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・噛めない、外れる入れ歯を外形の修正と咬み合わせの修正で改善した症例

杉並区西荻窪で、入れ歯治療を数多く手がける歯医者
いとう歯科医院の伊藤高史です。

「上の総入れ歯が噛めないし、すぐ外れるし」

そんな症状を訴えるのは70代女性のJさん。

入れ歯自体の形は悪くありません。
咬み合わせも1箇所でパチッと噛めて安定しています。

他の歯医者で数か月前にこの入れ歯を作製。
それ以来ずっと調整を繰り返していたと言います。

しかし
「自分にはこれが限界です。これ以上は良くすることはできません」
と担当の歯医者から言われました。

決してこの担当医を否定、批判するつもりはありません。
先生なりにがんばられたのだと思います。

その証拠に咬み合わせの丁寧な調整、外形の細かな修正。
内面適合を改善するために歯科専用の入れ歯安定剤ティッシュコンディショナーを貼ってありました。

とはいうものの、ここまでがんばってまだ改善しないとなると…

たとえば「痛い」とかいう時には痛みの原因となっている直径数ミリの範囲を削ったら改善した。
そんな簡単に解決できることもあるのですが、今回はそんな小手先のテクニックでは対処できません。

そのような時に頼りになるのは「教科書」です。
と言っても患者さんの目の前で教科書を広げるわけではありません。

「医学には正解がありますが医療に正解は無い」

よく言われる言葉です。
臨機応変な対応は必要です。

一方で困難なときこそ教科書に書いてある「医学」を思い出すのです。

まず外形です。

とくに後縁が短くアゴ骨を覆っていない部分があります。

総入れ歯はとくに上アゴ全体を可能な限り広く覆うことで物理的に吸い付く力を得て口の中に入れ歯を維持しています。

物理の力を最大限発揮できるように、粉と液を混ぜると硬化する歯科用プラスチックを用いて足りない部分を補っていきます。

こうすることで教科書の図に書かれた形に近づけていきます。

結局は後縁だけでなく全面の修正が必要になりました。

外形を作ることで、口を開けた時に外れるのを防ぎます。

保険治療で入れ歯のヒビを修理

しかしこれだけではまだ使えません。
このままでは噛んだり食事したりするとパカッと外れてしまいます。

続いては咬み合わせです。

カチカチ噛んでもらうと、グニャッ、グニャッと下アゴの位置が定まりません。

同時に、あれだけ吸い付いていたはずの入れ歯が簡単に外れてしまいました。

咬み合わせを見る参考の一つが咬合紙です。

歯科治療でよく出てくる赤や青の薄い紙です。

咬合紙を噛んでもらって歯に付いた赤い跡を見ます。

思ったとおりです。

私も経験あるのですが咬み合わせの調整といって入れ歯のプラスチック製人工歯を削っているうちに、前歯にも奥歯にも、どこにも咬み合わせがない。

そんなケッタイな咬み合わせになることがあります。

そのような時こそ思い出すのは教科書です。

咬み合わせにも理論に裏付けされた医学があります。

様々な理論はあるものの、分かりやすくて使いやすいのは「リンガライズド」です。

すごく簡単に説明すると、上奥歯の口蓋側(内側)の歯の山が、餅つきの杵の役割りをし、下奥歯全体が臼の役割りをします。

件の入れ歯を見ると上の奥歯の口蓋側は削られているせいで山がありません。

これでは杵の役割りを果たせません。

そこでそのリンガライズドの理論に則って上奥歯の口蓋側にプラスチックを盛って杵の役割りを作りました。

再び噛んでもらうと「カチカチ」入れ歯から澄んだ音が響きます。

上手く噛めるようになった証拠です。

咬合紙でも確認すると上奥歯の口蓋側、杵に相当する部分にクッキリと赤い跡が付きました。

それなら完璧で安心かというと実はそんなことはありません。

入れ歯治療は一般的に下の入れ歯の方が難しいです。

アゴ骨も小さく湾曲している、舌が動いて入れ歯のジャマをする、アゴ自体が動くので動きに適応できないと外れたり痛みを起こしたりする。

しかしそんな中で上の入れ歯が合わないというのは本当に難しい症例のことがあります。

一般的には簡単なはずなのに難しいからです。

教科書に寄せてみたものの、何かまだ足りないことがあるかも。

教科書の他の項目、外形を頬の動きに合わせて修正する方法、咬み合わせはリンカライズド以外の2種類の咬み合わせのどっちを使おうかと想定しながら次の来院を待ちました。

1週間後に再び来院したJさん。

「あっ、調子良くなりました。外れないし食事もできますよ~」

と笑顔です。
やっぱり勉強は大事ですね。

今回行なったJさんの入れ歯の形を3回にわたって修理する治療の費用は、保険適用1割負担で総額約2,000円でした(治療費は症状により個人差があります)。

保険治療で入れ歯の金属バネが折れたのを修理

リンガライズドオクルージョン(lingualized occlusion)とは、総義歯の咬合様式のひとつで、上顎臼歯の舌側咬頭が下顎臼歯の中心窩に嵌合する咬合様式です。

Poundが提唱しました。

リンガライズドオクルージョンの利点には、次のようなものがあります。

・義歯が安定する
・咀嚼効率が向上する
・側方咬合圧が正中寄りに加わるため義歯の転覆が予防できる
・咬合調整が容易になる

リンガライズドオクルージョンを採用すると、上顎の頬側咬頭が大きく開け、食物の流れがスムーズになるだけのスピルウエイが確保できます。

また、人工歯の咬合接触面積は、小臼歯より後方に移るに従って徐々に小さくなるように設計されています。

これにより、咀嚼運動時の義歯沈下量、および浮上量を抑制することが報告されています。

リンガライズドオクルージョン専用の人工歯も販売されています。

参考文献:Search Labs | AI による概要

入れ歯の外形について

下の入れ歯の外形は患者さんのアゴ骨の形や咬み合わせによって大きく形が異なってきます。

まず入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯の2つの基本的な種類があります。

残っている歯もあって欠損した所に入れる部分入れ歯の外形は、残っている歯にバネ(クラスプ)をかけることで口の中に維持する構造です。

この場合、床(ピンク色の部分)は失われた歯の部分、アゴ骨の形に合わせて形が作られるのでアゴ骨との適合と、残りの歯との適合が重要となります。

部分入れ歯の外形は、以下の要素を考慮することが必要です。

バネ(クラスプ)の配置と形状:
天然歯にかけるバネは、見た目が目立たないように設計されることが多いです。

ただし保険治療の入れ歯では金属のバネを用いることがほとんどなので残っている歯の位置によっては、どうしても金属が見えてしまいます。

それで金属を使わない入れ歯もありますが、ほとんどが高額な自費治療となります。

自費治療の入れ歯は、長くなるのでここには書きませんがメリット・デメリットがあります。

当院ではおすすめしないので、よく調べて考えて進めていただきたいです。

また咬む力に耐えられるように強度も考慮されます。

それも様々な種類があります。
強度が強いイコール良い、ではありません。

保険治療で、痛い入れ歯も調整できます

義歯床の形状:
口の中のアゴ骨を覆う粘膜の形状にフィットするように作られて食事や会話の際に動かないように設計されます。

噛んでも歯ぎしりしても食事しても「動かない」入れ歯を作ることが入れ歯のもっとも大切なことです。

そう考えるとシリコン入れ歯などと称して柔らかいシリコンで床を作る入れ歯が流行っています。

しかし入れ歯自体が柔らかくて動くのでは何のための入れ歯だが私にはわかりません。

人工歯の配置:
天然歯と自然に調和し、正しい咬合を確保するために、位置や角度が精密に決められます。
これは特に前歯部分で重要です。

一方、総入れ歯はすべての歯を失った場合に用いられるもので、外形は以下のように決定されます:

基底部の形状:
上下の顎の形に合わせて作られます。

とくに下顎の総入れ歯は、安定性を保つために特殊な設計(例えば、顎の骨にフィットするように凹凸を設ける)が必要です。

入れ歯の床の形は「動かないアゴ骨の部分は、なるべく広く覆う、動く舌やスジなどの部分は避ける」か基本です。

言うは易しで、それを実現するために日々勉強し悩みながら患者さん一人一人に応対しています。

人工歯の配置:
言語機能や咀嚼機能を最大限に回復するために正しい位置に配置されます。

また見た目の自然さも大切で、顔貌のバランスを崩さないように配慮されます。

とくに顔の正中と入れ歯の歯の正中を位置、角度を合わせることは基本です。

そこが合わないと、ひん曲がった歯になってしまいます。

とくに型をとって咬み合わせの記録をとって、ワックスに人工歯を並べた仮の入れ歯で顔貌を確認する試適(してき)という工程が大事です。

当院ではこの試適の工程までを歯医者が自ら行ないます。

模型上だと真っ直ぐに見えた歯並びが、実際の口の中では全然合ってない。

そんなことがよくあるからです。
結局は口の中に合わせながら歯並びを修正します。

自分で歯を並べていれば修正も自分で思い通りにできます。

しかしこの工程を外注の歯科技工所に丸投げする歯医者があります。

たまたま患者さんの口と合っていれば良いのですが、合っていないと、歯医者が自分で修正することもできなくなってしまいます。

技術、手先も使わなければ退化するからです。

歯医者がなるべく手を動かさないよあにする「省力化」は大事だとは思います。

しかし省力してはいけない部分もあります。

当院は患者さんのために、そこは省力化せずに手を動かしています。

入れ歯の外形に関する情報は歯科補綴学の専門知識に基づいており、個々の患者の口腔内環境や要求に応じてカスタマイズされるため、ここには書ききれないほどのバリエーションが存在します。

とはいえ教科書通りの形をイメージして、なるべくそれに近づける努力は必要です。

【関連記事】→設備紹介「4・歯を抜かない治療」


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・生成AIに頼る危険性と、入れ歯治療においてその末路をいち早く体現してしまった歯科業界について

杉並区西荻窪で、入れ歯治療を数多く手がける
いとう歯科医院の伊藤高史です。

「へ~、伊藤ちゃんは入れ歯の人工歯を自分で並べてるんだー」
「ふ~ん、なんで、そんなことしてんのー、めんどくさいじゃーん」

歯科大学の同窓会で30年ぶりに会った同級生から言われました。

え、じゃあ、どうしてるの?
と逆に聞くと

「歯科技工所に丸投げー」
当然のような顔をしています。

確かに私のやり方は効率的ではありません。

入れ歯を作る手順とは

1.型をとって石こう模型を作る。
2.模型を元に上下の咬み合わせを見るためにワックスで噛んでもらう。
3.ワックスを介して上下の模型を咬合器という機械に取り付けて、下アゴが上下左右に動く動きを再現する。
4.ワックス上に人工歯を並べて患者さんの口の中に入れて歯並びを確認する試適(してき)。
5.歯科技工所に外注して完成させてもらう

この1~4までを当院では歯科医師である自分が全て行ないます。

1.の型をとる工程もアゴ骨が小さいとか難しい症例では、石こう模型を元にプラスチック製の個人に合わせたトレーを作って再び型をとることもあります。

もちろんそんなトレーも私は自分で作ります。

保険治療で入れ歯の作製

自分が20代のころに都心で勤務していた時代は1~4全ての作業を技工所に発注していました。

1か所だけ医院内に歯科技工所を持つ大手の歯科では、上司に言われて自分の患者さんの入れ歯の技工作業を全て自分で行ないました。

ただし他の先生は一切やっていなかったので、なぜ私だけ診療後に3時間残業して技工作業していたのかは謎です。

あまり長続きしなかった所なので嫌がらせのつもりだったのかもしれませんが、あまり深く考えずに受け入れたおかげで貴重な技術を身につけることができました。
だからまあまあ感謝するよう心がけているところです。

きっかけはさておいて、歯科医師が技工作業を行なう最大の利点があります。
それは入れ歯の歯並びを全て歯科医師が自分で考えて思い通りに並べられることです。

最近はchatGPTのような生成AIが話題になっています。
スマホに聞けば何でも答えてくれる、何でも作ってくれる魔法のような機械です。

しかしこの生成AIには大きな弊害があるといいます。
それは「生成AIに聞けばいいや」となることで人間が考える力を失ってしまうことです。

痛い入れ歯の調整の費用は保険治療3割負担の方で約1,000円~2,000円

こうした論調は様々な新聞や書物で見られます。
私独自の卓越した見解ではありません。

とはいえこの「人間が考える力を失ってしまう」弊害をすでに歯科医師は、だいぶ昔からこうむっている。
同窓会のちょっとした会話でしたが自分は危機感を持っています。

というより、もう手遅れです。

入れ歯作りを外注することは「生成AIに聞けばいいや」と同じで「歯科技工所にやらせりゃいいや」という発想だからです。

歯科技工士は現在なり手が少なく問題となっています。
歯科医師は歯並び一つ理解していないくせに、丸投げされて文句だけは言われる。
給料も安い。

そりゃ辞めたくなるというものです。

口の中にはたとえば歯並びの正中はココ、というある程度の指標があります。
石こう模型で見て、ある程度ここかな、という場所と角度で歯を並べます。

しかし模型だけでは顔の正中の位置や歯並びの角度などは分かりません。
模型上にそれを再現するのは不可能です。
だからいざ口の中に合わせると全然顔の正中とズレていた、角度が悪くて、ひん曲がった口元になっていた。

それで正中を3ミリ右にずらして角度を反時計回りに20度回転させた。
そんなことは普通にあります。

先ほどの1~4の工程の4.のことです。
試適(してき)といってワックスのボディに人工歯を仮に並べて口の中では歯並びを確認する作業が重要です。

そこで歯科医師が大いに考えて一生懸命に手を動かすことが必要です。
しかし「技工所に丸投げ」歯科医師では、どうして歯並びがズレたのか理解できません。

普段から手を動かしていないと、どうやって修正すれば良いのかも分かりません。
結果、患者さんから不満を持たれて、歯科医師は丸投げした技工士に不満をぶつける。

そんな事になります。

保険治療で、痛い入れ歯も調整できます

自分が入れ歯作製において歯科技工士に任せる仕事は次のことだけです。

「ワックスをプラスチックに置きかえること」

それは慣れない私がやるより純粋に数をこなしている歯科技工士の方が上手でキレイにできるに決まっています。
その単純作業だけが歯科技工所の仕事です。

だから入れ歯の合う合わないは全て歯科医師の私の責任です。

合わなかったら
「なぜ合わなかったのか」
「どうしたらもっと良い入れ歯ができるのか」
考えることにつながります。

だからこそ「一生が勉強」という当たり前の結論なのですが、そんな当たり前のことをせず歯科技工士にブースカ文句を言う歯科医師がいるのは事実です。

自分も20代のころはそんな歯科医師だったので自戒をこめて言っています。

昭和9年に開業した私の祖父は総入れ歯まで全部自分で作っていました。

ちなみにその時代はまだ歯科技工士に関する法整備がされていませんでした。

歯科技工法(現:歯科技工士法)が制定されるのは昭和30年です。

今とは比べものにならないほど歯科医師の社会的地位も収入も偏差値も高かった時代、祖父の「考える力」は歯科から溢れ出てしまっていたのでしょう。

診療していない日にはカメの甲羅を加工した硯を作ったり短歌をおさめた歌集を作ったり、今の私では太刀打ちできないことをやっていたのをうらやましく思っています。

これからも「考えること」を通して祖父に負けないような保険の入れ歯治療で患者さんに貢献していくつもりです。

参考文献:AIにはない「思考力」の身につけ方
ことばの学びはなぜ大切なのか?
今井むつみ著、筑摩書房

歯科技工士、減少問題について

歯科技工士の減少問題は日本国内の歯科医療分野において、ずいぶん前から課題となっています。
この現象の背景には様々な要因が絡んでいます。

まず教育と養成の面から見ると歯科技工士の養成校の入学者数が近年大幅に減少しています。

これは若者の間で歯科技工士という職業への関心が低下していることを示しています。

たとえば養成校の入学者数は過去30年間で4分の1にまで減少していると報じられてました。

これは先の文章で挙げたような歯科医師のワガママ、長時間労働や低賃金などの労働環境が改善されないことで職業としての魅力が薄れていることが原因として挙げられます。

労働環境の問題もあります。

歯科技工士は従来から長時間労働と低賃金が指摘されています。

私が勤めていた歯科医院の院内技工所も夜8時9時まで働くのが当たり前でした。

これは保険点数の都合で技工料が上がらず数をこなさなければならないため労働時間が長くなる傾向があるからです。

歯科技工所の経営が厳しい中で技工士の待遇改善が遅れている状況が見受けられます。

とくに保険治療の技工はやらない、という技工所も近年は出始めています。

またブラックな労働環境が問題視されることで既に資格を持っている人々が現場から離れるケースも増加しています。

離職率が高いのも特徴です。

入れ歯に歯科専用の入れ歯安定剤を貼る治療の費用は保険治療3割負担の方で総額約2,000~4,000円

さらに、技術の進歩と需要の変化も無視できません。

デジタル化が進んでCAD/CAM(コンピュータ支援設計・製造)システムなど新しい技術が導入される一方で、これらの新技術に対応できるスキルを持つ歯科技工士の供給が追いついていないという現状があります。

またCAD/CAMの機械があれば技工士がいなくても、かぶせ物なら作れるようになりました。

また歯科医療の需要自体は高齢化社会を背景に増加傾向にあって歯科技工物の質や量に対する要求も増えています。

しかし技工士も高齢化が進んでいることもあり量をこなすことが難しくなっているため一人あたりの受注量が減っている状況もあります。

政策や制度の対応も課題で歯科技工士の養成・確保に関する検討会ではこうした問題を取り上げています。

しかしせいぜい保険点数アップを要求するくらいで、具体的な解決への対策が十分に進んでいるとは言い難い状況です。

最後に社会的な認識の問題もあります。

歯科技工士の職業的な地位や重要性が一般に十分に理解されていないことも若者の志望を阻む要因となっています。

確かにマイナーな職業です。

昔、私の父の時代は歯科医師とともに羽振りが良かった時代もありましたが、もう昔ばなしです。

【関連記事】→「保険治療を選んだ理由」


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金属バーの部分入れ歯は痛みを生じても解決できないデメリットがあるので、保険治療でプラスチック製の入れ歯を作製して解決した話

杉並区、西荻窪で入れ歯治療を数多く手がける、
いとう歯科医院の伊藤高史です。

「入れ歯が痛くて痛くて…」
顔をしかめて入っていらしたのは80代女性のTさん。

歯グキを見ると下アゴの部分入れ歯のフチが強く当たってできる傷があります。
傷つけている原因となっているのは前歯の下の歯グキ、直径5ミリほどの範囲です。

入れ歯の該当する箇所を削れば簡単に解決…
とはいきませんでした。

なぜならその部分入れ歯が金属バーでつながった物だったからです。

左右の奥歯に渡る部分入れ歯の場合、残っている前歯の部分は、何らかの方法で入れ歯の左右をつなぐ必要があります。
それでよく見かけるのが今回のTさんのような幅5ミリほどの金属バーでつなぐ物です。

一般的によく宣伝されるメリットとしては金属バーは細いので違和感が少ないというもの。

保険治療で入れ歯のゆるさを解決

金属バーの入れ歯とは上のイラストのような形態のものです。
しかし今「細い」と書きました。

これが実は大きな「デメリット」となることを訴える情報は、インターネットで検索してもほとんど見ることがありません。

細い金属バーのデメリット、それは「調整が一切できないこと」。
だから当院では金属バーの部分入れ歯は作りません。

たとえば金属バーが歯グキに食いこんで痛い。
今回のTさんはそのケースでした。

入れ歯の全体の形を作っているピンク色の部分(床)が食いこんでいるなら対処は簡単です。
食いこんでいるピンク色のプラスチックを削れば良い。

しかし金属バーが食いこんでいる場合、細い金属バーを削ってしまうと折れてしまいます。

そうすると当然、入れ歯がつかえなくなってしまいます。

たがら痛い箇所も解決法も分かりきっているのに手を出せない、解決できないという状況になってしまいます。

これは大変なデメリットです。

一つの解決法として、金属バーには触らないで、逆に入れ歯の左右奥歯の部分、歯グキと接する床に歯科専用の入れ歯安定材を貼ることがあります。

そうすることで金属バーの部分が歯グキから浮いて痛みを緩和できる「場合も」あります。

とはいえ入れ歯の設計によってはできませんし、痛みを緩和するとはいっても一時しのぎでしかありません。

根本的な解決法としては新しく作るだけです。

当院での設計は、前歯をつなぐ所をプラスチックの床にして金属の補強線を埋めて作ります。

こうすることで強度も保たれて、痛いときにはプラスチック部分を削ることで解決できます。

金属バーと比べると厚さ、幅はあります。
しかし下の入れ歯は慣れやすくて装着後にすぐに慣れます。

上の入れ歯は違和感や吐き気が続いて使えないことがたまにありますが下の入れ歯はそのような事は少ないという印象です。

4回の来院で新しい入れ歯を入れたTさんは数日後に来院。

「いやー痛くもないし、すごく調子いいです」
と笑顔で報告してくださいました。

今回のTさんの部分入れ歯を新しく作る治療は保険治療1割負担で総額約4,000円でした(治療費は症状により個人差があります)。

入れ歯の管理について

入れ歯を形作っている構成物としては
歯グキと接するピンク色の部分(床)やプラスチック製の人工歯、残っている歯に引っかけて入れ歯を口の中に維持する金属バネ(クラスプ)があります。

これらが生きている身体、口の中、歯グキや舌などと調和して機能を回復できるよう力を発揮するためには、入れ歯の調整と患者さんへの適切な管理が必要です。

とくに新しい入れ歯を装着した直後は重要です。
その後も長期的に使用しても身体に害を及ぼさないように3か月~半年ごとに定期的に調整と患者さんへの指導を行なうようにします。

入れ歯と身体との調和が良くないまま入れ歯を使い続けると、口の中が不潔になり結果的には残っている歯の虫歯や、歯がグラグラと揺れてくる歯周病を引き起こします。

残っている歯が一本もない総入れ歯の方の場合は歯グキの表面を傷つけたりアゴ骨の以上な減りを引き起こします。

また入れ歯の適正な使い方が患者さんに理解されないままだと、入れ歯が十分な機能を営めないことにもなります。

そのようなことから、身体の変化による入れ歯の不調和が起こった場合には歯科医院での適切な対応が必要です。

ゆるい入れ歯には保険治療で歯科専用の入れ歯安定剤を貼りましょう

1.新たに作製された入れ歯、装着後1か月以内の調整・指導

1)入れ歯調整の概要について

・入れ歯が歯グキと接するピンク色の部分(床)の歯グキと接する面、端の大きさと形の調整

型をとる時に歯グキの肉が型とりの材料に押されて厚みや形が変化します。
それらを入れ歯の調整によってその変化による歪みを是正します。

型をとった時に口の端や奥は不正確になりがちです。
また型をとる時に筋、舌などは動くので、その動きによって入れ歯が外れる原因となります。
だから動く部分は避けてアゴ骨の動かない部分ほなるべく広く入れ歯で覆うことを意識します。

もっとも模型とりだけではそこまで正確な石こう模型を作ることはできません。
そこで口の中に合わせながら動いて入れ歯を外す力が加わっている部分は削る。
型とりが不十分でアゴを広く覆えていない場合は歯科用プラスチックを継ぎ足して覆う。
このような調整が1か月~2か月ほど必要となります。

部分入れ歯の金属バネが折れても保険治療で修理できます

・プラスチック製の人工歯の調整

入れ歯と接する歯グキは入れ歯で噛んだり食べ物が入って咀嚼したりする時に力がかかります。
その荷重によって入れ歯の形が変わったり入れ歯自体が動いてしまったりします。

そうすると入れ歯が口の中で安定する位置関係が変化するため上下の歯でカチッと噛んだ時の位置での人工歯の調整が必要となります。

また下アゴがカチカチ噛んだりギリギリと歯ぎしりしたりする運動の際の人工歯の接触や滑走時に接する面を身体の動きと調和するようのな調整が必要です。

・残っている歯に引っかけて部分入れ歯を口の中に維持する金属バネ(クラスプ)の調整

口の中に残っている歯があって足りない箇所を補っている部分入れ歯を装着した場合はクラスプが歯を締めて入れ歯を固定する維持力の強弱や適合具合を調整します。

入れ歯と口の機能の検査は保険治療3割負担の方で約2,000円

・調整の回数

時間が経つにつれてアゴ骨や歯グキの肉の変化や移動が続くため入れ歯と歯グキが接するピンク色の部分(床)やプラスチック製人工歯は1回の調整だけでは目的を達成することは多くの場合は難しいです。
とくに新しい入れ歯を装着した直後は、歯グキの部分的な痛みや咬み合わせの不調和などについての検査を行なう必要があります。

装着後2~3日あるいは1~2週間においても新たな検査を行なって、入れ歯の調整や患者さんへの指導を行なう必要があります。

たとえ患者さんから痛みや不快感、違和感の訴えがない場合であっても少なくとも1か月以内に数回ほどの調整や患者さんへの指導を行なうことが重要です。

参考文献:
https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/before_h30/document-071100-01.pdf
有床義歯の管理について(平成19年11月 日本歯科医学会)

【関連記事】→入れ歯が痛い「Q.入れ歯を入れているだけで歯ぐきが痛い。入れ歯がこすれて痛いようです。ずっと痛いのをガマンして入れ歯を使っています。治りますか?」


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ひだり側だけの入れ歯を使っていたのを、両側に歯がある入れ歯に作り直した症例

杉並区西荻窪で入れ歯治療を数多く手がける
いとう歯科医院の伊藤高史です。

「やっぱり、みぎ側でも噛めるようになりたいですよね」

そうおっしゃるのは50代男性のGさん。
実はこの言葉を待っていました。

4年前に上の入れ歯を初めて作ったときから両側の奥歯はもうありませんでした。

しかし
「初めての入れ歯で、そんな大きいの入れられますか?」
と不安そう。

そんな時に作る入れ歯が当院にはあります。
それは
「片側だけにプラスチック製人工歯を並べた入れ歯を作る」
です。

前歯は自分の歯があります。
左右とも奥歯を入れ歯でそろえようとすると、ひだり、前、みぎ、の全部を入れ歯で上アゴの歯グキを覆うことになります。

そうすると、ほとんど総入れ歯と変わらない大きさになってしまう。

痛い入れ歯の調整の費用は保険治療3割負担の方で約1,000円~2,000円

入れ歯治療で最も失敗となるのは
「違和感すごくて入れておけない」
とのことで、作ったはいいものの結局使わない、となることです。

初めて入れる入れ歯がほとんど総入れ歯。
これはこのように失敗する可能性が大きいです。

だから4年前の時には、ひだり側だけプラスチック製人工歯を並べた部分入れ歯を作りました。

そうすると入れ歯の大きさは3分の2ほどにできます。

違和感も格段に違うはずです。

みぎは歯がないものの、それは放置。
学術的な観点から述べると非難されるのは仕方ないところでしょう。

でも人間の身体は理想論だけでできているわけではありません。

理想だけを追いかけて結局まったく使われない入れ歯になるよりは、みぎ側は後から考えるとして、まずは入れておける可能性の高い入れ歯を作る方が成功すると判断しました。

結論から申しますとGさんは入れ歯を受け入れることができて、毎日きちんと装着して使ってくださいました。

「後から考える」の意味ですが、残っている歯も揺れている歯がありました。

それを抜いて入れ歯にプラスチック製人工歯を継ぎ足す増歯修理をしたり、歯グキと入れ歯が接するピンク色の面(床)に歯科専用の安定剤リベース材などを貼ったりして使い続けました。

保険治療で入れ歯調整できます

その結果、ひだり側だけの入れ歯だったのが、みぎ側にもプラスチック製人工歯を少しずつ継ぎ足すことになりました。

でも元々入れ歯を使っていたので後から増歯修理して使う分には「違和感がー」という失敗は格段に少ないです。

それで4年が経過して修理だらけな入れ歯となったので新しく作ることにしました。

・患者さん自らがみぎ側でも噛みたいとおっしゃっている。
・みぎ側もすでに入れ歯になっている。

これならば新しく作るのは左右ともプラスチック製人工歯のある通法どおりの入れ歯にして何の問題もありません。

4回の来院で完成した、両側にまたがる入れ歯を入れたGさんは

「あっ、これなら両側で噛めますね!
違和感?_ぜんぜん大丈夫ですよ」

と笑顔でおっしゃってくださいました。

今回行なったGさんの入れ歯を新しく作る治療は保険治療3割負担で総額約1万5千円でした(治療費は症状により個人差があります)。

壊れた入れ歯も保険治療で修理できます

オーラルフレイル対策の推進により、近年、口腔機能への関心がますます高まっています。

オーラルフレイルは、老化に伴う様々な口腔の状態(歯数・口腔衛生・口腔機能など)の変化に、口腔健康への関心の低下や心身の予備能力低下も重なり、口腔の脆弱性が増加し、食べる機能障害へ陥り、さらには体の脆弱性であるフレイルに影響を与え、心身の機能低下にまで繋がる一連の現象及び過程と定義されています。

オーラルフレイルの概念はここ数年で変化していますが、2019年に発表された概念図では、口の健康リテラシーの低下から食べる機能の障がい(咀嚼障害、摂食嚥下障害)に至る幅広い問題を取り扱う概念に発展してきています。

オーラルフレイルにおける口のささいなトラブルは、そのまま放置していると身体的フレイルやサルコペニア、要介護状態、死亡の発生に関連することから、早期に発見し診断(口腔機能低下症)につなげること、機能が低下する前に予防的な取り組みを行うことが推奨されます。

口のささいなトラブルとは、「歯が20本未満」、「噛む力が弱い」、「舌を巧みに動かせない」、「舌の力が弱い」、「硬い食品が食べづらい」、「むせやすい」などの口腔機能の低下を指していますが、この中で特に重要な役割を果たしているのが舌の機能になります。

口の衰えや食べる機能の障害に対応するためには、舌の機能を適切に評価し、舌に対するトレーニング方法を知っておくことが大変重要です。

このブログでも、口腔機能および嚥下機能(以下、摂食嚥下機能)における舌の役割を解説し、舌運動の評価と機能を高めるためのトレーニングの方法について少しずつ紹介していきます。

また来院された患者さんにも冊子を配布したりして啓蒙に努めています。

参考文献:摂食嚥下における舌の役割と評価・トレーニングの方法

摂食嚥下における舌の役割と評価・トレーニングの方法

【関連記事】→入れ歯で噛めない「Q.左右どちらかでしか噛めない。片方にしか噛む力が入りません。噛みクセがあるのは良くないことはわかってはいるのですが…改善できますか?」


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区の歯科健診で気軽に行ったはずの歯科医院にて、部分入れ歯に何か貼られて痛くなったので、当院で痛い部分を削ったら治った症例

杉並区、西荻窪で入れ歯治療を数多く手がける
いとう歯科医院の伊藤高史です。

「健診だと思ったから無料だし気軽に行ったんですけどねえ」

苦虫を噛み潰したような表情でおっしゃるのは70代女性のSさん。

内科健診のように気軽に近所の歯科医院を受診しました。

歯と歯グキの境目の汚れやプラークの付着の具合、歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯の揺れの有無などを調べる歯周基本検査や虫歯の有無、入れ歯の具合、歯並びと咬み合わせの具合を調べるのが主な歯科での健診です。

その合間に世間話ていどに
「そういえば最近ちょっと入れ歯がゆるい気がします」
とSさんは言いました。

そこで部分入れ歯の床(歯グキと入れ歯が接するピンク色の部分)に何かを貼りつけられます。

するとそれ以来、入れ歯で食事すると痛くなってしまったとのこと。
これまで痛くなどなかったのに歯科医が何かしたせいで痛くなった。

…よくあるトラブルです。

保険治療で入れ歯の金属バネが折れたのを修理

区民健診の一つに歯科の項目があります。

歯科健康診査(成人・後期高齢者)

歯を失う2大原因はムシ歯と歯周病です。
どちらも自分では気づきにくい病気です。
とくに歯周病は最初は自覚症状が乏しいため、気がついたら歯がぐらついていたなど重症化しやすいです。
最近は糖尿病や心疾患など全身の病気との関係も明らかになっています。

この機会に健診を受けて、かかりつけ歯科医をもち、お口の健康管理を維持しましょう。

成人歯科健診
対象者
区に住所を有する今年度20歳・25歳・30歳・35歳・40歳・45歳・50歳・60歳・70歳になる方

後期高齢者歯科健診
区に住所を有する今年度76歳になる方(年齢は令和6年度中に誕生日を迎えた満年齢)

実施場所
【令和6年度 成人歯科健康診査 実施医療機関一覧表】をご覧ください。
(注意)実施医療機関は変更になる場合があります。
受診方法
受診券の到着後、実施期間内に受診を希望する実施医療機関へ電話等で予約してください。

健診内容
問診
口腔内診査【歯、歯肉、汚れなどの状態】
健診結果の説明及び健診結果に基づく指導
費用 無料

参考文献:
杉並区歯科健康診査(成人・後期高齢者)・眼科検診
https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kenko/kensin/1004817.html

定期的な入れ歯調整メンテナンス。費用は保険治療3割負担の方で総額約2,000~3,000円

区民健診そのものは良いものです。
とはいえ内科健診とは違う歯科ならではの落とし穴があります。

たとえば内科健診なのにいきなりその日に開腹手術ことなどありません。
医科の世界はまだ道徳があるので、そんなことをする医師はいません。

大きい病気が見つかった際は大きい病院で精密検査を受ける流れができています。
健診自体がトラブルになってしまうようなことは、ほとんどありません。

しかし今回のSさんのように健診だけでなく施術されたら裏目に出てしまった。
それは医科にはない、歯科ならではのトラブルです。

ちなみに健診は無料ですが施術を行なったらそれはお金がかかります。
だから健診のついでに施術をやられて無料のつもりで行ったのにお金を取られたら、それは当然トラブルになります。
お金の話はトラブルを起こすので極力気をつけています。

治療の話に戻りますと、入れ歯を見ると床に貼ってあるのは歯科専用の入れ歯安定剤ティッシュコンディショナーでした。

ティッシュコンディショナーは当院でもよく使います。
ゆるい入れ歯をピタッとさせる良い材料です。

しかし何でも治る魔法の薬ではありません。
使いどころ、使い方があります。

床はさほど不適合でもないのにティッシュコンディショナーを貼られていたので逆に歯グキを刺激して傷つけていました。

また簡単な治療というわけではありません。
ティッシュコンディショナーの粉と液の微妙な違いによって変化する硬さや貼る厚さには細心の注意が必要です。

とくに今回の入れ歯を見た感じとしては硬すぎるティッシュコンディショナーを厚めに貼ってしまったために、かえって入れ歯に不適合を招いてしまったようです。

保険治療で入れ歯のヒビを修理

まずは痛みをなくすことです。
余計なティッシュコンディショナーを削り取って除去しました。

「あっ、痛くなくなりました!」
Sさんは笑顔です。

ところで入れ歯が外れやすい、ゆるさの原因ですが…

着脱してみると部分入れ歯を歯に維持する金属バネがゆるんでいます。
部分入れ歯は着脱を繰り返していると金属バネが変形して広がってしまいます。

これは金属の性質ですから必ず起こります。
そこで金属バネを専用のプライヤーで締めました。

「あっ、ピッタリしました。イヤー、良かったわ!」

時間が経って再び入れ歯がゆるくなったら再び締めれば良いことを説明して治療終了。

Sさんは笑顔で帰られました。

金属バネを締めるのは、締める方向や締める具合、使う器具など歯科医師ならではのノウハウがあります。

間違った方向に動かすと、入れ歯が
入らなくなったりバネが折れたりします。

ですから患者さんご自身で金属バネを曲げるのはやめて頂きたいです。

治療するたびに自分も忘れないように気をつけて意識しているのですが、入れ歯に限らず治療には一つ鉄則があります。

それは
「簡単なことからやること」
です。

入れ歯の金属バネを締めるだけなら治療内容としては簡単です。
金属バネを締めてもゆるかったらティッシュコンディショナーを貼るとか次のことを考えます。

簡単ではない大きく入れ歯の環境を変える施術はリスク、トラブルの可能性も大きくなります。
今回はティッシュコンディショナーを除去して痛みが取れたから良かったのですが、元に戻らない、痛みが取れないケースもあります。

やはりイザというときはすぐに首を引っ込められるような亀のみたいに慎重な姿勢が歯科治療には求められます。
自分への戒めという意味も含めてここに書いてみた次第です。

歯が抜けても保険治療で入れ歯に増歯修理

先の区民健診に同封される歯科健康診査は歯科医師会という組織が行なっている事業です。
当院はその歯科医師会に所属していないので無料での歯科健康診査事業は行なっていません。

全国どこの歯科医院でも誰でも歯科健診が受けられる「国民皆歯科健診」を法律に入れることを歯科医師会では悲願としているようです。

それもメリット・デメリットあります。
私がここに書いたトラブルもあまり表立っては出てこないデメリットです。

とくに仮に当院に健診目的で来院された患者さんがいらしたとしたら、健診以外の治療行為は少なくとも初回はしません。

もしも虫歯や入れ歯の不適合を見つけたとしても
「普段通っている歯科医院さんで治してもらってくださいね」
と言うのがスジです。

健診と称して他の歯科医院さんから患者さんを奪おうとするような道徳的ではないマネはしないほうが良いでしょう。
国民皆歯科健診になって、そのようなことが横行するのも怖い世界だなーと思います。

もちろん、かかりつけの歯科医院がないとか、そこでは入れ歯治療はやってないとか、今痛いから緊急で治してほしいとかいうなら治療するのですが、とにかく初めての患者さんには慎重なくらいの対応でちょうどいいのです。

そのようなことから国民皆歯科健診については、どのような経緯になるか慎重に見ているところです。

歯科健康診査(成人・後期高齢者)で行なうような歯周や歯、口の検査や歯石取りみたいな害をあまり起こさない治療や入れ歯の定期的な管理、リハビリテーションは、保険治療3割負担の方で1回2千円ほどでできます。

3か月~半年ごとの受診をオススメしています。

無料とはいえ健康診査で全く知らない歯科医院に行ってトラブルに見舞われるよりは、普段通っている、かかりつけ歯科医師の元で安心して定期的な通院をされる方が良いと個人的には考えます。

今回行なったSさんの入れ歯を調整する治療は、保険治療1割負担で約1,000円でした(治療費は症状により個人差があります)。

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