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■カネで治めるか、光で治めるか その2 歯科ブログ

ちなみに、必ずしも治療におカネをかければ光を生み出せるわけではありません。
高額な自費治療でヒドい目に合った患者さんを数多く目の当たりにすることがあります。
まるで歯科医と戦争状態になっているような人が当院に駆け込んでくることもあります。

歯科医が闇に落ちるのは、政の言葉を借りれば己の光のありようを見失うから。
光を見失えば患者さんが納得する治療方針が見つからず、もがき、苦しみ、悲劇が生まれます。

そんな口の中を見るたびに思うのは、患者さんが一番の被害者で、とても悲しいことです。
ただ同時にこの施術をおこなった歯科医師の苦境も見抜くことができます。

納得のいく治療方針が見つからず、もがき苦しんでいる。
歯科医師なら互いの治療を見抜く目くらいだれでも持っています。
高額治療を受けたのに患者さんは納得していない。

こうした症例を見ると呂不韋の主張する「カネで世界を治める」というのは、いかにも解決しそうな気がするでしょうし、耳に響きがいいのかもしれませんが、治療方針そのものが間違っていると分かります。

「カネで解決できると思うなら、それは前進ではなく人へのあきらめだ」そう政に説かれているような気がする。
私も自ら患者さんの口の中に闇を作らないようにと改めて身の引き締まる思いがしました。

呂不韋に治世を説く政は自分自身がいつの間にか、まばゆい光をまとって輝いていた。
後に政は中国を統一し、秦の始皇帝となりました。

ご存じのように結局は戦争のない世界を作ることはできなかったのですが、私も歯科医師として光を生み続けて、いつの日か口や歯のことで悩まない世の中にすることを目指しています。
それは戦争のない世の中を目指すのと同様に過ぎた願いかもしれませんが、挑戦し続けます。

参考文献:キングダム39、40巻 原泰久著 集英社


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■カネで治めるか、光で治めるか その1 歯科ブログ


時は紀元前。
当時の中国では国が分裂し争っていました。
その一国の秦では、新しい国王の政(せい)と、王座奪回を目論む丞相の呂不韋(りょふい)の間で、互いの軍勢が激しい戦闘を繰り広げていました。
一方、宮殿の中では政と呂不韋が真正面に向き合って対峙し、どちらが秦を治めるにふさわしいか、激論が交わされていた。

商人から出世した呂不韋は商人らしく「カネ」の力で中国を支配すると主張し、有り余るほどの金で物があふれかえり飢えと無縁な飽食の国、人生を楽しみ謳歌する国を作り、他国にも富みを分け与え戦争をなくそうという考えです。

それに対し政は武力による中国統一を主張。
「暴力による支配は暴力の連鎖を産むだけだ」しょせん戦争はなくならないと否定する呂不韋に対し「人間とは光だ」と切り返した。

政は幼少の頃に母子ともに他国で虐げられ、暴力を振るわれ、命がけで助けてくれた商人の娘の手によって秦に戻った辛い過去を持っています。

人には二面性がある。
戦争を起こす凶暴性、醜悪さも人間の持つ闇の側面だが、一方、赤の他人のために命を捨ててまで人を助ける者もいる。

政が商人の娘に見たのは人の優しさと強さ。
そして強烈な「光」だった。
光を放っているのは商人の娘だけではありません。

戦(いくさ)に敗れて散っていった武将や、名もなき兵士まで、必死で生きる者はみな強烈な光を放っています。
その光を次の者が引き継ぎ広めていくことでさらに力強い光を放つようになる。
人は光でつながり、よりよい方向へ前進する。

こうして中華を分け隔てなく、上も下もなく、ひとつにして次の世代には戦争をなくす。
呂不韋は「王は大きゅうなられましたな」と目頭を押さえ、政の壮大な思想を認めました。

読みながら私は涙が止まりませんでした。
なぜなら私たち歯科医師も毎日光を生み出していることを思い出したからです。
私だけではなく、歯科医師ならだれもが歯科治療によって光を生み出しています。

しかめっ面の患者さんが治療で笑顔になったときや、不安な表情の患者さんが治療方針を説明したらホッと一息ついたとき、入れ歯が上手に入って納得の表情でうなづいたときなど、私たち歯科医師はいつも患者さんの中に光を見ることができます。

もちろん光を生み出すのは歯科医師だけではありません。
専業主婦もスポーツ選手も会社勤めの人も子どもも。
だれだってできます。
あなたにも身に覚えがあるはずです。


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「5年間使っていなかった入れ歯を、修理と調整をして使えるように治しました」 オルタナティブブログ

西荻窪、入れ歯専門のいとう歯科医院、伊藤高史です。

オルタナティブブログに記事を載せました。
「5年間使っていなかった入れ歯を、修理と調整をして使えるように治しました 」↓

https://blogs.itmedia.co.jp/ito_takafumi/2020/07/5.html


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■ルールがあるから安心して治療できる その2 歯科ブログ

西荻窪、入れ歯専門のいとう歯科医院、伊藤高史です。

■制約が多い中でも最善を尽くす

 

ちなみに自費治療に関して国は何も教えてくれません。
野放しなのが実情です。
保険治療よりも難しく金額が2ケタも違うような自費の施術を行なうなら、歯科医師は百科事典を丸暗記するほどの知識、その百科事典を自分で書けるくらいの技術を持って接するべきです。

高額治療を行う歯科医師でも高度な専門知識を持たず、一般治療の知識と技術しか持たない者もいるかも知れません。
というのもこれほど多発しているトラブルの原因は知識と技術の不足だからです。

もっとも私は自費治療そのものを否定しているわけではありません。
中には生き字引のような自費治療の名医がいらっしゃいます。
もう引退された先生ですが私も多くの事を教わったことがありました。
幸運にもそんな先生と巡りあったのなら安心して治療をお任せしたら良いと思います。
サッカーにおいても、理由があって細かいルールが山のように定められています。
そんな中でもメッシ、ロナウドのようなスーパースターが感動的なスーパープレイを数多く生み出しています。

保険治療も理由があって細かいルールが山のように定められています。
保険治療は制約が多いから満足な治療ができない…ではなくて、いとう歯科医院では保険治療という与えられた条件の中で、スーパープレイと言えるレベルかどうかは分かりませんが最善を尽くします。
それが患者さんにとって最善の治療であると信じています。

(終わり)

※参考文献

歯科保険研究会
「全科実例による 社会保険歯科診療」
https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=448470

「歯科インプラント トラブル急増の理由」
NHKクローズアップ現代
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3143/1.html

あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか
なくならない歯科インプラントにかかわる相談
独立行政法人国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190314_1.html

オーリングテスト
疑似科学とされるものの科学性評定サイト
http://www.sciencecomlabo.jp/alternative_medicine/o-ring.html

顎関節症患者において、咬合調整は有用か?
公益財団法人日本医療機能評価機構
https://minds.jcqhc.or.jp/n/cq/D0000677

日本歯科保存学会
「3Mix-MP法Rについての見解」
http://www.hozon.or.jp/member/statement/file/3mix-mp.pdf

パーフェクトペリオについて日本歯周病学会の見解
http://www.perio.jp/file/about_perfect_perio.pdf#search=%27%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%9A%E3%83%AA%E3%82%AA+%E6%AD%AF%E5%91%A8%E7%97%85%E5%AD%A6%E4%BC%9A%27

オルタナティブブログ掲載すみ

ツイッター 
https://twitter.com/9cDmyzuqGc0BLjv/status/1534337584822112256


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■ルールがあるから安心して治療できる その1 歯科ブログ

西荻窪、入れ歯専門のいとう歯科医院、伊藤高史です。

■保険治療はルールが悪い?

 

保険治療にルールが細かく決まっているのは理由があります。
多くの歯科医院のホームページで見かける保険治療の欠点として、材料やルールに縛られて満足のいく治療ができないというものがあります。

しかし世の中はルールがあるからこそ成り立っています。
たとえばサッカー。
手を使ってはいけない、オフサイドはいけない、ゴールの大きさ、人数は11人、などです。
長い歴史の中で少しずつ改定されて決まったルールが山ほどあります。
ですから試合に負けたチームが「ルールが悪いせいで負けた…」などと言うことはありません。

もしもルールが悪いと言ってルールなしにしてしまったらサッカーは競技として成立しません。
手を使ってもオッケー、オフサイドやり放題、人数もテキトーなど、反則を野放しにしたらサッカーは競技ではなく、ただの無法地帯になってしまうでしょう。

一方で歯科医院のホームページで保険治療のルールがデメリットであるかのような論調が目につくことがあります。
歯科治療では保険治療についてのカルテには国の厳しい審査や指導が入りますが自費治療に関しては何も言いません。
そのせいかは分かりませんが歯科の自費治療では科学的根拠、エビデンスのない、あるいは薄弱な施術が横行しています。

歯科の自費治療でトラブルを頻発している話が最近、NHKなどのテレビや新聞に出るようになりました。
患者さんを保険外という無法地帯に誘きだして、トラブルを抱えた自費の施術という反則技で絡めとっていると、消費者相談センターなどでも注意を呼びかけています。

いとう歯科医院ではそんな野蛮なことはしません。
歯科の保険治療のルールは国によって定められていて分厚い本になっています。
しかも毎年のように細かく改定されます。

(続く)