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■なぜ「患者様」と呼ぶのはおかしいのか その2

西荻窪、保険で入れ歯専門、いとう歯科医院の伊藤高史です。

■毎日「点鼻薬を10個ください」

個人的な話で恐縮ですが、先日、耳の奥が化膿する病気になってしまいました。
免疫力が低下しているなど、いくつもの原因が考えられるので専門医に相談に行きました。
耳にたまった膿を吸い取り、点耳薬を処方してもらい、その日から朝と夜の2回、耳の穴 に薬を指して回復するかどうか経過を観察するため週に3回通いました。

膿がなくなって鼓膜が見えるまで回復するのに2週間。
急性症状は治ったものの鼓膜がへこんでいて左右で聴力が違うと思われるから大学病院で詳しく検査してもらったらどうか、
と医師が薦めるので紹介状を書いてもらいました。

どこにでもある「医師」と「患者」の関係です。
ただ、これだけでもデパートでのやりとりとは違います。
一方「店員」と「お客」の場合ですが、学生時代に食品店でアルバイトをしていたときに、こんなことがありました。

そのお客さんは、油あげを毎日10袋買いに来ます。
私はそれを見ても「ああ、飲食店を営んでいて、そこで使うのかな」くらいは思いましたが、
それ以上は何も考えませんし、もちろんお客さんにも何も言いませんでした。

ただ実は、もしかしたらそのお客さんは毎日油あげ10袋を自分で食べていたのかもしれない。
すごく不健康です。でも食品店の店員と客の関係は、油あげ10袋を「売る」「買う」で終わります。
10日間デパートに毎日買い物に行ったとしても「売る」「買う」で終わる完結した「点」が10個あるだけ。
だから食品店の店員が客の背景を考慮する必要はありません。

これが医師と患者の関係だと少し困ったことが起こります。
たとえば私が耳鼻科に毎日通って「点耳薬10個くれ」「点耳薬10個くれ」「点耳薬10個くれ」と言ったら医師は全力で止めるはず
「いや、ちょっとそれ、おかしい でしょ」って。

連日「点耳薬10個」と言われると医師の立場としては、とても困ります。
なぜ困るのかというと週3回耳鼻科に通って「診療」「診療」「診療」という点のつながりでできた「線」が明らかに間違った方向を向いているからです。

(続く→)■ 「点」ではなく「線」の上を一緒に歩いていく