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歯が一本もない、入れ歯を使っていない方に新しく入れ歯を作る治療を行ないました。

杉並区、西荻窪で入れ歯治療を数多く手がける、
いとう歯科医院の伊藤高史です。

「全然合わなくなっちゃって」
と言いながら入っていらしたのは70代女性のBさん。3年ぶりの来院です。

上は総入れ歯を当時に作っていました。下は歯が数本あったのですが入れ歯を作らないままで終わっています。
久しぶりに拝見すると上の入れ歯は全く合わず下は歯が一本もなくなっていました。
下は入れ歯を入れていません。上の入れ歯も合わなくなって再び来院されたという次第です。

そこで今回は上下とも新しく総入れ歯を作ることにしました。
歯科医師によって様々な考え方があるものの当院では上の総入れ歯から作ります。

部分入れ歯の金属バネが折れても保険治療で修理できます

私は当院に戻る前に地方の入院施設を周って治療する訪問歯科に携わったことがあります。

やはり歯が一本もありません。
長年入れ歯も使ってません。
という方が数多くおられました。

固形物を食べられず流動食だけだとやはり寝たきりになってしまいます。
また歯がないと飲み込むことが上手くできず誤嚥性肺炎の原因となります。

そこで
「上の総入れ歯だけをひとまず作る」
という治療をよく行なっていました。

上の総入れ歯の歯並びは、実はある程度ですが機械的に決めることができます。

たとえば鼻の下から前歯の先端が平均25ミリ。
前歯から奥歯の先端の点を結んでいくと平面ができます。
これを咬合平面といいます。

一方鼻の下と両耳の穴を結ぶことでも一つの平面ができます。
これをカンペル平面といいます。

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カンペル平面とは、鼻下点と左右の耳珠上縁を結んだ線によって構成される平面です。

咬合平面とほぼ平行であるとされており、無歯顎やずれ違い咬合などの咬合関係が失われた患者の咬合平面を再度決定する際に使用されます。

カンペル平面と関連する平面には、次のようなものがあります。

フランクフルト平面:
眼窩下縁と耳珠上縁を結んだ平面で、水平基準面として使用されます。
カンペル平面とフランクフルト平面は、X軸まわりに平均的に約12°の角度をもって交差します。

咬合平面:
切歯点(下顎左右中切歯の近心隅角間の中点)と、下顎左右第二大臼歯の遠心頬側咬頭頂の3点を結んでできる平面です。
カンペル平面とほぼ平行になると言われています。

SN平面:
トルコ鞍と呼ばれる脳部位をS点、ナジオンと呼ばれる鼻骨縫合部の最も高い位置をN点として両点を結んだ平面です。

色々な説や誤差はあるものの、咬合平面とカンペル平面が平行とされています。
下アゴと違って上アゴは動かないのでこのような法則を利用できます。

「誤嚥性肺炎が減ってますよ」
「〇〇さんの食事が流動食から少し固形になりました」
医師から報告をくださったのはうれしかったものです。

このような場合、上下の入れ歯を同時に作る歯科医師もいます。
それはそれなりの理論や技術があるので否定するつもりはありません。

ただ下アゴは自由に動くので、上アゴの入れ歯が作製途中で不安定だと下の入れ歯の咬み合わせも不安定となってしまいます。
そのようなことから、上も下も同時に治療しようとするのは私は上手くいきませんでした。

5回ほどの来院で上の入れ歯を入れたBさん。
次の週に来院されました。

「入れ歯を入れて以来、体調が良くて駅から歩いて来たのよ」

と笑顔です。
入れ歯ができるまでは歩くのもしんどくて西荻窪から当院まで徒歩7分の道をタクシーで来ていたそうです。

「こんな調子良くなるなら、もっと早く来れば良かったわ」
とおっしゃってくださいました。

上の入れ歯を作るだけでも、まずは状況が変わります。
お気軽にご相談下さい。

今回のBさんの上の入れ歯を作る治療の費用は、保険治療1割負担で総額約5,000円でした(治療費は症状により個人差があります)。

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誤嚥性肺炎とは異物が肺に侵入することで発症する気管支肺炎のことです。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)は、嚥下機能障害が起きているために肺(気道)に胃又は口から唾液や食べ物、胃液などに含まれる細菌が流入してしまったことで肺に発生する炎症のことを言います。肺炎の一種です。

原因は、老化等で起きる嚥下機能障害、飲み込みが上手くできない等のことによって、唾液や食べ物、胃液などに含まれる細菌が気道へ流入することによります。

危険因子(ある特定の疾病を発生させる確率を高めると考えられる要素)としては、意識レベルが低下、誤嚥障害、アルコール依存症、経管栄養、口腔衛生の欠如によって誤嚥性肺炎が引き起こされます。

診断法としては既往歴、症状、胸部X線、培養によるものがあります。

鑑別が必要な他の疾患としては、吐いた物が大量に肺へ流入してしまった際の胃酸による化学性肺炎はメンデルソン症候群と呼ばれます。
他にも結核と間違えないように鑑別する事が必要です。

合併症としては肺炎の一種である化膿性肺炎(肺化膿症、肺膿瘍)があります。

症状は持続する高熱、咳、黄色痰、全身倦怠、食欲低下などです。肺膿瘍が破れた時は膿気胸となり呼吸困難となります。

治療に使用する医薬品としては、クリンダマイシン、メロペネム、アンピシリン・スルバクタム、モキシフロキサシンがあります。

クリンダマイシン以外は歯科で使うことは少なく時として入院が必要な重篤な状態になります。

患者さんのうち10%ほどは入院必要となります。

よくある徴候や症状は発熱と咳が感染から比較的早期にみられます。

細菌の流入のような「感染性の誤嚥性肺炎」だけでなく、酸性の胃の内容物や胃酸が肺に流入することで発症する化学性肺炎もあります。これは「非感染性の誤嚥性肺炎」の亜型に分類されます。

病因となる菌は、ほとんどが黄色ブドウ球菌です。

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診断としては、肺雑音は独特のはないです。胸部レントゲンで肺野に単発の球状の白色陰影を認めます。
球状陰影の中身は膿で満たされ、ニボー像を認めることがあります。

看護において二ボー像とは、腹部X線写真で確認できる腸閉塞(イレウス)の所見で、腸管内容物の液性成分が下に、気体成分が上に移動して水平に液面像を形成したものです。鏡面像とも呼ばれます。

CTスキャンで確定診断ができます。

治療としては抗菌薬を静脈内投与します。
主にセフェム系が使われますが、耐性ブドウ球菌も考慮してバンコマイシン、カルベペナム系が使用されます。
膿気胸をおこしたときは直ちに胸腔ドレナージを行ないます。
抗菌薬が無効の時にはレントゲン透視下で経皮的に膿瘍の穿刺ドレナージを行い持続的排膿をさせます。
最後の手段としては、開胸して、膿瘍のある肺葉を切除します。

参考文献:
Wikipedia誤嚥性肺炎
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%A4%E5%9A%A5%E6%80%A7%E8%82%BA%E7%82%8E

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二ボー像とは

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カンペル平面とは

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