杉並区、西荻窪で入れ歯修理を数多く手がける
いとう歯科医院の伊藤高史です。
「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む」
万葉集に数多くの詩を残し百人一首にも載っている柿本人麻呂。
持統天皇などと交流があり下級役人として旅し石見にて病で亡くなった。
この定説を舌鋒鋭く批判し真実を追究する「水底の歌」梅原猛著、新潮文庫。
一般書でありながら学会論文をひもとくみたいな論の積み重ねに、私は引き込まれるように読み進めていました。
・定説が出来上がった過程には真偽と関係なく研究者の思い込みが入っている。
・その思い込みを論破されないように「この歌は後世の作り話」など苦しい言い訳をする。
・反対意見は権威で潰すなど。
どこの世界でもありがちなウラの姿もよくわかります。
ふと思い浮かんだのは、自分の歯科治療です。
思い込みで突っ走っていないか。
思い通りにいかない時に苦しい言い訳をしていないか。
患者さんの話を権威で潰していないか。
歯科治療とは常に客観的な検証が必要です。
柿本人麻呂の人生がどのようなものだったか。
研究者や時代によって「定説」とされるものが何回も変わってきました。
有名な百人一首の歌も、実は柿本人麻呂の作ではないと今回調べて初めて知りました。
それと同様に歯科治療の「定説」たとえば歯磨きのやり方や咬み合わせの理論、いわゆる顎関節症の扱い、抗菌薬など数十年の間にガラリと変わったものがあります。
とくに歯が一本もない患者さんの下アゴの位置を決める基準として「中心位」という言葉があります。
私たちが学生のころの中心位の定義とは
下顎最後退位(下顎頭が下顎窩内において最後退位にある状態)と習いました。
下アゴを後方にさげるためのセントリックなんとかというチリトリみたいな器具で患者さんの下アゴをグイグイと押し込んだものです。
しかしそれを指標としてかぶせものを作ると、顎の関節に症状を起こすことが明らかになりました。
そこで現在は
「下顎頭が関節円盤を介して、関節腔の前上方に位置している状態」
と定義が変わりました。
正直なところ、分かったような分からないような定義です。
とはいうものの何かの基準は必要です。
結局は大ざっぱに
「中心位とは、健康な顎関節における最も安定している位置」
というところに落ち着いているようです。
参考文献:Search Labs | AI による概要
定義はともかく、患者さんの安定して噛めるアゴの位置を決めるためのノウハウはあります。
自分もこれからも勉強し続けて変化に柔軟に対応していくつもりです。
ゆるい入れ歯には保険治療で歯科専用の入れ歯安定剤ティッシュコンディショナーを貼ると安定します
もっとも歴史の世界にある真実は一つだけです。
だから今は多くの意見があっても、研究が進むにつれて結論は段々と一つに集約されていくことでしょう。
それに比べて医療の世界の真実は一つではありません。
同じ患者さんを治療するのも、私が行うのと他の歯科医師が行うのとでは結果が変わってきます。
別に保険治療と自費治療のどちらが良いとか悪いとかいう話ではありません。
また同じ患者さんを私が治療するにしても、今すぐ治療するのと1年後に治療するのとでは結果が変わってきます。
一つの真実などというものはなく限りなく拡散する世界。
その中で入れ歯で治す、インプラントで治す、歯周病治療が得意など、自分なりの方向性を決めて進むことが求められます。
とはいえ歯科医師の目指す真実はただ一つ「患者さんのために」です。
保険治療で入れ歯のゆるさを解決できます
歴史研究と歯科治療。
違う世界ですが、一つの真実を求めるために数多くの書物を研究し論を導く。
パソコンなどで調べると、この梅原説にも不審な点があると指摘されています。
とはいえその探究心には大いに触発されました。
ちなみに平安時代に編纂された古今和歌集において柿本人麻呂は「歌聖」と呼ばれました。
これは単純に「柿本人麻呂すご~い」というだけの話ではありません。
他に「聖」とされた歴史上の人物として挙げられるのは聖徳太子、菅原道真、千利休など。
いずれも政治的に恵まれず追放や孤独、非業の最期を遂げています。
だからこそ「聖人」として祭られる。
著者の梅原氏も、この辺りの事情から柿本人麻呂の人生について定説をくつがえし大胆な提起をしています。
実は持統天皇など最高権力に近いところにいながら、時の実力者だった藤原不比等と何らかの対立があり…
これ以上の内容については書を読むことをお勧めします。
読みながら「ボクも入れ歯治療の聖人なんて呼ばれたいな~」とボケーッと考えはしました。
しかし歴史上の偉人、聖人などには全く及ばない上に、普通に家族と幸せに暮らしたい小人です。
そんな自分には「入れ歯治療がんばってます」くらいの称号で十分であります。
歯科医師が勧める歯磨きの方法
まず歯ブラシは柔らかいもの~普通のもの、を選びます。
少なくとも3か月ごとに新しいものに交換することが重要です。
あまり長い期間、同じ歯ブラシを使用すると磨く効率が下がる可能性があります。
歯磨き粉はフッ素入りのものを使用すると、虫歯予防に効果的です。
参考文献:Search Labs | AI による概要
歯磨き粉のフッ素濃度は、国が定めた公的な基準で1,500ppm(ピーピーエムエフ)までです。
一般的には1,450ppmまでに抑えられています。
フッ素濃度は、年齢やむし歯のリスクによって異なります。
歯が生えてから2歳:1,000ppm(米粒程度)
3~5歳:1,000ppm(グリーンピース程度)
6歳以上:1,450~1,500ppm(歯ブラシ全体程度)
う蝕のリスクのある16歳以上:5,000ppm(1日2~3回)
フッ素濃度が高い歯磨き粉は6歳未満の子供には使用を控える必要があります。
年齢に応じた物を使ってください。
また誤飲を防ぐために子どもの手が届かない場所に保管します。
歯磨き粉のフッ素濃度はパッケージの表面や裏面に「〇〇〇ppmF」や「〇〇〇ppm」という表記があります。
昔は高濃度フッ素という発想がありませんでした。
上記の歯磨き粉のフッ素濃度の推奨基準は2023年1月に変更されたものです。
かなり最近です。
この変更は、日本小児歯科学会、日本口腔衛生学会、日本歯科保存学会、日本老年歯科医学会の4学会合同の提言によるものです。
フッ素濃度の推奨基準が変更された理由としては、次のようなことが挙げられます。
・国際歯科連盟(FDI)や世界保健機構(WHO)など国際的な機関では年齢にかかわらずフッ素濃度1,000ppm以上の歯磨き剤が推奨されていること。
・フッ化物応用の研究が進んだことで、より精度の高い基準を設けることが可能になったこと。
フッ素濃度は「ppm」という単位で表され、1ppmは100万分の1%を意味します。
部分入れ歯を作る費用は保険治療3割負担の方で総額約1~2万円
歯磨きは朝と夜の2回、1回あたり2分間以上、行なうのが理想的です。
ブラッシングの順序:
歯の外側から始め、次に内側、最後にかみ合わせの面を磨きます。
とくに歯の裏側や歯と歯の間はプラークが溜まりやすいので丁寧にブラッシングしましょう。
ブラッシング方法:
バス法:
歯と歯茎の境目を45度の角度でブラシを当て、細かく振動させる方法です。これにより、歯と歯茎の間の汚れをよく落とすことができます。
私が歯科学生の頃は歯磨き法といえばこのバス法一辺倒でした。
ただ歯ブラシの毛先が動かないように小さく動かすとか難しいテクニックが必要で、全部の歯を磨くのに30分とか必要になるので大変かと個人的には思います。
とはいえ歯科医院で歯科衛生士からおそわるのは、ほとんどバス法です。
科学的根拠はある方法なので指導されたらやってみてください。
ローリング法:
歯の表面にブラシを垂直に当て、歯の先端から根元に向かってブラシを転がすように動かします。
これは特に歯茎マッサージにも効果的です。
ブラッシングの動き:
小刻みに動かすのがポイントで、大きな動きで磨くと歯茎を傷つける可能性があります。
とはいえバス法よりは大ざっぱに動かして大丈夫なので小児の歯磨き法で用いられます。
力を入れすぎず軽いタッチで円を描くように磨きましょう。