カテゴリー

■脳の老化防止のためにやっておくべきこと 歯科ブログ

「人の名前が思い出せない」
「えーと、ほら、あれ、なんだっけ」
「どうも新しいことをやるのが億劫でね」

こうした経験に思い当たるかたはいませんか?

記憶力や気力の低下は脳の老化のせいだと言われています。
しかし、最近の研究では簡単な習慣を身につけるだけで、脳の老化のスピードを遅くすることができるとわかってきました。

何の回数だと思いますか?
アメリカでは「2回」、スウェーデンでは「1回」。

これは直近1年間に、歯の健康診断を目的として歯科を受診した回数です。
一方、日本で最も多かったのは「直近1年間は受診していない」というもの。
その割合は57.5%と過半数を超えています。

実はこの差が脳の老化に大きく影響していました。

神経内科専門の医学博士、長谷川嘉哉先生が書いた「認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ歯を守りなさい」という本で詳しく紹介されています。

長谷川先生は2か月に1回かかりつけの歯科医院を定期受診していて、散髪に行くのとほぼ同じタイミングなので「散髪をしたということは、そろそろ歯科のメンテナンスだな」と散髪と歯科受診がセットになっているとのこと。
そして「あなたもぜひ、散髪に行くのと同じくらいの気軽さで、2~3か月に1度、歯科の定期検診を受けてください」と通院を奨励しています。

そうそう! こういうことを言っていただきたかった。
本を読みながら私は思わず膝を打ちました。
散髪に行く気軽さで歯科医院に行く。
これこそ理想の姿です。

この本は認知症と歯科の関連など豊富なデータや知見を示している良書でした。
このように認知症専門医が歯科をプッシュしてくださるのは歯科医師として感無量です。

しかし、現実を見ると残念ながら歯科特有の心配な点をお伝えしなくてはなりません。
というのも何年にも渡ってこのようなメンテナンスだけを引き受けてくださる理想的な歯科医院を見つけることはとても難しいかも知れないからです。

現行の保険制度では、歯科の保険治療で予防はできません。
かわりに、かかりつけの歯科医を決めて定期的に管理やメンテナンスをするという「予防重視」という考え方が導入されています。
これなら保険制度を使って適正な価格で良い状態を保つ努力ができます。

ところが、ある歯科医院のホームページに「予防重視」と高らかに謳っていたので行ってみたら、インプラントやセラミックのかぶせものなど高額な自費治療を売り込まれた患者さんもいます。
近ごろそんなトラブルを耳にするようになりました。

歯科医向けのセミナーのなかには「予防導入のノウハウを教えます」というふれこみで開催しているグループがあり、当院にも勧誘の手紙やファックス、メールが山のように来ますが、その目的は「予防を入り口としてインプラントなどの高額な治療へ誘い込む方法」だったりします。
ちょっと俗なたとえで恐縮ですが、2千円ポッキリと書いてあるカンバンを見てお店に入ったら100万円のドンペリを入れさせられたみたいなものです。
予防重視が患者を集める撒き餌として利用されているわけです。

こうした心配は普通の業界ではありません。
たとえば理髪店の場合、私も子どもの頃からお世話になっている近所の理髪店に2か月に1度くらいのペースでカットに行っていますが、料金は数千円です。
店内に植毛やカツラの案内が置いてあったので世間話をしながらそれとなく聞いたところ100万円という単位でお金がかかるそうです。

私もこのごろ頭頂部が薄くなってきたので対象者ではありますが売り込まれたことはありません。
仮に売り込まれたらこの理髪店には二度と行かないでしょう。
でもなぜか歯科医院では、カットに来ただけの人に100万円の植毛をハデに売り込むのと同じ行為が横行しているのです。

認知症専門医がおすすめするような「認知症予防のために通う歯科医院」を探すときは、全て保険治療で診察しくれる歯科医院を探してください。
見分け方は簡単です。
開口一番、歯科医師に「保険治療でお願いします」とお伝えください。
「保険で」と言ったとたんにイヤな顔をしたり、いきなり自費治療の話が出たりしたら、脱兎のごとく逃げましょう。

認知症予防は入れ歯を使っている方でも大丈夫です。
入れ歯を調子よく保っていれば全身の状態もよく保てるというデータがあります。
決して手遅れではありません。
入れ歯治療を数多く手がける当院は「予防重視」の考え方にそって認知症予防に貢献しています。