杉並区、西荻窪で、保険の入れ歯治療を数多く手がける歯医者、いとう歯科医院の伊藤高史です。
オルタナティブブログに記事を載せました。
グラグラ揺れている歯を抜いて入れ歯にプラスチック製人工歯を継ぎ足す増歯と、残っている歯に歯医者が新たに金属バネ(クラスプ)を作る修理を行なった症例↓
https://blogs.itmedia.co.jp/ito_takafumi/2025/05/post_195.html
ホームページ掲載 すみ
杉並区、西荻窪で、保険の入れ歯治療を数多く手がける歯医者、いとう歯科医院の伊藤高史です。
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杉並区西荻窪で入れ歯治療を数多く手がける歯医者
いとう歯科医院の伊藤高史です。
「金属のかぶせものは一切やらないって言われまして」
「来週いきなりインプラントを埋め込む予約を入れられました」
「歯の根の治療を30万円でやったんですけど歯が揺れているから、追加で何十万円かで歯グキの手術が必要らしいんです」
思わず身震いしてしまう言葉が患者さんの口から次々と出てきます。
都心の歯医者は強烈ですね。
・デメリットも多く危なっかしいセラミックよりも、保険治療の金属のかぶせものが功を奏する場面はいくらでもあります。
・来週いきなり緊急でインプラントが必要…そんな症例など存在しません。
・歯の根の治療をしても止められなかった歯の揺れを歯グキの手術で止めるなど、のるかそるかのギャンブルです。
そもそも歯の根の治療も歯周治療も、お金をかければ歯の揺れを止められる理屈が自分には理解できません。
今回の患者さんは、高すぎる咬み合わせを削って1週間様子を見たら揺れが治まりました。
これらの施術に決定的に欠けているものがあります。
それは「患者さんとの対話」です。
「こっちの話を全然聞いてくれない」
そのような患者さんの話をうかがうことがよくあります。
対話、会話、コミュニケーション無しの人間関係など有り得ないことは誰でもご存知でしょう。
しかしそういったものが一切ない殺伐とした人間関係の中で人の身体に手を加えてしまうとは、考えるだけでおそろしいです。
そんな話を患者さんからお聞きする時にいつも自分の頭に浮かぶのは
「インフォームド・コンセント」
です。
インフォームド・コンセント(informed consent)とは、医師や看護師から十分な説明を受けたうえで患者が医療行為に同意することです。
患者が病気や容態、検査や治療の内容、処方される薬などについて理解し納得した上で同意して治療を受けることを意味します。
インフォームド・コンセントは患者の
「知る権利」
「自己決定権」
を保障する考え方で
「十分な説明に基づく同意」
「説明と同意」
などの訳があてられます。
医療者側からの十分な説明に基づく患者側の理解・納得・同意・選択であり、あくまで患者側が主体です。
医療職も患者や家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するかなどを考慮し、関係者と互いに情報共有して合意するプロセスでもあります。
インフォームド・コンセントは、検査・処置・手術などの侵襲的な行為や重い副作用の可能性がある注射・処方・与薬など、身体に大きな影響を与える医療行為については特に重要です。
また人生の最終段階における医療・ケアの決定や入院中の診療・リハビリ計画や退院にむけた指導など、患者や家族の参加が重要な事項に関しても重視されます。
参考文献:「インフォームド・コンセントとは」
Search Labs | AI による概要
「インフォームド・コンセントについて述べよ」
との設問が私が大学受験生だった時代からありました。
30年以上経った今でも医学部、歯学部受験問題で出題されます。
しかし理解、納得、同意、選択を一切無視した、歯医者の自分でさえ身震いしてしまう言葉を患者さんに平気で投げかける歯医者がいます。
そんな歯医者にインフォームド・コンセントについてどう考えるのか、今さらながら聞いてみたいものです。
「理解し、納得し、同意し、選択する」
この大切さは医療だけに限りません。
人間関係すべてに必要。
夫婦だって同じです。
夫婦でも最初から何もかも考え方ややりたい事が同じわけではありません。
むしろ他人ですから違う方が当たり前です。
私は30代のころに、いわゆる婚活をしました。
その際に結婚相談所の先生から
「交際を通じて、お相手の方と意見のすり合わせをしてください」
と言われました。
実は自分はそれで初めて
「意見のすり合わせ」
の言葉を知りました。
話し合って譲るところは譲る、受け入れてほしいところは相手のプライドをへし折ったりしないように気をつけながら落としどころを探る。
インフォームド・コンセントは患者さんと医師との関係に限定された言葉なので一般的には「意見のすり合わせ」と私は解釈しています。
もちろん一般的な仕事をする時にもそのような事が大事なのは、社会で普通に生きている人なら誰でも心得ていることです。
別に私の大発見した特殊な理論などではありません。
でも歯医者の中には自分のやりたい事だけを押し付けて患者さんとの「意見のすり合わせ」が一切できない人がいるわけです。
月並みではありますが
「治療の際にはインフォームド・コンセントを通して患者さんと意見のすり合わせをしていくこと」
をこれからも当院は大切にしていこうと再確認した次第です。
ムシ歯を削ってセラミックのかぶせものを着ける治療はその美観と耐久性に優れているとされます。
とくに高額な自費の歯科治療でよく行なわれる選択肢となっていますが、トラブルも存在します。
以下にその主なトラブルとその原因、対処法について説明します。
1. セラミッククラウンやベニアの破損
原因:
過度な噛み合わせ力や事故、またはセラミック自体の製造上の欠陥で起こります。
とくに金属をかぶせて表面の見える部分をセラミックで覆う陶材焼付鋳造冠などはよくセラミックが欠けて金属が剥き出しになります。
対処法:
破損部分を修復するか、新しいセラミックを作成する必要があります。
軽度の破片であれば接着剤で補修可能な場合もありますが、やはり頼りないものです。
繰り返し壊れるので数か月おきに修理している症例もあります。
困ったものです。
新しいセラミック冠を作製するなど、もっと大変です。
そもそも問題があるから壊れたわけですから新しく作っても同じ結果が待っています。
セラミック冠は金属と違って冠に厚みが必要です。
ですから歯が長いとか口自体が大きいとか余裕が必要です。
欧米人みたいな口の中ならそんなセラミック冠もできるものの、日本人はそもそも体も口も歯も低く小さいことが多いです。
欧米の流行をそのまま持ってきたところで上手くいきません。
2. 色調の不一致
原因:
デザインや製造段階での色合わせのミス、長期間の使用による色素沈着。
とくに日本人の歯は赤みが強いといわれています。
アメリカで活躍した元大リーガーみたいな真っ白しろな歯は、ちょっと違和感あります。
対処法:
色調が不満であれば、再度色合わせを行い、新しいセラミックを作る必要があります。
色素沈着に対しては定期的なクリーニングや歯科専用の切削器具での研磨が有効です。
3. フィットの問題
原因:
印象採取やセラミックの製作過程での精度不足。
対処法:
フィットが悪いと歯茎の炎症や痛みを引き起こす可能性があるため、再製作が必要となります。
もっとも高額な自費治療で精度の悪い物を作るならば罪作りなので、そんな歯医者は勉強しなおした方がいいです。
私が勤務していた都心の歯医者でも忙しかったからか、歯型をとると箱の中に入れて、昼休みや夕方にまとめて石こうを注いでいました。
型をとって置いておくと経時劣化します。
だから作製物が全く合わず入れ歯もかぶせものも、患者さんに装着する前に内面をガリガリ削るところから始めていました。
名医を気取っていたものの実態はそんなものです。
4. 歯肉炎や歯周病
原因:
セラミックと歯の間の隙間からのプラーク蓄積。
対処法:
正確なフィットと良好なオーラルケアが求められます。
歯医者による定期的なチェックとクリーニングが重要です。
5. セラミックの脱離
原因:
接着剤の問題、セラミックのフィット不良、または過度の力による脱落。
対処法:
再接着が可能ですが、原因によってはセラミック自体の再製作が必要です。
数年しか経っていないのに再作製で15万円請求された、というトラブルが散見されます。
10年使えるかどうかは様々な要因が関わるので、私にはそんな未来のことはわかりません。
だから高額な自費治療は行ないません。
6. 知覚過敏
原因:
セラミックと歯の間のエナメル質の薄さや、治療過程での歯質の損傷。
対処法:
確かに歯の神経を取り除く歯内療法をせず歯の神経を生かしたままセラミック冠をかぶせたほうが歯が長持ちします。
しかしセラミック冠をかぶせるには金属と比べて歯を大きく削ります。
セラミックは厚さが必要だからです。
歯の神経の近くまで歯を大きく削ることになります。
そうすると知覚過敏が起こります。
知覚過敏用の歯磨き粉や特殊な接着剤の使用、または歯の表面に保護コーティングを施すことが考えられます。
ですが結局はしみる痛みに耐えきれずセラミック冠に穴を開けて歯の神経を取り除く治療を行なうことは起こりがちです。
やはりトラブルの元となります。
つくづく高額な自費治療はやめた方が良いと思います。
7. 長期的な耐久性
原因:
経年劣化や材料の品質。
対処法:
セラミックの寿命は通常10年以上ですが状態によっては交換が必要となります。
定期的なメンテナンスが長持ちさせる鍵です。
これらのトラブルは、適切な診断と治療計画、そして術後のケアによって多くは防げるか、軽減できます。
セラミック治療を検討する際には、信頼できる歯医者を選び、治療のリスクやメンテナンスについて十分な説明を受けることが重要です。
適切な診断が必要とはいえ
「こんな患者さんに高額な自費治療をやっちゃうんだ」
という無謀の施術をよく目にします。
私も勤務医時代に経験していますが金銭的なノルマが厳しくて、もう見さかいなく高額な自費治療をやりたがるようになるものです。
せめて初めての歯医者を受診する際は保険治療で様子を見ることをおすすめします。
また日常のオーラルケアを怠らず定期検診を受けることでトラブルを最小限に抑えられます。
杉並区西荻窪で入れ歯治療を数多く手がける歯医者
いとう歯科医院の伊藤高史です。
「もう、こうなったら神さまに頼るしかない」
小説を読んで、あのころの気持ちを久しぶりに思い出しました。
その小説とは「護持院原の敵討」
(ごじいんがはらのかたきうち、森鴎外著、新潮文庫)。
私にとっては非常に難解で、 インターネットで解説や書評を調べながら行きつ戻りつ読み進めて、やっとのことで多少の理解を得ることができました。
江戸時代の話です。
強盗に斬られた金庫番の男性が亡くなりました。
犯人は江戸から逃げたらしい。
金庫番の息子の宇平(うへい)と弟の九郎右衛門(宇平から見ると叔父くろうえもん)、従者の3人が敵討ちの許可を得て敵を捜し歩きます。
江戸を出て四国九州まで巡る旅は病苦や資金難で過酷です。
なぜなら自分も人を捜し歩く同じような経験をしたからです。
ただし捜したのは敵ではなく結婚相手です。
結婚する前に私は結婚相談所に登録して見合いを重ねていました。
面倒見の良い相談所で、今っぽい清潔感ある服装のチョイス、オシャレで気分のあがるレストラン、楽しい雰囲気になる会話についてなど、よく教えてくれました。
30才すぎて女性とまともに付き合ったことがなかったので、自分でもデート向けのレストランの本やモテるための会話法の本などを読みあさりました。
しかし…
結果が出ない。
・2か月も会い続けたのに険悪な雰囲気になり断念せざるを得なかった。
・なぜか2回目のデートにつながらないことが続いた。
・宗教の勧誘をされたなど。
11人の方と見合いしてデートはそれなりに楽しかったもののご縁がなく、2年ほど経ってあきらめムードになってきました。
そんなある日に見合いとは別のきっかけで知り合ったB子さんから
「伊藤さん、だれかいい人を紹介してよ」
と相談されました。
私じゃダメというのが引っかかりましたが自分は見合いでこれからも女性と会う機会はいくらでもあります。
ここはB子さんのために動こう。
そう割りきって考えて、互いに人を連れてくることで後日に2対2で会うことになりました。
自分は別にその出会いに何も期待していません。
B子さんに良い出会いを提供できて、自分はその場を楽しく過ごせればいいかと。
そこへB子さんが連れてきたのが、後に妻となる女性でした。
見合いで万策尽き果てたと思っていた私は、女性たちに見合いしている話をして
「もう、こうなったら神さまに頼るしかないと考えている」
と打ち明けました。
すると二人は口をそろえて言います。
「それなら、いい手相占いの先生いるよ!」
わらをもすがる思いで教えてもらい、さっそく予約を取りました。
テレビ出演のご経験もある著名な先生です。
先生は私の手を見るなり言うのです。
「あなたはもうすぐ結婚しますよ」
手相にそのような印が出ていたそうです。
その予言どおり1年後に私たちは結婚しました。
今でも私が妻に頭があがらないのは、このできごと以来
「もしかしてこの人って神さま?」
という思いがあるからです。
小説で、旅の苦しさから宇平は言います。
「おじさん、あなたはいつ敵に会えると思っていますか?」
これは成功するかどうかに対する疑問です。
こんなことをしても、どうしようもない。
会えるかもわからないのに捜してもしようがない。
これは婚活も同じです。
努力が必ずしも成功につながらない。
結婚相談所のホームページを見ると千人以上の女性が載っています。
そこから一人の結婚相手を見つける。
広大な砂浜で一粒の砂を探すに等しい。
もしかしたらその千人の誰とも赤い糸などつながっていないのかも知れません。
それは日本全国から敵討ちの一人を捜すのと同じです。
「あなたはいつ結婚相手に会えると思っていますか?」
私は見合いしていた2年間ずっとそんな重い疑問が頭から離れませんでした。
「おじさん、あなたは神や仏が助けてくれるものだと思っていますか?」
これは神仏の加護に対する疑問です。
私は信仰の薄いタチで神仏の加護など縁がないと思っていたのですが、結婚できたのは占いの人智を越えた力が後押ししてくれたからと考えるようになりました。
それからは妻の勧めで一緒にお墓参りに毎月行っています。
実際にはお墓参りの後に行くファミレスを子どもが楽しみにしているからなのですが、信心もまずは形から入ることにしました。
さらに宇平は続けます。
「敵はにくい奴ですから、もういちど会ったらひどい目に合わせてやります。だが捜すのも待つのも無駄ですから、出会うまではあいつのことなんか考えずにいます。私は晴れがましい敵討ちをしようとは思いませんから、助太刀もいりません」
これは敵討ち制度そのものに疑問を投げかけて強がっているところです。
宇平が言うように敵討ちとは成功の見込みに乏しい反面、己の全存在を賭けて行なわなければならない。
果たしてそんなことに値するものなのか、人は何を支えにしてこの過酷な試練に耐えねばならぬのか。
結婚も同じです。
未婚率も上昇していて世間体も今はさほど気にしなくて大丈夫になっています。
ですから結婚とは必ず成し遂げなくてはならないもの、というわけではありません。
ずっと昔の話、私たちの親くらいの時代には、人の紹介で顔合わせして2回目に会うのはもう結婚式場。
そんな見合い結婚がありました。
今となっては、それはもう特殊なものでしょう。
私のように学生時代にも職場にもご縁がなく結婚しようとしたら、婚活とは成功の見込みに乏しい反面、いいかげんな人間と結婚したい女性などいないでしょうから、やはり己の全存在を賭けて行なわなければならないものでした。
小説には宇平のそんな弱気になり離脱しそうな雰囲気を察知した九郎右衛門の言葉が書かれます。
「…武運が拙くて、神にも仏にも見放されたら、お前の言うとおりだろう。
しかし人間はそうしたものではない。腰がたてば歩いて捜す。病気になれば寝ていて待つ。神仏の加護があれば敵にはいつか会える」
そう言ってあちらこちらを捜索しては九郎右衛門はその土地の神社へ参詣してきました。
そんな中で耐えきれなくなった宇平はもうやめると宣言し、いなくなってしまいました。
しかしその直後に九郎右衛門は霊験あらたかだと評判される玉造豊空稲荷の話を聞きます。
次の日に神主を通して神さまにお伺いをたてたのです。そのご託宣は…
「尋ね人は春頃から東国の繁華な土地にいる」
とすれば犯人は江戸に舞い戻ったことになります。
にわかには信じられなかったものの本当に江戸にいることがわかり急転直下、敵討ちに成功しました。
森鴎外がこの小説を書いた時代は、敵討ちを扱った忠臣蔵がもてはやされて美徳とされていました。
いっぽうでこの小説にはこの敵討ちについて賛美することはまったく書いていません。
むしろそんな空しい目的に黙々と向かっていく苦難に満ちた毎日を淡々と描いています。
鴎外が書いたのは敵討ち自体ではなく、それに関わる人びとのひたむきな生き方から浮かび上がる献身の美でした。
敵討ちをする人びとの内面に立ち入ることで、つらいことに立ち向かい、それを乗りこえようとする、その心理を追います。
そしてそこに人間として時代を越えた変わらない感情を描きました。
その変わらない感情とは、人間は忠義とか愛国とかいった外面的な動機ではなく
「人間としてこうありたい」
という内面からあふれでる強い想いにもとづいて行動する。
そのような思いを込めて鴎外はこの小説を書いたのだろうとインターネットでわかりやすく書評されていました。
「結婚とは果たしてそんなことに値するものなのか、人は何を支えにしてこの過酷な試練に耐えねばならぬのか」
もし見合いをしている最中の私がそう聞かれたとしたら、このように答えたでしょう。
「それは結婚したいと内面からあふれでる強い想いがあるから」と。
私が行なっている歯科においても
「お金持ちになりたいから」
「人よりエラくなりたいから」
など外面的な動機で歯医者が治療しているとしたら、患者さんに迷惑をかけるだけです。
敵討ちを果たした九郎右衛門のように、あるいは妻と初めて出逢って即座に行動に移したあの時の自分のように
「歯医者としてこうありたい」
という内面からあふれでる強い想いにもとづいて治療をするから…人も神仏も味方となって治療を成功に導いてくれるのでしょう。
もっとも広大な砂浜で一粒の砂を探すに等しい、そんな正解のわからない症例に対して
「もう、こうなったら神さまに頼るしかない」
ではさすがに困ります。
難しい治療にこそ立ち向かい乗りこえようとする、ひたむきな献身を忘れない。
そのためにこれからも自らの内面を見つめながら勉強し、患者さんと家族を大切にしていきます。
参考文献:
「護持院原の敵討:鴎外、忠君愛国思想を斬る」https://japanese.hix05.com/Literature/Ogai/ogai05.gojiinhara.html
「詩ごとのbrog」https://ameblo.jp/buk105/entry-12342102331.html
杉並区、西荻窪で、保険の入れ歯治療を数多く手がける歯医者、いとう歯科医院の伊藤高史です。
オルタナティブブログに記事を載せました。
入れ歯の歯が大きすぎるので、形を削って修正して良い歯並びを作る治療を行ないました↓
https://blogs.itmedia.co.jp/ito_takafumi/2025/04/post_194.html
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杉並区西荻窪で入れ歯治療を数多く手がける歯医者
いとう歯科医院の伊藤高史です。
歯医者も時代の飢餓感に感応するセンスが必要となりました。
「『言われてみてはじめてわかりました』とか、『わたしも実はそうだったのよ』という、死角に入っていた心のうめき、寒さ、これがつまり時代の飢餓感です。(中略)
この見えない飢餓にボールをぶっつけて、ああ、それそれといわせるのが歌なんですよ」
「津軽海峡冬景色」(石川さゆり)
「勝手にしやがれ」(沢田研二)
「気まぐれヴィーナス」(桜田淳子)
「ペッパー警部」「渚のシンドバッド」(ピンク・レディー)
「宇宙戦艦ヤマト」(ささきいさお)
など数々の大ヒット曲の作詞を手がけた阿久悠氏の言葉です。
(参考文献:「作詞家入門」阿久悠、岩波現代文庫)
この言葉に、「夫のトリセツ」「妻のトリセツ」など数々のベストセラーを持つ作家、黒川伊保子氏は
「洗濯物をたたみながら観ていたテレビ番組で出会って、胸を打たれ、しばし手を止めて、ぼうっとしてしまった」
とありました。
そしてこのことは映画、アート、著作、そして製品開発など、すべての表現に言えるのではないか。
と述べています。
(参考文献:「不機嫌のトリセツ」黒川伊保子著、河出新書)
読んでいて私もしばし本を読む手が止まってしまいました。
なぜならば
人々がまだ気づいていない
「時代の飢餓感」
に気づくこと。
そしてそんな時代の飢餓感にボールを当てて
「ああ、それそれ」
と言わせること。
これは歯科治療を行なう原点でもあることに自分も気がついたからです。
私は都心のデンタルクリニックに数軒ほど勤めていた時代に
「なんか子どもの頃のお医者さんのイメージと違うなあ」
と思ったものです。
小学生の時によく中耳炎になっていました。
いつものかかりつけの耳鼻科に行くと
「おお、ターちゃん(私の愛称)また来たんだね」
と先生が簡単なあいさつをして診察。
薬を手渡されて母親が会計。
小銭をチャラチャラと先生に手渡します。
おまけで甘い味がするトローチをいただいて
「せんせい、さよなーら」
と手を振っておしまい。
母を見ても医療費とか気にした様子などなかったですし、ゼロがいくつあるのかわからない自費治療の見積書を耳鼻科医から手渡されたことなどありません。
都心の歯科医院においては百万円の治療を売りこむことが歯医者の主な仕事でした。
なんか歯医者だけ他のお医者さまとやってることが違うんじゃないの?
歯医者に必要なものとは、多少の手先の器用さ、ある程度の勉強ができることは当然です。
しかしそれらより大事なのは「時代の飢餓感」に感応するセンスなのだと阿久悠氏、黒川伊保子氏から教えられました。
脳は経験のない感覚は見えませんし聞くことができません。
脳が「時代の飢餓感」を感知するには「心のうめき、寒さ」を経験し知っていなければならない。
・お金持ちの名家に生まれました
・たっぷりと教育費をかけられた秀才として学生時代を過ごしました
・すこぶる健康で病気知らずでした
・何をやってもうまくいって大人になりました
・挫折? なあにそれ?
そんな育ち方をしたら、時代の飢餓感に感応できないことは明らかです。
残念なことに私を含め歯医者は上記のような恵まれた環境でぬくぬく育つ者がほとんどです。
おかげさまで親には感謝していますが。
とはいえ大学卒業して歯医者になったばかりのころは同じ歯医者である父親のやり方に疑問を感じていました。
・昔ながらのステンレス冠によるかぶせもの
・昔ながらのレントゲンなしの診療
・昔ながらの金属ワイヤーを曲げて作る部分入れ歯の金属バネ(クラスプ)。
大学で習った最新とされる治療と全く違うことをやっていたからです。
それで父に背を向けて、最新とされる歯科治療を修めようと都心のデンタルクリニックに勤めました。
ところが私はそこで初めて患者さんの「心のうめき、寒さ」を目の当たりにすることとなります。
私が感じとった患者さんの心のうめき、寒さとは
「歯医者だって内科とか病院とかと同じ医療なのだから、とにかく保険で治してほしい」
という、しごくもっともな事でした。
都心のデンタルクリニックで勤めるうちに私の心の中に、大金が必要な上に効果に疑問符がつく自費治療への不信感が芽ばえます。
つまり自分も患者さんと同じ心のうめき、寒さを持っていた。
だから感応できた。
そこで
「歯医者も内科や病院などと同じ医療だから、お金の心配なんかしなくて大丈夫ですから」
と言って保険治療を行うことで得られた反応が
「初めて歯医者でそんなことを言われました」
「言われてはじめてわかりました」
「わたしも実はそうだったのよ」
だったわけです。
それが原点となって当院は保険治療で入れ歯修理を特技としました。
もちろん、これと真逆の考えで高額な自費治療を選ぶ患者さんもいると思います。
「保険治療だと3分治療の流れ作業でやられる。おかしくない?」
「ゴールドやセラミックのほうが良い気がするのに保険治療ではできないの?」
「金ならいくらでも出すからワタシを特別扱いしてほしい」
これはこれで時代の飢餓感ではあります。
だから一人ひとりにたっぷり時間をかけて高額な自費治療を行なう歯医者のもとに通う。
そのことを否定はしません。
どちらが正しいかではなく患者さんがどちらを選ぶかというだけのことです。
とはいえ数軒のデンタルクリニックに勤務したり歯医者のホームページなどを見たりしてわかったのは、多くの歯医者が高額な自費治療をやりたがっていることです。
スマホで検索すると自費治療自費治療自費治療の情報の山に埋もれて、保険治療に関する情報は一般の人からは見えない死角となってしまっています。
「初めて歯医者でそんなことを言われました」
「言われてはじめてわかりました」
「わたしも実はそうだったのよ」
という、まさに死角に入ってしまっている患者さんの心のうめき、寒さ。
そのようなものを拾い上げる視野の広さ、確実に見つける眼力。
時代の飢餓感を患者さんと共に感じて一緒に乗り越えていく姿勢。
もちろん阿久悠氏のように作る曲、投げるボールがみんな、どストライクの大ヒット。
そんな境地に自分が達するのはいつの日になることやら。
黒川伊保子氏が書いているみたいに、ぼうっとタメ息をつきながら見上げるしかないのが現状です。
だからこそ、せめて当院に来てくださる患者さんには、保険治療で入れ歯修理というボールを的確に当てていく努力をこれからも続けていこうと思います。
歯科の自費治療が高額になるのは理由があります。
まず高度な材料と技術とされます。
自費治療では保険診療のように使用できる材料に制限がありません。
より高品質で審美性や機能性に優れた材料や最新の技術が用いられることが多いです。
これらの材料費や設備投資、そして高度な技術を持つ歯医者の専門知識や熟練した技術料が価格に反映されます。
とはいえ制限がないことが必ずしも良いことではありません。
治療方法が保険治療に収載されるには大規模で正確な研究、論文が求められます。
保険治療ならばそのような裏づけがあるわけです。
しかし自費治療に関しては、そのような研究論文は不要です。
だから科学的根拠がないのにテレビやメディアで持ち上げられて有名になったもののトラブルを起こして問題になるケースが後を絶たないです。
そのような問題ある自費治療は学会などで公式に注意を呼びかけていたりします。
一例
「ドックベストセメントについての見解」(日本歯科保存学会)
https://www.hozon.or.jp/file/news/250319.pdf
これからも情報収集して患者さんにとって最善の選択をしていきます。