杉並区西荻窪で入れ歯治療を数多く手がける
いとう歯科医院の伊藤高史です。
アレクサンドロス3世、通称アレクサンドロス大王は、古代ギリシャのアルゲアス朝マケドニア王国のバシレウス(王)(在位:紀元前336年 – 紀元前323年)です。
その治世の多くをアジアや北アフリカにおける類を見ない戦役(東方遠征)に費やし、30歳までにギリシャからインド北西にまたがる大帝国を建設しました。
戦えば決して負けることがなく、確かな戦略で領域を急速に拡大し、異民族統治においては独創的な方針をとりました。
このアレキサンダー大王の小説で私はすっかりファンになってしまいました。
見習う点が数多くあり、少しでもその高みにたどり着きたいと診療の励みとしています。
アレクサンドロスの歴史は戦いの歴史ですが、ただやみくもに突っこむだけの猪武者ではありませんでした。
海のないマケドニアから来たアレクサンドロスは海での戦い方を知りません。
地中海の海港都市国家ティロスと初めての海戦では互いに新手の策を次々と繰り出すチェスの攻防のような戦役になりました。
ティロス軍くり出す小舟でのゲリラ戦法に対してアレクサンドロスは近隣諸国から召集した大型のガレー船二百隻でティロスの船を港に封鎖する。
七ヵ月かけて包囲網を築き上げてからアレクサンドロスは自ら上陸用舟艇を駆り精鋭部隊「ヒパスピスタイ」とともに市街に上陸し占領する。
いとう歯科でも、たとえば総入れ歯を作製するときは回数をかけてじっくりと臨みます。
これまで使っていた入れ歯から新しい入れ歯にするときに気を付けるのは「咬み合わせを変えない」ことです。
咬み合わせが変わると、どんな最新の検査機器を使っても最先端の素材を使っても、その新しい入れ歯は使えません。
新しく入れ歯を作る過程で、これまで使っていた入れ歯と新しい入れ歯の咬み合わせが同じであることを3回確認します。
一般的な入れ歯の作り方より余分に2回来院が多くなります。
早く入れ歯を作りたい患者さんの気持ちは分かるつもりですが、そこは我慢と忍耐が必要です。
でもそれから完成させると、後は微調整だけで使えるようになります。
じっくり取り組むことで後から良い結果がついてきます。
アレクサンドロスは13歳のときにギリシャ最強の重装歩兵と言われた都市国家スパルタにて軍事訓練を受けました。
通常は10年かかるところをスパルタ王レオニダス直々の指導、文字どおり「スパルタ教育」によってわずか3年で技術を身に付けました。
同時にギリシャの哲学者アリストテレスの弟子となり文学、哲学、政治、自然科学、医学まで広く学びました。
数多くの情報に対して偏見なく冷静に受け止める姿勢の確立と、自分の頭で考えて自分の意思で冷徹に判断して実行する能力を鍛えぬいたといいます。
アレクサンドロスは未知の事態に陥っても勉強して彼自身が進歩し、不利を有利に変えて主導権を握ってきました。
ティロスとの海戦では船での闘い方を勉強し、海港都市を堂々と海軍で破ります。
東征の仕上げのインドでは、現代の重戦車にあたる戦闘用に訓練された象が二百頭という前代未聞の大部隊を相手に勝利を修めました。
まず陽動作戦で象を孤立させます。
それから、これまでギリシャ軍伝統だった大型の盾と鎧に身を固め7メートルの長槍を集団で突きつけながらゆっくり前進し制圧するスタイルだったのを変えました。
盾と装備はより軽く武器は片手で扱いやすい槍に変えて軽装歩兵にして象軍団の上の兵を狙い撃ちしました。
アレクサンドロスはもちろん真っ先に突撃し標的はインド王ポロス唯一人。
傷ついて意識を失った王ポロスに気づいた象が前足を曲げて停止し勝負あり。
ペルシャやインド軍が用いた象や馬に曳かせる戦車は、歩兵をあっという間になぎ倒す当時の最新鋭の大型の武器です。
しかし大がかり故の欠点も多く、使い方を誤ると全く無力になってしまいます。
アレクサンドロスは遠征していたので大型の兵器を持っていけなかったという事情はありますがオーソドックスな歩兵を主戦力に、ティロスの海戦、ペルシャの会戦、攻城戦、ゲリラ戦、インドの渡河作戦を闘い抜きました。
壊れた入れ歯も保険治療で修理できます
歯科においてもインプラントや最新鋭の機器を駆使した大がかりな治療が流行っています。
ですがそのような治療法には象や戦車軍団のような欠点が必ずあります。
逆にどの歯科医院にもあるオーソドックスな機器での保険治療でも治せる範囲が数多くあります。
上手く咬んでいないインプラントに保険治療の義歯を装着して機能させることも、よくあります。
たとえば入れ歯はプラスチックだけで作製した方がプラチナなどの貴金属を用いるよりも、後でメンテナンスや修理が簡単で小回りが利きます。
応用自在な軽装歩兵のような使い勝手です。
いとう歯科医院では使う機器の数は、他の歯科医院に比べて少ない方だと思います。
それでも他の歯科医院で治らなかったのを上手く治めた症例が数多くありました。
ただ当院がアレクサンドロスと違うのは連戦連勝ばかりではないことです。
これからもアレクサンドロスに負けずに勉強し技術を進歩させるつもりです。
現在は炎で軟化した歯科用パラフィンワックスを咬んでもらう簡単な手技で正しい咬み合わせの位置を導く治療法を勉強中です。
大がかりな道具がなくてもパラフィンワックスなら祖父の時代から余るほどあります。
それを用いて新たな治療法を身に付けられるのは、これまで敵わなかった新たな敵に対して、こちらもレベルアップした新たな武器で立ち向かうようなワクワク感があります。
勇敢、豪快にして繊細で粘り強い、自己中心的だが占領した国での公平無私な政策で傭兵からも慕われる。
ペルシャ帝国を占領した後にマケドニア以外のギリシャ兵を帰国させようとしたがアレクサンドロスを敬愛していた兵は誰一人帰りませんでした。
逆に傭兵が次々と集まり、それを基にインドまでの遠征を加速させる。
イラン、イラク、アフガニスタンを含む中央アジア全部を支配下に置く偉業を成し遂げたのは現在に至るまでアレクサンドロスただ一人です。
地中海を制覇したローマ帝国も、世界中に植民地を作った近代イギリス、アメリカ、ソ連も中央アジアに侵攻したものの撤退しています。
そんなアレキサンダー大王と自分など比べるのもおこがましいのですが、これからもたゆまず勉強して少しでも共感、共通するところを見つけて近づきたい存在です。
入れ歯に歯科専用の入れ歯安定剤を貼る治療の費用は保険治療3割負担の方で総額約2,000~4,000円
完全無欠に見えるアレクサンドロスでしたが長い遠征に嫌気した兵が反乱を起こしたことがあります。
アレクサンドロスは兵たちの中に単身で乗り込みました。
遠征を借金して始めたアレクサンドロスは各国を制覇する中で逆に莫大な収益を挙げます。
とはいえアレクサンドロス自身は贅沢に興味を持たず、収益は全て兵や占領した街や市民に還元し、自身は兵たちと同じ食事、同じ寝所で過ごしました。
「最前線で闘った私の身体の、剣で槍で矢で投石で傷ついた跡。これが山を越え砂漠を踏破し川を渡ることで得た、わたしの勲章だ!
長年一緒に過ごしてきたのに、そんな自分の気持ちが分からないなら勝手にどこへとも去れ!」
胸の想いをぶちまけたアレクサンドロスに対して兵たちは心から反省し反乱は穏やかに終結しました。
駅前のおしゃれなファッションビルのテナントで、窓枠のサッシまでピカピカに磨きあげられイタリア製の家具で調度された最新鋭の歯科医院に比べると80年超えて使っている当院の内装は傷だらけです。
院内の脇でワックスやプラスチック、人工歯、金属ワイヤーの作業をしたり入れ歯を削ったりします。
するとどうしても汚れてくるのです。
とくに私の祖父は総入れ歯まで自分で作っていました。
作製に使う金属フラスコの封が不十分で、フタが天井まで弾け飛ぶことがあったと聞いたことがあります。
天井の凹みはそのせい。
父は金属のかぶせものを自分で作っていました。
金属をガスバーナーで溶かし遠心力で一気に注入する。
技工室の壁の黒い焦げはバーナーの炎が暴れたせい。
私はワックスを溶かして入れ歯の歯並びを自分で全て並べています。
溶かしたワックスをしばしば床にこぼすので赤い跡が床に点々と付いています。
歯科治療の最前線で80年闘ってきた傷だらけの院内は、いとう歯科医院の勲章、誇りなのです。
参考文献:・ギリシャ人の物語Ⅲ新しき力 塩野七生 新潮社(諸説あり)
・Wikipediaアレキサンドロス3世
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B93%E4%B8%96