が美味しくないです。どうすればより食事をしやすくできますか?

A.入れ歯だと食事がおいしくない、味がわかりにくくなってしまった、という方は多いです。これは2つの方法で改善することができるので心配しないでください。

入れ歯を削って薄く小さくすると改善します。入れ歯で食事がおいしくないのは入れ歯が異物だからです。入れ歯は違和感があり慣れるのに時間が掛かります。失った歯の本数が増えると入れ歯も大きくなり違和感も強くなります。もっとも入れ歯にある程度大きさがあるのは理由があってのことです。強度を保つ、口内での安定を図る、舌や頬の動きに調和させるなど。むやみに削るのは考えものですので慎重な診断が必要です。

もうひとつは、舌の運動をして口の中を入れ歯に慣れさせると食事も美味しくできるようになります。入れ歯は厚さがあるので、口の中に出っ張りが出来てしまいます。それが舌の動きをジャマしてしまい食事中いつも食べ物よりも入れ歯を意識してしまう。食べにくい、おいしくないと思うようになってしまう。そこで舌が入れ歯に慣れるようにしてあげることで舌がスムーズに動くようになって食事がおいしく出来るようになります。舌の運動のやり方は様々なやり方をお教えしています。

Q.食事が奥歯で噛みにくくなった感じがします

A.新しい歯に交換したりすり減った部分だけを入れ、歯用プラスチックで盛り上げて奥歯の高さを回復すると元のように食べられるようになります。入れ歯は長年使っていると奥歯がすり減って噛みにくくなります。奥歯の形を回復させると調子良く使えるようになります。1~2回の来院で治ります。入れ歯の歯を回復する治療は保険治療でできます。

咬み合わせが変わると噛みにくい以外にも様々な症状が出ます。噛みにくい、噛むと痛い、食事がなんとなくしにくい、口の端が切れる、入れ歯が外れやすいなどのことが起きます。「なんとなく〇〇な感じがする」というあいまいな感じも多いです。なんとなく、くらいだからガマンしようかな、と思われる方も多いようですが、ガマンしないで相談していただいた方が早く良く治ります。

よくある質問インデックス

  1. 歯科医院のかかり方
  2. 保険?自費?入れ歯にかかるお金について
  3. 入れ歯の扱い方
  4. 入れ歯が痛い
  5. 入れ歯がゆるい
  6. 入れ歯の違和感
  7. 入れ歯が壊れた
  8. 入れ歯の見た目が気になる
  9. 入れ歯で噛めない
  10. 入れ歯でしゃべれない
  11. なるべく削らないでほしい
  12. 歯を抜くことについて